45話:知らん間に前に出ちゃう
「ウラナ邪魔!」
「なんでエリオが後ろにいんの?」
「お前が飛び出てるからだよ!」
飛んでくるダーツをかわし、ゴブリンにアサシンエッジを当てて倒す。森に近づくにつれて、ゴブリン達との戦闘が増えていた。
「ウラナ、足速いからって出すぎるのはダメだ。何のためのタンクか分からなくなる」
「頭ではわかってるんです。タークスさんより後ろにいるべきだと。しかし、気がついたらみんなが後ろにいる。なんでだ」
「攻撃した後に戻ってこないからだよ。前に出たら戻ってくれ」
「すみません」
敵を攻撃したあと、傍にまだいるからって追撃してるせいですね。ほんと、迷惑になるから気をつけよう。
「お前、集団で戦うの下手くそかよ」
「何も言い返せない」
「そもそも召喚士なのになんで直接攻撃しかしないの? 魔法攻撃は?」
それはミケちゃんの担当ですね。ロウからぶちぶちと言われるが、反論できないから黙っとこ。コイツもタンクだし、タークスさんと同じように迷惑かけてることに変わりはないからね。
「ダーツかスリングを持たせるべきだったか」
「魔法ジョブが暗殺スキルを覚えるとは思わなかったものねぇ」
「今から石投げさせとくか」
ご迷惑をおかけしてすみません。私がしゅん、となっている横で、ミケは素知らぬ顔をして毛繕いをしていた。うん、ミケはなんも悪くないからね。毛繕いしてていいよ。緑子はいつものように何を考えているのか分からない顔で頭を上下に振っていた。周りを警戒してるのかもしれないし、私とタークスさん達を見比べてるのかもしれないし、特に意味はないのかもしれない。召喚獣たちの中で一番自己主張しない子なんだよね。
次の戦闘で小石を投げてみた。しかし、コツンッと当たるだけでダメージは入ってなさそう。何度か試したけど、小石が当たったゴブリンたちはそろって「ん?」って顔するだけでした。
「DEXは命中率に関係するが、ダメージ量はSTR参照だと忘れていた」
「なんでアサシンエッジはダメージが通るのかしら。しかも一撃必殺」
「暗殺スキルはダメージがDEX値参照だからだな」
「ウラナのDEXなら一撃必殺なわけだよ」
結論、今まで通り近接戦闘をすることになりました。出すぎたらヴィンセントさんやタークスさんが声をかけてくれるそうです。お手数をおかけして面目ない。
「小石に毒塗ったら? 毒薬あげるよ」
「毒薬が肌についたらヤバくない?」
「肌荒れするだろうね」
いざとなったらやるけど、通常戦闘で肌荒れしてられるか。そう思ったけど、腕で伸び縮みしてる緑子を見てひらめいたことがある。
次の戦闘で試してみた。緑子を手の甲に引っ付かせておいて、合図したら毒液を吐かせて攻撃してみたのだ。緑子も私の意図を察してくれたようで、タークスさんやロウを通り過ぎてゴブリン達に毒液がかかる。襲ってきたゴブリン達はしばらくもがいた後、泡を吹いて絶命した。おー、結構いいんじゃない?
「ウラナ、緑子で遠隔毒吐きは止めてくれ。怖い」
「あの威力はエリオの毒とトントンだって! 当たったらヤバいわ!」
「ウラナ、解毒薬ってある?」
「ないっすね」
「そんな危険物を味方が当たるかもしれないとこで使うな」
ごもっともな叱り方をされた。たしかに、私の配慮不足です。すみませんでした。
召喚士なのに近接戦闘続行です。今回の依頼が終わったら、マジックショップで魔法攻撃のスクロールを買おうかなぁ。DEXを参照する魔法攻撃ってありませんかね。
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