43話:猫獣人と猫って似てるところあるんだね
晩御飯である。ポテトグラタンだった。とても美味しかったです。ミケは川魚、緑子はそこらの葉っぱ、ちゅんは潰したじゃがいもを貰ってご満悦だ。よかったね。
「いやあ、やっぱポテラ村のじゃがいもってうめーな!」
「そうっすね! ポテトフライもうまいっす!」
「自慢のじゃがいもですからな。チップスも絶品ですぞ」
「とてもうまい!」
少し離れたところでは、村長さんとタークスさんがじゃがいもを肴にエールを飲んでいる。すっかりできあがってて声がデカい。ロウやフェンもテンション高めだ。13才だから酒なんて飲んでないのにね。場酔いってやつかな。楽しそうで何より。
「うるさいわねぇ。静かに飲めないのかしら」
「タークスがいる限り無理だな」
「ロウとフェンを眠らせてきましょうか?」
「止めて差し上げろ」
瓶を片手に、にこやかに立ち上がろうとするエリオを止めた。明らかに毒物です。いい気分で楽しんでんだから止めてあげてよ。
「毒じゃないよ。寝るだけ」
「じゃあなんで毒のマークついてんのさ」
「睡眠毒だから」
「やっぱ毒なんじゃねぇか」
仲間に毒を盛ろうとするのは止めて差し上げろ。可哀想だろ。
「なぁん」
「ん? どうしたのミケ」
「ふっ」
ミケが窓の外を見る。耳をピコピコと動かし、音を拾っているようだ。私も意識を外に向ける。窓の外、村の柵の外には小さな人影が行ったり来たりしていた。ゴブリンの影だ。柵から中に入ろうとしているが、嫌そうな顔をして止める。それを繰り返していた。
「ゴブリン、多いですね」
「そうねぇ。でも、結界があるかぎり、村に入ることは無いわ」
「少しうるさいがな」
私はタークスさん達がはしゃぐ声で聞こえないが、ヴィンセントさんにはゴブリンが騒ぐ声が聞こえているようだった。ミケと同じように、彼の頭の上にある猫耳がピコピコと動いている。……イケメンの猫の獣人さん相手に言うことじゃないけど、可愛いな。
「おい、その草を振ったら怒るぞ」
「すみません」
出来心でねこじゃらしを取り出したら叱られた。そらそう。どこからねこじゃらしを持ってきたのかって? ルビーちゃんに村を案内してもらった時に見つけたんだよ。もちろん、村の中でだよ。それをつかってミケとルビーちゃんの交流を深めたのだ。なぜか、私がミケとルビーちゃんをじゃらしてたんだけどね。ルビーちゃんが草を振ってじゃらすことを想定していたのに、なぜああなったのか。よくわかりません。
「ポワ草じゃない。ミケちゃんの玩具用?」
「はい。ルビーちゃんが見つけてくれました」
「猫ってその草好きよねぇ」
どうやら、ねこじゃらしはポワ草という名前のようだ。ぽわぽわしてるもんな。
「ヴィンセントもその草で遊ぶの好きなのよ」
「違う。やめろ、誤解だ」
「風に揺れてたら叩きに行くじゃない」
「やりたくてやってるわけじゃない」
どうやら、ヴィンセントさんもこの草が揺れてたらじゃれついてしまうようだ。猫獣人にもねこじゃらしは有効ということですな。ミケは揺らされてなくてもねこじゃらしが好きなようで、私に前足を置いて体を伸ばし、必死にパンチしている。楽しそうね。
「うるるる”っ。ごろごろ」
「喉鳴らすくらいお気に入りなんかい」
「うなぁん!」
しばらくねこじゃらしで遊ばせてたら、ミケよりはるかにでかい手がねこじゃらしを掴んだ。見ると、瞳孔をかっぴらいたヴィンセントさんである。目が怖いです。
「うなぁ!」
「はっ! すまん、間違えた」
「ふっ!」
ミケがぽわぽわを潰されて抗議している。正気に戻ったヴィンセントさんはミケさんに謝りながら、ねこじゃらしは握ったままだ。気に入ったのかな。
あんまりにもミケが怒るので、またねこじゃらしをとってきてあげることを伝えてなだめた。今度は紐で遊ぼうとしたんだけど、なぜかヴィンセントさんが釣られて、またミケに抗議されるのを繰り返した。猫の獣人も猫と同じことして遊ぶんですかね。瞳孔かっぴらいて集中してるヴィンセントさん、イケメンだから迫力がヤバくて怖かったです。
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