88話:幼虫が跳ねるってなに!?
白家に頼んだら外に出れました。出入りは白家しか制御できないのかな。クロやイノを白家の中から召喚できたら便利よね。今度試してみるか。
「で、これはどういう状況でしょうか」
「ウラナさんとミケさんが転移したあと、緑子さんが取り残されましてね。白家さんを叱っているようです」
戻ってきて最初に視界に入ったのが、横たわる白家と白家の上に乗った緑子でした。ヘドバンしてる様子を見るに、たいそうお怒りなようです。そういえば、いつの間にか緑子が腕から離れてたな。ログハウスのインパクトがすごくて忘れてたわ。
「!!」
「わぁーっ!? 跳ねる幼虫ってなに!?」
「おあー!?」
私とミケに気づいた緑子が跳ねてこっちに来た。どうやって跳ねてるのよ。そのまま私の頭に着地して、激しいヘドバンをしている。何気に頭突きみたいな感じになって痛いんですけど。これは、あれか。私を置いていきやがってって感じかな。私はどうしようもなくないか!?
「!」
「イダッ! 置いてってごめん! 悪かったです!」
「なぁー!」
必死に謝ると、ひとまずは落ち着いたらしい。私の二の腕に張り付いて落ち着いた。そこ好きね。
「いてて……」
「にゃふっ」
「私だけしばかれた……」
私は一応、主的な立ち位置のはずなのですが、扱いが雑じゃないですかね。
「緑子は元気だなぁ」
「頭突きでHPが3割も削れてるわよ」
「さすがは紙装甲」
「あれ? 皆さんお揃いで」
タークスさん達がリズさんの近くにいた。白家の内見をする前はいなかったよね。キャシー姉さんがヒールをかけてくれた。あんまりダメージを食らってないと思ってたけど、緑子の頭突きで3割もHPが削れていました。やだ、私、弱すぎ。
それはそれとしてヴィンセントさんの紙装甲は泣くぞ。自覚あるので優しくしてください。メンタルも紙装甲なんだからな。
「ロウたちからウラナがハウスワームを探してるって聞いてな。手伝いに来たんだ」
「手伝いする前に見つけてたけどね」
「お前の運はどうなっている」
主にスキル『豪運』のおかげですね。
「ちょうどよかった。部屋割りで皆さんに相談しないとなって思ってたんですよ」
「部屋割り? まさか、ハウスワームの中に既に家があったのですか!?」
「はい。居住空間っていうスキルでできてるみたいです。Lvは1でしたけど、それでも5部屋ありましたよ」
ざわっ。
私がログハウスについて話すと、周りがざわざわと騒ぎ出した。オズワルドさんの顎が心配になるくらい口が開いている。……これは、もしかして、またやっちまったのだろうか。
「ウラナさん、普通はハウスワームの中には何もない真っ白な空間があるだけなんです。家ができるのは、その真っ白な空間で宿泊するうちにだんだんとできあがるものなんですよ」
「え、そうなんですか? 家庭菜園できそうな地面もありましたよ」
「はぁ!? あがっ」
「オズワルドさんの顎が!!」
また外れかけました。いや、外れたんだけど、タークスさんがはめて、キャシー姉さんが治療していた。その間に、私はヴィンセントさんからハウスワームについて教えてもらう。通常のハウスワームは『空間』っていうスキルを持っていて、その空間に住み続けると『居住空間』というスキルができる可能性があるらしい。『空間』スキルは何もない場所だが、雨風をしのげるので、家具などを持ち込んで生活できるのだそう。
ヴィンセントさんに『収納空間』などのスキルについて話すと、白家もまたユニークモンスターだと言われた。
「お前は本当になんなんだ」
「私が聞きたいよね」
「白家はテイマーが喉から手が出るほど欲しがるハウスワームだぞ」
「緑子に惚れてついてきたんだからすごいですよね」
そういうと、緑子がどやっとするように頭を持ち上げた。頭が重くて落ちかけるからやめなさいね。
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