63話:今日もルビーちゃんは元気です
キャシー姉さんから起きてよいと許可をもらったので、起きることにした。クロや緑子がどこにいるか気になるからね。ヴィンセントさんとキャシー姉さんを装備して部屋の外に出る。
なんで人間を装備してんのかって? 絶対安静は変わらないのと、私は何かやらかすという認識をされているので、簡単に言うと見張りですね。お手数をおかけします。
「おねーたん! もうおきていいのー!?」
「ルビーちゃん、おはうぐっ」
「きゃああ!? ルビー、なにしてるの!?」
外に出たら、村長さんのお孫さん。ルビーちゃんの突撃を食らった。右手は上に逃がしたけど、お腹を強打した上に、受け止めきれずに尻もちをつきました。貧弱が過ぎる。
シャイニーさんが悲鳴を上げながらルビーちゃんを抱き上げる。
「ウラナさんは痛い痛いなんだから、体当たりしちゃ駄目って言ったでしょう!」
「ごめんなしゃーい!!」
「はは、まぁ、元気なことはいいことです。はい」
私の腹とケツは犠牲になったのだ。ヴィンセントさんが私の脇に腕を突っ込んで立たせ、キャシー姉さんが土を払ってくれた。介護か。介護だな。
「ウラナならよけられたんじゃないの?」
「ルビーちゃんが転んだら可哀想じゃないですか」
「いい子ねぇ」
DEX的にはよけられましたけど、子供が擦り傷をつくるのはなんか違うじゃないですか。
「ウラナさん、もう起きて大丈夫なんですか?」
マルさんもやってきた。初めて見た時はわからなかったが、相当な美人である。ルビーちゃんがマルさんに抱きついた。スカートごとぎゅむぎゅむと抱きしめてる様子から、本当にマルさんが好きなんだとわかる。
「まだ絶対安静ですけど、なんとか」
「よかった。私、ずっとお礼を言いたかったんです。あなたが気づいてくれなかったら、ゴブリンキングを倒してくれなかったら。私だけじゃなく、村の被害ももっと酷かったでしょう。本当に、感謝しているんです」
「そんな」
岩穴のマルさんに気づいたのはたまたま。ゴブリンキングを倒せたのも幸運だったからだ。スキル『豪運』の働きも大きいだろう。幸運じゃなかったら、きっと私はマルさんに気づかなかったし、ゴブリンキングにも勝てなかった。お礼を言われると、ちょっと気後れする。
「私も、感謝しているのですよ。村だけじゃなくて、家族の姉も助けてくれたんです。本当にありがとうございます」
「ありあとー!」
ルビーちゃんが私の腰に抱きつく。ぐりぐりと頭を擦り付けたあと、気の抜けた笑顔で私を見上げた。
「……キャシー姉さん」
「なにかしら」
「勝てて良かったです」
「そうね」
ルビーちゃんの頭を撫でていると、私の頭にも何かが乗った。なんだろうと見てみると、ヴィンセントさんとキャシー姉さんの手が乗っている。そのままワシワシと撫でられ、頭が揺れた。
何するんですか、もー。
「今日はウラナさんも目覚めたし、父に言って宴をします。2日前から用意していたんですよ」
「宴ですか」
「ゴブリンキングは魔物災害に区分される。解決した時は、みんなで祝うもんだ」
「お酒にご馳走が出るのよ。おなかいっぱい食べないとね」
お酒は飲めないけど、ご馳走は楽しみだ。子供にはぶどうジュースが出るらしい。やったぜ。
「夕方くらいから始めますので、のんびり待っていてください」
「なにか手伝いますか?」
「ウラナは絶対安静でしょ。手伝うとしたらブルーリムを動かすから、休んでなさい」
「はい」
数分前に言われたことなのにすぐ忘れる。
「右手はまだ治らないんですか?」
「処置はしてあるのよ。体力的な問題で、ウラナが目覚めてから完全に治す予定なの」
「目が覚めていますけど治ってないです」
「レイディアント・パスのヒーラーとダブルチェックするのよ。破片が残っていたら動きづらくなるもの。それくらいウラナの右手は酷い状態だったんだから」
ゴブリンキングの骨も刺さっていたらしい。顔、めちゃめちゃだったもんな。右手の原型が残っててよかったレベル。
ところで、ミケはなんでそんな離れたところにいるの。耳もイカ耳になってるしさ。ルビーちゃんたちと別れたら、私の足元に戻ってきた。ルビーちゃんが苦手だったんだなぁ。距離をとれて偉い。
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