42話:群れと集落の違い
キャシー姉さんいわく、群れと集落の違いは拠点の有無だそうだ。群れは一時的にゴブリンが協力して行動する。その時のリーダーが上位種に進化する場合があるそうだ。
一方、集落は拠点がある。数多くのゴブリンが拠点となる場所に定住し、数を増やす。
「ゴブリンの集落ができた場合、一番恐ろしいのは女性被害よ」
「さっきの話ですね」
「ええ。ゴブリンは雄しかいないのよ。普段であれば、魔力溜まりから自然に発生する程度なんだけど、集落ができた場合、近隣から人型の雌を誘拐してきて子供を産ませるの」
「うわぁ……」
「ゴブリンの集落に誘拐されたから自死したっていう女冒険者も多いのよ」
ここで、村長さんが言っていた言葉をようやく理解した。大事な娘をゴブリンたちに奪われたくないって思うわけだ。ゴブリンたちとの戦闘を経験したからこそわかる。私より少し小さく、汚い小人。アレに襲われるくらいなら、私も自死を選ぶかもしれない。まぁ、捕まる前に逃げ切ってやりますけどね。伊達にDEXが高いわけじゃない。私には目標があるんだ。生き残り優先、これは鉄則。
ミケが私の脛に頭をこすりつけて来た。目線が合うと「にゃぁん」と可愛い声で鳴く。ちょっと怖くなったのが分かったらしい。さすがは猫ちゃん、人間の気持ちをよくわかってる。撫でようとしたら逃げられた。撫でられる気分ではなかったらしい。可愛いね。
「群れならリーダーを倒せば散るけれど、集落の場合は完全に倒しきらないとまた集落をつくるっていうところも面倒な話なのよ」
「根絶しないとダメなんですね」
「ええ。だから、基本的にはシルバーランクのチームが複数で事に当たるし、万が一を考えてゴールドランクにも依頼を出したりするのよ」
人間(女性)を襲う可能性があり、倒すとなれば根絶が必要ってなれば、そうなるよなぁ。
「今回はあくまで偵察だから、無茶をしなければ何とかなるわ」
「集落があったら、冒険者ギルドに応援を要請するんですよね」
「そうよ。応援が来るまでの間はポテラ村で待機するの」
村には魔物除けの結界装置があり、普段は夜にしか起動してないが、非常時には燃料が切れるまで結界を張り続けることができるようだ。集落が見つかって、ゴブリン達の攻撃が激しくなった場合はこの装置を使って凌ぐらしい。何で動いているのかと聞いたら、日光のエネルギーと周辺に漂う魔力で動いているようだ。この世界にも太陽光発電みたいなものってあるんだな。
「空中に魔力って漂ってるもんなんですね」
「生き物の吐息に魔力が含まれてるのよ。体に害はないから、安心してね」
私が吐いてる息にも魔力が含まれてるってことですか。ステータスを見ても魔力が減っている様子はないので、本当に微量らしい。異世界って面白いなぁ。
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