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召喚士なのに前に居る  作者: マナ
2編 6章:首都アルヴェリア

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80話:トラブルに巻き込まれました

「ちょっとお嬢ちゃん!」


 屋台ご飯を食べ歩きしていたら、血相を変えたおばさんに引き止められた。


「お嬢ちゃんはテイマーだろ!? 冒険者だよね!?」

「テイマーではないですが、冒険者です。どうしたんですか?」

「女の子が奴隷商に絡まれてるんだ! 騎士様を呼びに行ってるが、間に合いそうになくて! お嬢ちゃんの従魔、ボアだろう!? 助けてやっておくれよ!」


 おばさんの指さす方から確かに争っているらしい声が聞こえてくる。ヤバそうな雰囲気だ。私自身は貧弱だけど、イノがいるし、ハッタリにはなるだろう。おばさんに男の人にも声をかけるようにお願いし、私はイノと一緒におばさんから教えられた方に走った。


「魔物であれ、奴隷はアルヴェリアで禁止されています! 今すぐ奴隷を解放し、自首してください!」


 なんか気の強そうな人がいるな。

 町娘にしては少し小綺麗な女の子が、奴隷商らしき男と言い争っている。男の近くには薄汚れた檻があり、中には目が死んでる男女が数人詰め込まれていた。あれが奴隷なのかな。観察しているうちに、女の子が男の人に囲まれていた。いつの間に囲まれたの!?


「見た目は上等だ。お前も商品にしてやる!」

「いやっ! 離して!」

「傷つけるなよ。薬を持ってこい! 眠らせて木箱に詰めりゃ、外で売れる」


 けっこうヤバいやつですね!


「イノ、威圧!」

「ピギィアアアアアッ!」

「ヒッ!?」

「ボアがなんでこんな所に!?」

「う、うぁあああ!!」


 イノの威圧に何人かが腰を抜かし、奴隷商らしき男はイノにビビって逃げ出した。そこをミケが影魔法で縛り上げ、転倒させる。さすがはミケさん、仕事が早い!


 様子を伺ってた人たちにお願いしてロープで彼らを縛ってもらう。暴れようとした人はイノやミケに小突いてもらった。すぐに怖がって大人しくなるあたり、イノたちの効果は絶大ですね。


「怪我はない?」

「あ、ありがとう。助かったわ」


 ざっと見た感じ、怪我はなさそう。女の子は私にお礼を言ったあと、すぐに薄汚い檻に向かって走って行った。檻の中にいる数人は、女の子が近寄ると互いを守るようにぎゅっと固まる。


「もう大丈夫よ。今ここから出してあげるからね」

「なぁん?」

「ねぇ、貴女のボアで檻を壊せないかしら? この子達を出してあげたいの!」


 いや、それやったら中の人たちも無事では済まないでしょう。イノは「お、やるか?」みたいな感じで地面を何度か蹴り上げている。やらないから止まってね。奴隷の人たち、死を悟った顔してるからね。


「奴隷商が鍵もってると思うから、それを探そうよ。イノに突撃させるのは最終手段」

「早くしないと騎士が来ちゃうの!」

「むしろ来てもらった方がいいんじゃない? 勝手にして、まずいことになったら大変だし」

「あぁ、もう! ねぇ、お願いだから早く檻を開けて!」


 なんか焦ってる? 女の子がわーわー慌ててるのを横目に、私は奴隷商の懐を探る。結局鍵が見つかったのは、騎士が駆けつけてからだった。騎士の口から告げられた言葉で、女の子が焦って檻を壊そうとしていた理由がわかった。


「魔物は退治する!? え、どう見ても被害者ですけど」

「人間ならまだしも、魔物の場合、逃がしても報復行動に出るものが多いんだ。人間はみな敵と認識してね。過去に逃がした魔物が群れで襲ってきた記録がいくつもあるんだよ」

「そんなことが……」


 それなら、退治って判断するのも理解しちゃうけど、納得はできないよね。特に女の子は「だから檻を壊してって言ったのに!」と私に怒ってきてる。なんかすんません。いや、なんで私が謝るんだ。謝ることないでしょ。


「騎士にテイマーがいれば良かったんだが、全員遠征に出ていてね。冒険者ギルドにも確認したが、現在人型魔物をテイムできるような冒険者が不在らしい。可哀想だが、そうなった場合は退治する他ないんだ」

「うーん、なら、私がこの子たちを引き取りますよ。テイマーみたいなもんですし」


 人型の魔物と契約できるのかはわからないけど、いざとなったらイノもミケもいるし、何とかなるでしょう。驚いた騎士を横目に、奴隷の魔物たちのところに向かう。


「ねぇ、このままだと君たちは退治されるみたい。良かったら私の召喚獣にならない? 悪いようにはしないからさ」

「……コワイ、ナイ?」

「怖いことしないよ」

「イタイ、ナイ?」

「痛いこともしない。君たちの嫌がることはなるべくしないようにするよ」

「にゃあん」

「ぶもっ」


 私の言葉には疑いの目を向けていたが、ミケとイノがにゃごにゃご、ふごふごと話すのを真剣に聞いている。納得したのか、奴隷の子たちは私についてくることになった。あの、2匹の言葉がわかったんです? ちょっとなんて言ってたか私に翻訳して欲しいんだけど。え、後にして? ウッス。

お読みいただき、ありがとうございます。

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