41話:ゴブリンの危険性
「ねこたん!」
「ぉあー!」
ミケが悲鳴をあげている。話し合いが終わった頃に、村長さんの娘さんとお孫さんが部屋に入ってきたのだ。夕飯までのつなぎにじゃがいもを蒸したものを持ってきてくれたの。バターや塩も少しあった。ありがたくご馳走になろうとしたところ、ミケがお孫さんの興味を引いてしまった。現在、揉みくちゃにされている。
「にゃーにゃー!」
「こら、ルビー。乱暴にしたら可哀想よ。すみません、すぐ離させますので」
「あはは、まぁ、猫は可愛いですからね。ぎゅーってするんじゃなくて、優しく撫でてあげて欲しいな」
娘さんはシャイニさん、お孫さんはルビーちゃんという名前だった。じゃがいもの品種名じゃないのか。ちょっと期待してた私がいる。
「ふっ!」
「あっ、にゃんにゃー!」
我慢の限界が来たようで、ミケが私の服をよじ登ってきた。あとを追いかけてルビーちゃんも私に抱きつき、体をよじ登ろうとしてきたところをシャイニさんに捕まった。肉ごと服を思いっきり握られて、めちゃ痛かったので助かったよ。
「いい加減にしなさい! すみません、どこか打ちませんでしたか?」
「ははは、大丈夫です。たぶん」
「やー!! ねこちゃー!! あーー!!」
「フーッ!」
私の頭の横でイカ耳で怒っている。ひっかかなかっただけ偉い。ギャン泣きしているルビーちゃんを連れて、シャイニさんは部屋を出ていった。お母さんは大変だなぁ。
「孫が申し訳ない。普段は大人しい子なのですが、ゴブリンの騒動でワシのもう1人の娘が来られなくなりましてな。寂しくてあのようなことをしておるのです」
「それは残念でしたね」
ルビーちゃんは叔母にあたるマルさんが大好きで、それはそれは楽しみにしていたようだ。
「あの子には悪いが、大事な娘をゴブリンに奪われてはたまりませんからなぁ」
ゴブリンに奪われる? 危害を加えられるってことでいいんだよね。ちょっと引っ掛かりを感じながら、村長さんはルビーちゃんを慰めに行くということで別れた。
「キャシー、ウラナにゴブリンの説明をしてないのか」
「ウラナはまだ幼い女の子なのよ? 言っても分からないわよ。危険だってことがわかってればいいじゃない」
「……そうだな」
そうだなじゃないんだが。ヴィンセントさん、キャシー姉さんの誤解をそのままにしないでください。ミケが私を見て「フッ」と言ったけど、あれは私を笑ってる。間違いない。
「私って何歳に見えます?」
「ロウ達より下だろ?」
タークスさんに聞いてみたらこれである。私は16歳です。ヴィンセントさんをじっと見てみるけど、気まずそうな顔をして目をそらされた。ウラナは16歳だと言ってくれるだけでいいんですよ?
部屋に戻ってからキャシー姉さんに年齢を伝えるとすごく驚かれた。遺憾の意。
「ごめんなさいね。てっきり12歳くらいかと思ってたのよ」
「ヴィンセントさんにも言われました」
「あらやだ。ヴィーったらウラナに年齢聞いたりしたの?」
「いえ、私がボソッと呟いたら驚かれたんで、その流れで話しただけです」
「よかった。年齢を直接聞いていたらぶん殴ってたところよ」
ぶん殴るほどのことではないと思います。
「以前、ゴブリンの危険性については説明したわよね」
「はい。ゴブリンは駆け出しの冒険者の最初の難敵。上位種がいれば大きな群れができていて、シルバーランク以上の対応が必要。ゴブリンキングがいる場合、シルバーランクのチームが複数で対応する必要があるってやつですよね」
「そうよ」
これはタークスさんがオズワルドさんから依頼を受ける時に、キャシー姉さんとヴィンセントさんから聞いていた。そういえば、ポテラ村に来る前の話で、集落ができてる可能性について話してたよね。群れはできてるんだから、同時に集落もできてるようなもんじゃないの? そこら辺を聞いてみた。
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