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召喚士なのに前に居る  作者: マナ
4章:境界大森林ネーマス

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59話:VSゴブリンキング3

 ミケが走り出す。イノはそれを確認した後、周りのゴブリンたちをまとめて吹き飛ばした。


「フゴォオオッ!」

「にゃん!」


 ゴブリンキングは私から視線を離さない。イノも私の背後でゴブリンをはじき飛ばしているからなおさらだ。ノーマークのミケが光る。


「なぉん!」

「チェンジ!」


 ミケの合図に合わせてイノとミケの位置を入れ替える。イノが消えたことに、ゴブリンキングが目を見開いて驚く。


 メキョォッ!!


「ギュ、グ!!?」


 無警戒の背後からの突撃。ゴブリンキングは潰れたように息を吐きだし、私に向かって突っ込んできた。ミケも私もサイドステップでかわす。


「ギッ、ギッ、ッギィイイイッ!!」


 何回かバウンドして跳ね起きた。ゴブリンキング、タフすぎるでしょ。かなりのダメージを受けてるはずなのに、何度でも起き上がってくる。


「そろそろ倒れてくんないかな!」

「!」


 緑子もそうだそうだと言うように頭を揺らす。そんな私達の気持ちをあざ笑うかのように、ゴブリンキングは頭を掻きむしりながら起き上がった。


 タフネスがよぉ。


 思わず舌打ちをすると、私の背後からゴブリンキングに向かって何かが飛び出す。それは真っ直ぐゴブリンキングへ向かっていき、トスッと軽い音を立てて突き刺さった。


 ダーツだ。


「は?」

「毒ダーツだよ。効果は薄いだろうけど、少しくらい体力を削れるでしょ」


 エリオが青い顔のロウを盾にしてダーツを構えていた。援護はありがたいけど、ロウは大丈夫なのか? 顔色がほぼ死人だけど。


「チビのウラナが頑張ってんのに、吐いてばっかいられるかよ!」

「小さい女の子ばかり戦わせてたら、男の名が廃るだろ!」

「お前ら後で覚悟しとけよ」


 誰がチビだ。お前らがでけぇだけだっての!


「ギャッ!」

「シャアアッ!」

「ウラナ! よそ見するな!」


 いつの間にか、ゴブリンキングが目の前に来ていた。ゴブリンキングの向こう側に、棍棒が置き去りになっているのが見える。重量のあるソレを手放したことで身軽になったというわけかよ。


 慌てて距離を取ろうとしたけど、足に激痛が走る。見ると、ゴブリンキングの足が私の足を踏みつけていた。力任せに抜こうとしたけど、STRが初期値の私では無理だった。HPが削れている。


「ギャヒィッ!」


 ニタニタと黄ばんだ歯を見せつけながら、ゴブリンキングが拳を振り上げる。さすがにこれは、死ぬのではないか。


「ウァアアアッ!」

「ブフーッ!」


 ミケとイノが鳴き声で威嚇してるが、効果はない。ミケの影魔法がゴブリンキングを襲うけど、ひっかき傷しかつくれない。イノは私を巻き込むから突進はできない。


 詰んだ。


 これはなんだろう。ゴブリンキングが拳を振り下ろす様がスローモーションのように見える。


「ウラナ!」

「そんなっ! ダメよー!!」

「逃げろ、ウラナー!」


 拳が徐々に迫ってくる。走馬灯だろうか。懐かしい漫画のシーンが頭に浮かんでくる。そうだ、クマから逃げる時にも思い出したこの漫画、いじめられっ子がボクサーになる作品だったっけ。


 あの作品でも、相手に足を踏まれて、めちゃくちゃに殴られるシーンがあったなぁ。


 自然と、右手に握りこぶしを作っていた。DEXが高いおかげで、ゴブリンキングの動きは細部まで見えている。


 相手の拳に当たらないように頭を横に逃がし、感覚が鈍る足を踏ん張り、ゴブリンキングのにやけ面に右手を叩きつけた。


 ゴギャッ


 生々しい音が聞こえた。右手が痛い。


 ドシャッ


 重いものが地面に落ちた音がする。私は、生きていた。右手は真っ赤に染まってて、指の骨が折れているのか、変に曲がってる場所もある。

 とても痛い。


「あ、ゴブリンキング……」


 私の視界に入ったのは、ゴブリンキングだったもの。顔はぐちゃりと潰れ、ところどころ骨が出ている。とてもグロテスク。そこから真っ赤な血溜まりが地面に広がっていて、ピクリとも動かない。


 よく分からないまま、私はゴブリンキングに勝利していた。

お読みいただき、ありがとうございます。

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