92話:ローズのお店に遊びに行こう
装備が完成したので、お祝いにどっかでご飯を食べることにした。ブルーリムもなぜかついてくるようです。タークスさんたちは合流しないぞって言ったら、「お前と飯を食いに行くのになんでタークスさんたちが出てくるんだ? 保護者同伴じゃないと飯食えない感じ?」ってロウに言われた。
お前らが(私以外の)バックラーオタクだから気を使ってやったんじゃろがい。
気にしてなさそうだから、店を選ぶことにする。どうせなら、この前助けたローズの店に行こうかな。いろいろバタついて結局行けてないしさ。というわけで、教えてもらった店に行く。
大衆食堂『小人の靴屋』。食堂なのに靴屋とはこれいかに。看板も靴のマークだからマジで間違えそう。店内に入ると、壁一面の靴。……ここ、本当に食堂か?
「あ! ウラナ、ようやく来たのね! 全然来ないから、忘れられたのかと思ったわ!」
「ごめん。いろいろとバタついててさ。今日はようやく一区切りついたから食べに来た。友達も一緒なんだけどいい?」
「ええ、もちろんよ。4人でいいのよ、……えっ!?」
ローズがフェンを見て驚いている。フェンもまた、目を見開いて驚いていた。なに、知り合いか?
「フェン、どうしたの」
「っあー、失礼。あまりの美しさに驚いてしまいました。美しいお嬢さん、お名前を教えていただけますか?」
「あ、いつものフェンだな」
滑らかな動作で片膝をつき、ローズに手を差し伸べている。うん。いつも通りのフェンだな。
「ロ、ローズよ。ここのお店で働いているわ」
「承知いたしました。では、2人の出会いを祝うために、この店で一番おいしい料理をいただけますか?」
「この店って何がおいしいの? 煮込み?」
「煮込みよりも焼き物ね。店主が作ったソーセージが絶品なの。店主のおすすめっていうメニューは銅貨5枚よ。パンもつけるなら銅貨6枚」
「お、いいな。俺はそれにしよ」
ポーズを決め続けているフェンを放置し、案内されたテーブルに座る。全員、ローズに教えてもらった店主のおすすめにするみたいだ。え、フェン? あいつはずっとポーズ決めてるから同じのでいいだろ。私が何か言う前にエリオが決めてたし。
ミケとイノには味付けなしの魚と肉を注文した。緑子には新鮮な野菜ね。
「ソーセージか。たまに食うとめちゃくちゃうまいよな」
「わかる。毎日だと味が濃くて飽きちゃうんだよね」
「それにしても靴が多いな。靴屋さんじゃないのか」
「奥さんが靴職人なの。靴の販売もしてるのよ」
どうやら兼業しているお店のようだ。冒険者だけじゃなく、貴族も買っていく人がいるほどの職人らしい。今度、靴に困ったら買いに来ようかな。すり減りが早いんだよね。動き回ってるからさ。
「それにしても、おとなしいのね」
「ん? ミケとイノ? これは余所行きの顔だよ」
「あぁん?」
「ふごっ」
「これが飼い主に対する態度だよ。いてててててっ」
「舐められすぎじゃない?」
ミケが頭に爪を立て、イノは足にごりごりと頭をこすりつけている。とても痛いのでやめてほしい。HPが削れてるんですよ。エリオがあきれた顔で回復薬を渡してくるほどにはダメージ食らってます。あとで代金払うね。
「HPが消し飛んでないだけ、手加減されていると思うぞ」
「おかえり、フェン」
「お前、店の迷惑になるんだから決めポーズして動かなくなるのやめろよな」
「この出会いを神に感謝していたのさ」
フェンがしれーっとした顔で席についた。いままでずっとポーズを決めたまま固まってたのだ。ふらついたりもしないから、こいつの体幹は強い。
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