57話:VSゴブリンキング
戻ってきて早々に、ゴブリンキングに一撃くれてやりました。やったぜ。ヴィンセントさんの目が怖いけど後悔はしていない。瞳孔バチ開いてる感じなんですけど、獣人にとって普通なんでしょうか。人間だったら瞳孔開いてたら危ないです。すぐさま病院へ。
「ブモッ」
「はい、すみません」
イケメンのキレ顔にビビってたらイノさんに注意されました。戦闘中によそ見するなだそうです。正論。
猪の言葉がわかるのかって? わからん。鳴き声のニュアンスでなんとなーくこう考えてるだろって思ってるだけ。でも、注意されたっぽいのは間違ってないと思うんだよね。
「なんで戻ってきた!」
耳がキンッとした。タークスさんはこちらには来ないものの、しっかりと大盾を握りしめ、タンクとしての役割をこなそうとしている。目にはいら立ちと、疑問が浮かんでいた。言葉通り、私が戻ってきたことに驚いているんでしょう。
「私だって、バックラーなんです。守りたいものがある」
近くのゴブリンが私に向かって飛び掛かってきた。私が何かをする前に、私の影がにゅっと動いて串刺しにする。ミケちゃんの影魔法だ。
「村にはちゅんが助けを呼びに行ってます。イノが仲間になったことで手数も増えた。助けが来るまで、もちこたえてやりますとも」
「ブフゥッ」
「にゃー!」
ゴブリンキングを真ん中に、私とイノとミケで取り囲む。緑子は移動と守る関係で私の肩にはりついていた。ミケでも良かったんだけどね。つるっと滑って地面に落ちたら危ないから、私にはりついている。糸でがんじがらめになってるから、ちょっとやそっとのことでは離れない。
「ギギィッ!」
ゴブリンキングは私とイノを睨みつけてくる。ダメージを与えたから、ヘイトが向いてるんだね。イノの方が大ダメージを与えてるから、メインはイノ、次点で私、ミケは圏外って感じかな。緑子は私の巻き添えで見られてるね。ごめん。
「ギャギャ!」
「キシャー!」
周囲のゴブリンたちも私たちに敵意を見せている。イノは鼻息荒く後ろ足を数回蹴り上げ、私が止める間もなく突っ込んだ。
ドシャッ、グチャッ、バキャッ、ボキャッ!
生々しい音がいくつか響く。また惨劇の現場をつくりあげていた。これは、イノが強すぎるのか、ゴブリンが弱すぎるのか。どっちなんでしょうね。
多分どっちも。
「オエッ」
「グッロ……」
フェンが吐いたらしい音と、エリオの呟きが聞こえてきた。なんかごめん。
ゴブリンたちはイノにビビって隠れてしまった。仲間が無慈悲にも肉塊にされたらそうなるよね。わかる。
「ブルルッ、ブモォオオオ!」
「ギシャアアアア!」
2匹は雄たけびを上げて互いを威嚇する。イノがチラッと私を見た。
「イノ、突撃!」
「ブモァ!」
私の声と同時にイノが勢いよく走り出す。ゴブリンキングが棍棒を振り下ろしたが、今回は大振りだったからイノは自分で避けた。
ゴシャッ!
イノの頭がゴブリンキングの脇腹に突き刺さる。弾き飛ばされたゴブリンキングは、地面を何度かバウンドして地面に突っ込んだ。とても痛そう。
「ギャアアアアア!!」
「うぉっ!?」
「ニャッ!」
丸太のような棍棒が飛んできたのでかわす。ミケもすんでのところでかわしていた。ゴブリンキングが武器を手放したらしい。
「キャシャアアアアア!!」
「ピギァアアアアア!!」
武器を手放した理由は、怒ったからのようだ。狂ったように頭を掻きむしり、イノに向かって威嚇をしては、じだんだを踏んでいる。癇癪を起こした子供みたいだな。
「ギィ、ギリギリギリギリ」
「歯ぎしりすっご……」
「油断するな! ゴブリンキングは残HPによって行動が変わるぞ!」
「ギシャアアアアア!!」
ゴブリンキングの雄たけびが響き渡る。しばらくすると、逃げていったはずのゴブリンが戻ってきた。彼らは苦しそうに、恐怖に押しつぶされそうになりながら武器を構えている。どうやら、強制的にゴブリンたちを使役しているようだ。ダンジョンボスみたいな仕様ですね。
「チッ、こっちにも来やがった」
「隙を見てウラナを手伝いたかったんだがなぁ!」
ヴィンセントさんの舌打ちがとても怖い。タークスさんが群がってきたゴブリンたちの視線を集め、ヴィンセントさんが1体ずつゴブリンを始末している。あちらは大丈夫かな。
問題は私の方である。
「ゴブリンたち、悪い事は言わないからどっか行ってくれ。肉塊になりたくないでしょ!」
「グロイことを言うな!」
イノならできる。だって、2回くらいゴブリンをミンチにしてるんだもの。これ以上のグロはおやめいただきたいのです。
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