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召喚士なのに前に居る  作者: マナ
3章:ポテラ村

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39話:作戦会議

 ヴィンセントさんが回復したので、依頼主であるポテラ村の村長さんを交えての相談だ。ゴブリンの被害と、今後の行動について話す。


「私がポテラ村の村長、メークインと申します。この度は私どもの依頼を受けてくださり、ありがとうございます」

「バックラーのタークスだ。よろしくな」


 メークイン、じゃがいもの品種かな。村の名前はポテトのもじりだし、村長は品種の名前だし、じゃがいもにちなんだ名前が多いのかもしれない。インカの目覚めさんとかいたら二度見する自信あるよ。


「早速だが、被害が出始めたのはいつからだ?」

「数週間ほど前になります。最初は村の外から来る商人が姿を見かける程度のものでした。段々と見かける回数が増え、出現場所も村に近くなり、依頼を出したのです」


 村長さんがテーブルの上に地図を広げる。村周辺の場所にいくつかバツ印がついていて、上には日付がついていた。日にちが進むにつれ、村の近くにバツ印が動いている。バツ印の数も多くなっていた。


「多いし、近いな」

「既に群れがあると考えた方がいいだろう」

「キングはまだ出てないと考えてもいいのかしら」

「ゴブリンがグレートボアを襲ってたんだよな」

「イレギュラーだが、キングがいたら外に上位種がもっと出てくるはずだ。まだ産まれてないと考えていいんじゃないか」


 3人が真剣に考えている横で、私はミケと戦っていた。油断すると地図の上に乗りに行くんだもん。真面目な話し合いで猫あるあるをかまさなくていいんですよ。大人しく私の膝の上にいなさい。ミケに気を取られてたら、緑子もテーブルの上にお邪魔してたらしい。フェンから「お前の従魔なんだからちゃんと見てろよ」と頭の上に乗せられた。ごめんて。


「ちるるっ」

「にゃぁお」

「君たち、大人しく私のそばにいなさい」


 話が全く頭に入ってこない。


「ウラナ、ちゃんと聞いてるのか」

「すみません。聞いてませんでした」

「従魔に人間の話し合いなんて関係ねぇからなぁ」


 あまりにもミケたちに翻弄されすぎて、ヴィンセントさんに注意された。申し訳ないが、3匹がかりで地図の上に繰り出さんとする獣ーズを何とかしてるので許して欲しい。


「可愛いですなぁ。猫をテイムしている方を初めて見ましたが、これだけ可愛いとアリだと思いますねぇ」

「みゃおん」


 可愛いという言葉に反応してミケが村長さんの方に愛嬌をふりまきに行った。テーブルの上を歩くのがそもそもよろしくないのに、あろうことかミケは村長さんの肩に乗り、ごりごりと頭をこすりつけている。初対面の方に何をしているの。帰ってきなさい。


「すみません、すみません」

「いえいえ、最近はゴブリンの騒動で荒れてましたからな。こういう癒しもよいものです」


 村長さんが優しい人で良かった。ミケを膝にのせても良いかと聞かれたのでどうぞ、どうぞと許可しておく。しばらく村長さんの癒しになってなさい。


「つやつやのふわふわですなぁ。ほほほ」

「にゃん」


 どや顔しないの。


「ロウ、ゴブリンアーチャーを見たのはどこだ?」

「村から出て、少し行った所です。大森林へ続く道のところで接敵、戦闘になりました」

「数はゴブリンアーチャーが1、ゴブリンが4でした。俺達で倒せる程度なので、レベルは20もないんじゃないかな」


 ゴブリンアーチャー、遠距離攻撃をしてくるゴブリンか。そいつが出たのは村から出てすぐのところにある大森林からなんだね。大森林の向こう側には、クレア=ドミニオンと書かれている。なんだこれ。


「キャシー姉さん、クレア=ドミニオンって何ですか?」

「アルヴェリアに隣接している王国よ。創造神の信仰が根強い国ね」

「なるほど」


 私を殺してくれやがった神を祀ってる国かぁ。


「アルヴェリアとクレア=ドミニオンの間にある大森林、そこにゴブリンの群れができてるかもしれないわね」

「境界大森林ネーマスか。そういや、最近荒れてるって噂があるな。普段は奥の方でしか見ない魔物が移動してきたとか」

「今回のゴブリンも何か関係があるかもしれないな」


 クレア=ドミニオンの名前を頭に刻んでいると、大森林の話になっていた。ネーマスっていうのが正式名称で、ポテラ村の人達は魔の森って呼んでるらしい。魔物が出て来て危険な森だそうだ。奥の方に行くと、レベルの高い魔物もわんさかいるらしい。ゴブリンも森に元々いた魔物だが、食物連鎖の最底辺で、増えては食われを繰り返しているせいで村のところまで出ることはなかった。それを聞くと、今回の異常性を強く感じるよね。


「明日の早朝、偵察に行くぞ。集落があったら、ギルドに応援を送ってもらわねぇとな」

「ちゅんに偵察してもらうのは?」

「まだ契約したばっかだし、なんかあったらちゅんもウラナも可哀想だろ。ゴブリンアーチャーいたし」

「それもそうね」


 バックラーとブルーリムの合同で行動することになりました。念のために、ちゅんとクロを村の守りとして置いて行くことになった。人手が必要になったら、私が召喚すればいいだけだしね。村長さんにもそのことは伝えておいた。突然クロとちゅんが村からいなくなったら、召喚されたって思ってもらおう。召喚士があまりにもマイナー過ぎて、説明がとても大変だったのは気にしない。

お読みいただき、ありがとうございます。

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