46話:いざ、大森林へ
大森林が近づくにつれ、ゴブリンの数が増える。ちょっと、多すぎじゃないかってくらいに、これで集落じゃなくて群れの範囲だってんだから、やってらんないよね。上位種が増えるにつれ、私の弱点が露呈し始めた。ってか、露呈も何もわかり切ったことだった。
私、威圧されると、動けない。
いや、ほんと。私もびっくりするくらい動けない。足がすくんで動けないってあんな感じなんだね。地面にべったりと縫い付けられたように動けなくて、ミケに引っかかれて、痛みに叫んで、何とか解除されたことが数回。威圧よけの効果が切れるとどうしようもないんだよね。参ったわ。
「威圧されるのは運よく引っ込んでる時だが、注意しろよ」
「はい!」
「ミケを後頭部に装備しとけ。ミケ、いざとなったらひっかけ、死ぬよりはましだ」
「にゃん!」
肩に後ろ足、頭に前足をのせて、踏ん張っているミケが「当然」というように力強くうなずいた。ハゲにならない程度でお願いしたい。命はなによりも優先されるが、それはそれとして女のハゲはダメージがデカいんですよ。私はまだ若いうちにハゲたくない。死ぬのはもっと嫌なので、そこは我慢する。
「MNDが低いフェンだって踏ん張れてるのに」
「私はな。すべてを犠牲にして足が速いんだ」
「自分のジョブが魔法系のジョブって理解してる? 馬鹿なの?」
うるせー。私だって、スキルガチャがもうちょっと何とかなってたら、他にも振ってたわい。覚えてるスキルが軒並みDEX参照で、生き残り特化型だったんだから仕方ないんです。ヴィンセントさんがじっとこっち見てるから反論しないけどさ。エリオと言い合いするようになってから、エリオと話してるとじっと見られるようになりました。イケメンの真顔が怖い。
「召喚士なのにDEX値を上げてなんになるんだよ」
「見切りと受け流しが通用するようになる」
「召喚士が頼るスキルだとは思えないな」
ロウとフェンもつっこんでくるが、私が一番思ってるので何も言わない。
「お前ら、大森林に入るぞ。ウラナイジリもほどほどにしとけよ」
「了解です! タークスの兄貴!」
「もちろんです」
「別にイジってませんよ」
タークスさんに言われたらそっこういい子ちゃんぶり始めた。はいはい、バックラーオタク、バックラーオタク(私を除く)。
「……にゃ」
「どうした? ミケ」
大森林に足を踏み入れると、ミケが控えめに頭皮に爪を立てた。尻尾をたしん、たしんと打ちつけて落ち着きがない。緑子も頭をふらり、ふらりと動かしている。様子がおかしいので周囲を警戒してみたが、こちらに気付いてないゴブリンらしき影はあるけれど、おかしなものは見えない。もしかしたら、じめーっとまとわりつく空気に座りが悪いのかもしれないな。木陰が多いせいで湿気がこもってるから、そう感じるんだろう。
「大丈夫。いざとなったら逃げよう。私の逃げ足は速いよ」
「にゃあん」
「!」
2匹を撫で、前を行くみんなに置いていかれないように足を速める。まぁ、DEXが高いから、置いて行かれる心配はないんだけどね。すぐ追いつくし。
「……ブフゥ」
お読みいただき、ありがとうございます。
ブックマークや評価、感想など頂けると今後の励みになります。




