76話:報酬がこんなに貰えるってマジっすか
しばらくすると、オズワルドさんがカウンターにやって来た。眉間に皺を寄せて、「あのわからず屋どもが」と怖い声で呟いている。ストレスが溜まってるなあ。
「オズワルドさん、バックラーとブルーリムの皆さんがお待ちですよ!」
「よぉ、オズワルドさん。いちゃもんつけられてるんだって?」
「タークスさん。えぇ、差別するつもりはないんですが、あの国に所属する連中はどうしてああも他責思考になるのか。理解に苦しみます」
「魔物の発生はどうしようもないよなぁ。お疲れ様」
どうやら、ゴブリンキングの発生について文句を言われまくったらしい。えぇ、オズワルドさんなんも悪くないじゃん。なんで文句を言われてんだろ。
「国が原因で魔物が発生することってあるんです?」
「魔物の幼体を持ち帰ったとか、何かしらの儀式をして魔物を呼び寄せた場合だな。稀にある。しかし、基本的に魔物の発生は自然現象。ゴブリンキングの発生は基本的に自然災害に該当する。他国から責められるいわれはない」
「今回のゴブリンキングの発生は確かにイレギュラーだけど、そんなの、冒険者してれば良くあることよ。現場には人為的なものも無かったし、オズワルドさんは完全に貧乏クジを引いた形ね」
「オズワルドさん、本当に可哀想」
人為的にアルヴェリアの誰かがやったならともかく、今回の件はマジで言われ損じゃんね。ミケも哀れみの目でオズワルドさんを見てる気がする。とても強く生きて欲しい。
「生きたウォー・ボアをこの目で見ることができるなんて、貴重な体験ですね」
「報告書の絵姿か、素材になったものくらいですよね」
「テイマーの人が連れてたりしないんですか?」
「気性が荒くて、とても人里のいるところに連れてこれませんよ。基本的には、拠点で待機させてるはずです」
「イノさんが大人しすぎるんですよ」
オズワルドさんが興味津々にイノを眺めている。イノは「ブフゥーッ」と時折鼻息を強めるが、嫌がっている様子はない。人間がなんか見てんな、程度の反応である。ミケはリズさんにぶりっ子してますよ。私の後頭部で「にゃあん」って可愛い声でアピールしてます。猫ターバンそろそろ止めない?
「触ってみてもいいですか?」
「イノ、オズワルドさんが触ってもいい?」
「ブモッ」
「良いそうです」
「なぁおん」
「ミケも触っていいそうです」
聞かれてないのに主張してくるあたりお猫様である。オズワルドさんはニコニコして2匹を撫でていた。あの、私の頭もついでに撫でるの何でです? ミケを撫でる時にちょうどあったから撫でたと。なるほどなぁ。
「さて、ゴブリンキング討伐及び集落掃討の報酬について話しましょうか」
「急にキリッとするね」
「アニマルセラピーで気力が戻りました」
ミケはともかくイノはアニマルセラピーに該当するのだろうか。……なるか。本人がなってるって言ってるもんね。なるなる。
「今回のゴブリンキング討伐はイレギュラーである分を加味してあります。まずはチームへの配当です。バックラー、ゴブリン集落の掃討と被害者の救助、金貨20枚。ブルーリム、バックラーの補佐、金貨12枚になります」
オズワルドさんの目の前に布袋が2つ並ぶ。金貨って初めて見た。銅貨は100円くらいで、銀貨は1000円くらいだから、金貨は1万円くらいの金額何だろうか。あとでキャシー姉さんに聞いてみよ。
「続いて、個人への配当です。ここにはいませんが、フレデリクさんがゴブリン集落掃討の戦力貢献により金貨8枚。そして、ウラナさん。イレギュラー個体のゴブリンキング討伐報酬として、金貨30枚になります。金貨を銀貨や銅貨に両替したい方は申し出てください。対応します」
……え、金貨30枚? わ、私ひとりに!?
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