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召喚士なのに前に居る  作者: マナ
2編 6章:首都アルヴェリア

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89話:イノシシ用のベッドって干し草じゃダメなんですかね

 色々ありましたが、タークスさんたちを連れて内見なう。オズワルドさんも見たいと言ったので、チーム全員から了承を得て連れてきました。


「これが、居住空間!」

「なかなか広いな」

「クロたちが寝る分には問題ない広さね」

「ちゅんが壁に激突して落ちたぞ」

「ちゅーん!?」


 召喚獣のみんなも連れてきたら、ちゅんが空間の端に激突して墜落してた。アラクネがキャッチしてくれたので落下ダメージは入らなかったようです。びっくりした。


「ぢぢぢっ!」

「なんで私に怒るのさ」

「セマァイ、オシェウ、ナァイ、オコテェル」

「ああ、狭いって教えてなかったから怒ってるのね。私がなにか言う前に飛び立たれたらなんもできないでしょうが」

「ちゅん?」

「これは通訳されなくてもわかる。なんのことですかねってすっとぼけてるな」

「ウン」


 私の召喚獣たちはすっとぼけるのがお上手なことで。


「ねぇ、ウラナ。後で家庭菜園を作ってもいいかしら?」

「土がどの程度深いのかわからないんで、それ調べてから判断してもいいですかね」

「もちろんよ。薬草とか、野菜を作れたらありがたいけど、無理なら今まで通り買えばいいわ」


 キャシー姉さんは家庭菜園をしたいみたい。ハーブティーとかよく飲んでますもんね。雑貨屋や薬屋でハーブを買うと、そこそこするんだよ。栽培できたらいいよね。


「すげー立派なログハウスだな。中はどれだけ広いのやら」

「収納空間もあると言ってましたからね。どんな感じなのか見せていただきたい」

「オズワルドさん、珍しくテンションが高いな」

「当たり前じゃないですか! 居住空間スキルだけでも珍しいのに、収納空間スキルまで持ったハウスワームですよ!? 喉から手が出るほど欲しい個体です!」

「うちの子はあげませんよ」

「それはもちろん! 従魔を奪うのは窃盗罪です! 見せていただけるだけで私は十分ですとも!」


 オズワルドさんの血圧が心配になるテンションだなぁ。

 ログハウスの玄関扉を開けた。広々とした広間に、オズワルドさんはもちろんのこと、タークスさんとキャシー姉さんもあんぐりと口を開ける。ヴィンセントさんは目を見開くだけにとどまった。イケメンのマヌケ顔が見れなくてとても残念である。


「なんか言ったか?」

「何も言ってません。アイアンクローやめてね」

「そうか。俺の気のせいだったか」

「気のせいですね。だからアイアンクローやめてね」


 口に出してないのに、ヴィンセントさんの大きな右手が私の頭をワシ掴んでいる。力は入れられてないが、とても怖い。何度か命乞いをしてようやく手が離れていった。あのイケメン怖いよ。


「ひっろ! なんだこれ。屋敷か!?」

「ウラナ、ウラナ、早く案内してちょうだい!」

「おかしい。さすがにおかしいですよ。資料で見た居住空間スキルLV1は、本当にこぢんまりとした家屋でした。こんなに広いはずがありません! ウラナさん、居住空間スキルの本当のレベルを教えてください!」

「1ですね」


 三者三様にはしゃいでいる。とても楽しそうですね。オズワルドさんは「そんな馬鹿な!」と頭を抱えてるけど、ホントのことしか言ってないのでどうしようもないのであった。


「いちばん広い部屋はウラナの部屋でいいだろ」

「「異議なし」」

「異議あって?」


 部屋を一通り見て回った結果がこれである。いやいや、異議はあってくれよ。こんなでかい部屋、私じゃなくてそれこそリーダーのタークスさんや、キャシー姉さんが使うべきではないか。


「あのなぁ、ウラナ。お前にとって俺やキャシーは偉く感じるのかもしれないが、召喚獣たちにとったらウラナがトップなんだぞ」

「そうよ。彼らのトップをそっちのけにいい部屋に入ったら、気を損ねちゃうわよ」

「召喚獣とはいえ、元は魔物だ。どちらかといえば、獣の上下関係に近いルールで生きてる。ウラナを蔑ろにしたら、いい気はしない」

「そういうもんなんですかね」


 ちろっとミケたちを見ると鼻息で返事をしていた。いや、フンッじゃなくてさ。


「マスター、イチバン、トゥゼェン」

「そういうもんなのか。その割にはマスターを爪とぎにしたり、止まり木にしたり、移動手段にしてますけど」

「ソレーハ、ソレェ」


 それはそれ、これはこれっすか。それにしてもアムリタたちがいると召喚獣たちが何を言いたいのかわかっていいな。今後も通訳よろしく。


「なら、ありがたくいちばん広いお部屋を使わせてもらいますか」

「なぁん!」

「フゴフゴ」


 当然だよなぁ! と言わんばかりにミケが鳴き、イノが頷いている。イノさん、クロと一緒に外で待機じゃないんだね。

 この後の部屋割りで、1階の中くらいの部屋がタークスさんとヴィンセントさんの相部屋。2階の小部屋がキャシー姉さんの部屋。2階の中部屋にアムリタたちが住むことが決まった。


「キャシー姉さん、本当にいいんですか?」

「ええ。小さいって言うけど、ひとり部屋には十分な広さよ。自分で好きにレイアウトしてもいいのよね?」

「それはもちろん」

「ならこのくらいの広さがちょうどいいわ。広すぎても寂しいもの。人数が多い方が広い部屋に入ればいいのよ」


 こんな感じで、平和的に解決しました。なお、私の部屋にはミケはもちろんのこと、緑子にちゅん。そしてなんと、イノさんも住むそうです。アムリタの通訳でふかふかのベッドを所望してきました。

 ……イノシシのベッドって、どこで発注すればいいんですかね? 家具屋さんでいいのかな。どうですかね、ヴィンセントさん。俺も知らないって? デスヨネー。

お読みいただき、ありがとうございます。

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