93話:招かれざる客
「ソーセージうまっ!」
「粒マスタードがいいアクセントになってる」
「付け合わせのサワークラウトも酸味が強すぎなくていい感じだね」
にぎやかだな。
ミケがソーセージを食べるのを防御しながら、私も舌鼓を打つ。歯切れよいお肉に、じゅわっと広がる肉汁がめっちゃうまい。サワークラウトも酸っぱすぎなくておいしいな。こういうのってなんか酸っぱくて苦手なんだけど、このお店のは食べられる。うまい。
「おぁああ!」
「猫にソーセージはしょっぱいからダメ」
「あぁん?」
ヤンキーかな。
「召喚獣に舐められすぎ」
「召喚獣たちよりも弱いからな」
「威張って言うことではない」
威張ってはいない。まぎれもない事実である。DEX以外はほぼ初期値だからな。
そんな感じで食べ進めていると、見かねたロウがミケを抱っこしようとして失敗していた。顔を踏まれて逃げられてやんの。ミケもそこそこにDEXが高いからね。ロウは前衛職で、タンク役だから、DEXはそんなに高くない。だから簡単に逃げられるというわけですよ。
聞いてみたら、ブルーリムの中で一番足が速いのはフェンらしい。エリオは魔法系なんだってさ。へー。
「デザートにリンゴのコンポートはいかが?」
「ローズさんのおごり?」
「ええ。ウラナには助けてもらったからね」
ブルーリムもリンゴのコンポートを注文してた。もちろん自腹です。コンポートができるまでの間、ローズさんや店主の奥さんと雑談していると、お店の扉が開いた。
「いらっしゃ、あっ」
ローズさんが一歩後ずさる。おびえた様子に、おもわず入ってきた客を見る。
きらびやかな服を着た男と騎士がいた。どちらも冒険者や普通の人とは明らかに雰囲気が違う。騎士は男の護衛役なのか。アルヴェリアの騎士たちとは違った装備で、ごてごての装飾がついている。
「またこんなところにいたのですか。ここはあなたのような可憐な女性に似つかわしくない」
そういって、男は近くにあったテーブルを蹴った。がしゃーんと音を立て、テーブルが周りの椅子を巻き込んで転がった。奥さんがローズさんを庇うように抱きしめ、私たちも2人を守るように席を立つ。
「ねぇ、彼って貴族じゃない?」
「明らかに身なりがなぁ。フェン、どう思う」
「……アルヴェリアの貴族じゃない。あまり考えたくはないが、クレア=ドミニオンの貴族だと、思う」
あのクソ神を崇め奉ってる国で、オズワルドさんを意味もなく責め立てた国の貴族、だと?
男がにやにやと笑いながら、こちらに向かって歩いてくる。ローズさんは明らかに怖がっており、奥さんも「お許しを、お許しを……!」と頭を下げていた。
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