82話:宿泊費ががが!
3人の前に正座をしています。理由は簡単。一気に召喚獣が増えすぎて、借りてる部屋じゃ収まりきらず、広い部屋を借り直したからだ。それだけじゃなくて、人型魔物って色々とトラブルになりやすいようでさ。危ないことしませんよ、宿屋に害を与えませんよっていう契約書にサインが必要だったりしたんだよね。大変なご迷惑をおかけしてすみません。
「もうっ。馴染みの宿屋だったから、融通を効かせてもらえたけど、下手したら宿探ししなきゃいけなくなるところだったわ」
「誠に申し訳なく」
「首都で奴隷商が出るとはなぁ。珍しいこともあるもんだ」
アルヴェリアは治安はそこそこ良いので、奴隷商などが来るのは本当に珍しい。年に1回発見されればニュースになる程度。人型魔物という珍しい商品を扱っているのも珍しさに拍車をかけているようだ。珍しいのデジャヴ。
……『豪運』さんが仕事したわけじゃないよね?
「召喚士は召喚獣を増やすことが大事だとはわかるけど、こんなに一気に増やさなくてもいいじゃない」
「まぁまぁ、話を聞く限りウラナの不可抗力だろ。俺も奴隷たちに同情したしな」
「なんでタークスが正座してるのよ」
自然な感じに私の隣に正座をするタークスさん。いったいどうしたんだろう。
「いや、俺も同じ場面に遭遇したら奴隷たちを引き取るなぁ。きっとキャシーにしこたま叱られるなぁって思ったから、自主的に正座してる」
「……それなら俺もだな」
そういってヴィンセントさんも私の隣で正座をし始めた。なんで急に正座祭が始まっているんですかね。おろおろと2人を見ていると、キャシー姉さんが「ああ、もう!」と叫んだ。どうしたんです!?
「私だって同じことをするわよ。ええ、同情するでしょ、こんなの!」
そういってキャシー姉さんも私の目の前に正座した。結局みんなして床に正座してる。なぁにこれぇ。
「叱ってごめんなさいね、ウラナ。でもこういうのは早く報告が欲しかったっていうのを理解してほしかったのよ」
「あ、それは、はい。私の考えが至ってなかったっていうのは重々理解できました。もし次があったら、ちゅんを飛ばします」
「頼むわね」
よくよく考えれば、引き取るってなった時にちゅんを飛ばしておけば良かったよね。キャシー姉さんたちがてんやわんやせずに済んだ。こういうところ、もっとうまくやらないとなぁ。
「さて、ウラナも十分に反省できたことだし、今後のことを話そうか」
「拠点が欲しいな。さすがに大部屋を2部屋借りるのは、財布への負担が大きい」
「でもまだ目標金額には全然到達してないわよ」
大部屋のお金は今まで借りてた2人部屋よりも高くつく。人数が多いチームは拠点となる家を買うのが一般的なようだ。一軒家を買うので、ゴブリンキングの討伐報酬程度じゃ全然足りない。
「従魔の証を貰いに行ったときに、召喚獣にも依頼をこなしてもらうことをリズさんから提案されました。この子たちも採取くらいならやれそうと言っているので、自分の宿泊費と食費を稼いでもらおうかと思ってます」
「そうね。そうしてもらえるかしら」
「ウラナが付いていなくて大丈夫なのか?」
「何かあった時のために、依頼報告の時は私が合流することになってます」
「それがいい。その時も俺たちの誰かもついていくことにしよう」
というわけで、召喚獣たちにもお仕事をしてもらうことになりました。アムリタたちは討伐系の依頼は怖いみたいだから、採取系の依頼をこなしてもらうつもりだよ。
……討伐系の依頼の話が出た時、イノさんとミケさんが「自分はやれますけど?」みたいな反応してたのが引っかかる。君らは確かに強いけど、アムリタたちのように人の言葉を話せないんだから、無茶はしないようにね。アムリタたちも片言だから無理はしないように。
お読みいただき、ありがとうございます。
ブックマークや評価、感想など頂けると今後の励みになります。




