55話:反撃の準備をしよう
グレートボアと契約することになりました。名前はイノシシだからイノです。脳裏のヴィンセントさんが「えぇ……」って顔でこっちを見て来たけど知りません。緊急事態に出てこないでください。
問題はこちらである。
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名前:イノ
性別:♂
種族:グレートボア
スキル:再生力、威圧、突進、庇う
LV.45
STR:60
DEX:50
VIT:80
INT:15
MND:20
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つっよ。控えめに言ってつんよい。レベル45ってなに? そりゃゴブリンたちもミンチになるわ。最初に会った時、なぜボロボロになっていたのか不思議なくらいだ。
そう、不思議。ゴブリンたちは弱い。私でも余裕で倒せる。なのに、イノさんと、一緒にいたグレートボアはボロボロだった。私の頭はもしかして、とある答えを浮かばせる。
「あの時の怪我は、ゴブリンキングのせい?」
「……」
イノさんは答えなかった。でも、力強い視線で私を見返してくる。それが答えだった。そっか、そりゃ、あんだけボロボロなわけですよ。
ボロボロになってはいたけど、ゴブリンキングから逃げることはできたのだ。それはすごいこと。私のDEXが高すぎるばかりにかすれがちだが、アイツもそこそこの反応速度あったからね。
「イノさん、強かったんですね」
「ブフゥ」
当然とでも言いたげな鼻息。顔面に生暖かい空気が当たる。獣の息って独特のにおいがあるよね。
時間が惜しい。次だ。私のステータスを確認する。結構なゴブリン倒してたから、少しはレベル上がってるでしょ。
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名前:ウラナ
性別:女
種族:アンデッド
ジョブ:召喚士
スキル:召喚、契約、見切り、受け流し、豪運、暗殺、チェンジ
LV.26
STR:1
DEX:126
VIT:1(+1)
INT:1
MND:1
ボーナスポイント:25
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5レベも上がってた。直接手を下してなくても、手伝ってれば微量でも経験値が入るっぽいからね。これだけゴブリンが多かったってことでしょう。ボーナスポイントはすべてDEXに入れておいた。これで151だ。なんとキリの悪い。
そして、スキルの中に『チェンジ』がしっかりと入ってた。これを使えば、私と召喚獣の位置を入れ替えたり、召喚獣と召喚獣の位置を入れ替えたりできる。私や召喚獣以外の人や物との位置入れ替えはできないらしい。それができたらもっと便利なんだけどな。さすがに高望みか。
「ちゅん!」
『召喚』を使ってちゅんを喚び出した。戦わせるためじゃない。メモにゴブリンキングがいたこと、捕まってる女性がいること、救援要請を簡単に書いてちゅんに持たせる。
「お前にかかってるからね。村長さんになるべく早く届けて」
「にゃー!」
「ちゅんっ!」
ちゅんはすぐに状況を理解し、私とミケに敬礼して空高く舞い上がった。どこで覚えた、その敬礼。そのあと、結構なスピードでポテラ村の方に飛んでいく。あとは、私が死ななければ大丈夫だ。私が死んだら、召喚獣たちは野生に戻る。そうならないように生き残り優先で頑張るだけだ。
「……威圧よけ、そろそろ飲んでもいいかな」
時計がないから、何となくでしか時間がわからない。メンタルカバーは、多分切れた。心を守られてるって感覚がなくなったんだよね。
いいか、飲んじゃえ。メンタルカバーの効果時間は過ぎてるでしょ。
蓋を開けて、中身を一気に飲む。しばらくすると、なんとなーく思考にモヤがかかるような感じが出てくるはずだ。思考の妨げにはならない。心を守ってくれてる証拠だ。
用意はできた。
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