71話:マーカーの有用性
さて、『マーカー』について調べてみるか。目印を付けるものなんだろうけど、つけたからといって、なんになるというのか。これがわからない。
キャシー姉さんに断ってからマーカーを付けてみた。特に変化はない。マーカーのスキルをタップすると、マーカー中のところにキャシー姉さんの名前が出て来た。なるほど、これでマーカーしてる人を確認できるのね。
だからどうした。
「んー、わからん」
「私も何かされたって感じはないわね」
「地図を見ればマーカーをつけた人の位置がわかるとか、あるんですかね」
「見てみましょうか」
キャシー姉さんが地図を取り出す。なんの変哲もない、アルヴェリアとその周辺の地図だ。ポテラ村のところに点滅している点がある。ただの紙の地図にそんな機能があるわけがなく、スキルの効果なんだろうなって感じ。これだけかぁ。なんでスキルを覚えられたのかわからん。
「いちおう、キャシー姉さんのいる位置が点滅してますね」
「斥候役のヴィーが欲しがりそうなスキルね」
「こういうスキルないんですか?」
「あるけど、まだ取得できなかったはずよ。条件が面倒なんですって」
「へぇ~」
条件かぁ。そういえば、召喚士のスキルで???のところが見えるようになってないかな。有益なスキルが増えてたら覚えたいしね。1回確認してみよう。
ジョブの召喚士をタップする。ジョブスキルの一覧に煌々と輝く『マーカー』の文字。お前、召喚士のスキルだったんかい。どうやら、???の1個だったようだ。取得条件のところも開示されており、「召喚獣を召喚した時に、人間も同時に召喚する」となっていた。明らかにクロを召喚した時のフレデリクさん。彼のおかげで偶然にもスキルの取得条件を満たして覚えられたらしい。運が良いのか、悪いのか。
それにしても、マーカーを付けたからといって何になるのか。マーカーつけた人を召喚できるとか? それだったら強すぎて笑えるんだけど。ピンチの時にタークスさんやキャシー姉さん、ヴィンセントさんを召喚できたら勝ち確定でしょ。
軽い気持ちで召喚の欄をタップしたら、召喚獣の他にキャシー姉さんの名前があった。
「は!?」
「どうしたの?」
「キャシー姉さんを召喚できます」
「なんですって!?」
これにはキャシー姉さんもびっくり。人間を召喚するなんて、伝説上の話でしか聞いたことがないそうだ。他の魔法職でも、物を転移させるだけでも大変みたい。なんでも、コストがかかる上に、送れるものも大したものがないようだ。
「ちょっと召喚してみます?」
「是非やってみてちょうだい」
キャシー姉さんも乗り気なので、少し離れて召喚を試してみた。
「召喚、キャサリン」
「わっ!?」
キャシー姉さんが私の隣に転移してきた。若干MPが減っている。召喚獣と違って、コストはあるんだな。召喚獣と同じくMP消費なしで召喚できたら便利だったのに、そううまくはいかないか。
チェンジも試してみた。こちらも問題なく私とキャシー姉さんの場所を入れ替えられた。キャシー姉さんと他の召喚獣でもチェンジが使えたので、チームで戦う時に使えそうだ。とはいえ、こちらもキャシー姉さんとチェンジする時に若干のMP消費がある。MP管理、必要になるかもなぁ。……あ、MP消費する魔法使わないから、キャシー姉さんよりは管理は楽か。
私の頭がパンクしそうになるかもしれないという懸念事項は置いておこうね。
「召喚士、凄すぎないかしら。なんなの、このスキル」
「他の召喚士はなんで発見できなかったんでしょうね」
「召喚獣を集めるのも苦労するし、戦う時は集中砲火で死亡率高めだし、召喚士自身は他の魔法職と比較して対抗手段があまりないから……」
もしかして、私の『回避』『受け流し』って召喚士にとってけっこうかみ合ったスキルだったんでしょうか。『豪運』? アイツは、なんか、うん。使いどころが不明だけど、影で色々してくれてるんだろうなって感じの縁の下の力持ち。
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