66話:猫ターバンって語呂が良い
ミケを後頭部に装備した。わけがわからんな。
「猫ターバンですね」
「なんて?」
「わかりません。ふと、脳裏に言葉が浮かびました。それにしては語呂が良いですね。さすが私だ」
フレデリクさんが自画自賛してる。猫ターバンって、確かに語呂はいいけれども、巻いてないぞ。周りの皆さんも「猫ターバン……いいな」みたいな空気出してる。確かに語呂はいいけど、あれって宗教的な意味合いもあるものじゃなかったっけ。こっちの世界でもあるのか、ターバン。
「ミケの猫ターバンはいつもの事だから置いとくぞ」
「タークスさんも気に入ったんですか」
「語呂が良いわよね。猫ターバン」
「たしかに語呂が良い」
気に入ったならこの状態は猫ターバンでいいですよ。ミケも満更でもないのか、尻尾が背中を叩いてますしね。
「にゃっ!」
「爪は立てないでね」
「にゃあん」
「いててっ」
立てませんか? みたいな反応しながら爪を頭皮にプスプスするんじゃない。頭皮マッサージはもうちょっと弱めにお願いします。
「爪付き猫ターバンは良いとして」
「痛そうだな」
「ウラナ。俺はお前に話しておくべきことがある」
タークスさんが改まって話を切り出した。とても真剣な表情。おもわず背筋を正した。ミケもつられて姿勢を正す。爪が痛い。
「今回、ウラナは命令違反をした。なんのことか分かるな?」
「救援を呼びに行くように言われたのに戻りました」
「そうだ。これは立派な命令違反。チームを危険に晒す、危ないことだ」
ちゅんを代理で飛ばしたからって危ないことには変わらないよね。私が死んだら野生に帰るから、助けを呼べなかった可能性だってある。イノに邪魔されたとはいえ、悪いことしたよな。
「よって、報告書にも書かせてもらった。何かしらのペナルティーがあると思うが、受け入れるように」
「もちろんです」
「うん。まぁ、なんだ。あんまり危ないことはするなよってことだ。俺たちの心臓が持たん」
「危ないことはしたくないんですけどね」
「どの口が言うか」
「この口です」
「そうか」
「いはいいはい」
ヴィンセントさんからほっぺをつねられた。けっこう痛い。とてもやめて欲しい。私が逃げようともがいてる間、キャシー姉さんはキャシー姉さんでミケを撫でてるし、私に優しくして欲しい。
「私は彼女のおかげですぐに現地行けたから、悪い事ばかりではなかったと報告書に書かせてもらったよ」
「それは結果論だろ」
「結果良ければ全て良しと言うからね!」
バッサァと髪をかきあげるフレデリクさん。おかしいな。キラキラしたエフェクトがかかってる気がする。目にゴミでも入ったかな。
「演出で無駄にMPを使わないでください。うるさい」
「私の動きひとつひとつが煌めいているということさ!」
「違います。ウザイだけです」
あ、これってフレデリクさんが魔法で出してるエフェクトだったんだ。こういう魔法ってあるんだね。わざわざMPを消費してまで演出してるってことは、やっぱ相当な自信家だよ。私にはまねできないね。
フレデリクさん、キラキラ出すのやめてもらっていいですかね。私の猫ターバンがお尻を振って狙ってるんですよ。「俺は行くぜ行くぜ行くぜ!」みたいな気迫を感じるんですね。私の頭皮が血まみれになる前に、ちょっとやめていただいギャー!!?
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