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召喚士なのに前に居る  作者: マナ
5章:脅威が去ったポテラ村

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63話:今日もルビーちゃんは元気です

 キャシー姉さんから起きてよいと許可をもらったので、起きることにした。クロや緑子がどこにいるか気になるからね。ヴィンセントさんとキャシー姉さんを装備して部屋の外に出る。

 なんで人間を装備してんのかって? 絶対安静は変わらないのと、私は何かやらかすという認識をされているので、簡単に言うと見張りですね。お手数をおかけします。


「おねーたん! もうおきていいのー!?」

「ルビーちゃん、おはうぐっ」

「きゃああ!? ルビー、なにしてるの!?」


 外に出たら、村長さんのお孫さん。ルビーちゃんの突撃を食らった。右手は上に逃がしたけど、お腹を強打した上に、受け止めきれずに尻もちをつきました。貧弱が過ぎる。

 シャイニーさんが悲鳴を上げながらルビーちゃんを抱き上げる。


「ウラナさんは痛い痛いなんだから、体当たりしちゃ駄目って言ったでしょう!」

「ごめんなしゃーい!!」

「はは、まぁ、元気なことはいいことです。はい」


 私の腹とケツは犠牲になったのだ。ヴィンセントさんが私の脇に腕を突っ込んで立たせ、キャシー姉さんが土を払ってくれた。介護か。介護だな。


「ウラナならよけられたんじゃないの?」

「ルビーちゃんが転んだら可哀想じゃないですか」

「いい子ねぇ」


 DEX的にはよけられましたけど、子供が擦り傷をつくるのはなんか違うじゃないですか。


「ウラナさん、もう起きて大丈夫なんですか?」


 マルさんもやってきた。初めて見た時はわからなかったが、相当な美人である。ルビーちゃんがマルさんに抱きついた。スカートごとぎゅむぎゅむと抱きしめてる様子から、本当にマルさんが好きなんだとわかる。


「まだ絶対安静ですけど、なんとか」

「よかった。私、ずっとお礼を言いたかったんです。あなたが気づいてくれなかったら、ゴブリンキングを倒してくれなかったら。私だけじゃなく、村の被害ももっと酷かったでしょう。本当に、感謝しているんです」

「そんな」


 岩穴のマルさんに気づいたのはたまたま。ゴブリンキングを倒せたのも幸運だったからだ。スキル『豪運』の働きも大きいだろう。幸運じゃなかったら、きっと私はマルさんに気づかなかったし、ゴブリンキングにも勝てなかった。お礼を言われると、ちょっと気後れする。


「私も、感謝しているのですよ。村だけじゃなくて、家族の姉も助けてくれたんです。本当にありがとうございます」

「ありあとー!」


 ルビーちゃんが私の腰に抱きつく。ぐりぐりと頭を擦り付けたあと、気の抜けた笑顔で私を見上げた。


「……キャシー姉さん」

「なにかしら」

「勝てて良かったです」

「そうね」


 ルビーちゃんの頭を撫でていると、私の頭にも何かが乗った。なんだろうと見てみると、ヴィンセントさんとキャシー姉さんの手が乗っている。そのままワシワシと撫でられ、頭が揺れた。

 何するんですか、もー。


「今日はウラナさんも目覚めたし、父に言って宴をします。2日前から用意していたんですよ」

「宴ですか」

「ゴブリンキングは魔物災害に区分される。解決した時は、みんなで祝うもんだ」

「お酒にご馳走が出るのよ。おなかいっぱい食べないとね」


 お酒は飲めないけど、ご馳走は楽しみだ。子供にはぶどうジュースが出るらしい。やったぜ。


「夕方くらいから始めますので、のんびり待っていてください」

「なにか手伝いますか?」

「ウラナは絶対安静でしょ。手伝うとしたらブルーリムを動かすから、休んでなさい」

「はい」


 数分前に言われたことなのにすぐ忘れる。


「右手はまだ治らないんですか?」

「処置はしてあるのよ。体力的な問題で、ウラナが目覚めてから完全に治す予定なの」

「目が覚めていますけど治ってないです」

「レイディアント・パスのヒーラーとダブルチェックするのよ。破片が残っていたら動きづらくなるもの。それくらいウラナの右手は酷い状態だったんだから」


 ゴブリンキングの骨も刺さっていたらしい。顔、めちゃめちゃだったもんな。右手の原型が残っててよかったレベル。

 ところで、ミケはなんでそんな離れたところにいるの。耳もイカ耳になってるしさ。ルビーちゃんたちと別れたら、私の足元に戻ってきた。ルビーちゃんが苦手だったんだなぁ。距離をとれて偉い。

お読みいただき、ありがとうございます。

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