表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
それでも彼らは眠らない。  作者: Riviy
第七章 それでも彼らは眠らない。
74/76

第七十四話 【天罰】と云う名で呼ばれた【神堕ち】と云う闇堕ちの末路

「落ちた【天罰】、消えた命運」




「うわぁああああああ!!!」

「きゃあああああ!!」

「ど、どうかお救いをっっっっ!」


逃げ惑う人間達の悲鳴が木霊する。【神の子供】と【神穢シンエ】、神達が武器を振るうたびに、歩みを進めるたびに、視界が赤く染まっていく。地面が赤く染まっていく。空が、黒く染まっていく。仲間や友人が復讐に駆けていく中、零耶は玲御と統軌と共に動かないでいた。繋いでいた手を離し、カタカタと揺れる武器に手を当てる。自分と同じ怒りと憎しみを訴えている。風に揺れて、両耳のイヤリングがキィン…と音を奏でる。


「行かなくていいの?」


その声に振り返れば、両親達がいた。統軌はクスッと笑って父親に言う。


「僕らの分も兄さんや姉さんが、友人が殺っちゃうよ」

「それに、此処に何人か残ってないと駄目でしょ?」


統軌と玲御が「「ねー」」とまるで兄弟のように、悪戯っ子のように言えば、両親達は小さく笑った。まったく、この子達は……

だが、そんな2人とは違い、考え込んでいた零耶は真剣な表情で小さな声で呟いた。


「……滅亡と創造は、繰り返される。罪も、同じ」


白かったものが黒く染まっていくように。水面に波紋が広がるように。それは、罪も同じ。

それを聞いていた零耶の父親が彼の頭を布越しに撫でながら言った。


「それは、もう、忘れなさい。君達はすでに神の領域に立ち入っているのです。罪は刻まれ、残ります。けれど、その後は、人間かれらの物語です」


その言葉に、零耶は感極まった。例え、人間に復讐を、憎しみを、怒りを抱こうとも滅亡した世界と創造された世界は違うと、人間かれらは違うと割りきれる彼が凄かった。辺りを見回せば、そうだと言わんばかりにイーラやプライド、才蔵、八咫烏、長老などが頷いていた。自分達は、まだ未熟だ。その場その場の感情に流されてしまう。今だって、怒りと憎しみに流されている。子供達と共に殺戮に明け暮れる神達はそれを知っているからこそ、自分の、子供にしてやれなかった償い、人間に気づかせられなかった償いとして動いているかのようであった。

零耶は、短刀を握り締める。嗚呼、同じだな。【天罰】を下し、再び、新たな創造を。ルールに従った、神の償いを。


暫くして、殺戮に駆けて行った仲間達が帰って来た。血塗れになった彼らは、恐ろしいほどに、残酷で美しかった。人間達には逃げられてしまったが、これから【天罰】を下すのだ。全員、死ぬ事には変わりなかった。世界が滅亡する事には変わりなかった。


玖陽と【天照大御神】が再び、手を繋ぎ、歪んだ五芒星を足元に展開させ、彼らの足元を囲んだ。いや、それだけではない。神も、子供も、誰の足元にも歪んだ形の陣が現れる。三角、丸、四角、花、月、星……地面に広がる歪んだ紫色。それは、彼らの感情で、世界の罪で、人間達の罪で、そして


「キレイ…」


神達の罪。

月光に反射して浮かび上がる紫色の陣。陣から発せられた紫色の光が月光に反射して、その光景は美しくも禍々しい。玲御がそう感嘆したように、小さく息を吐きながら呟く。【神の子供】の女性陣は、見たこともない光景に玲御と同じように息を吐いた。此処からは自分達が知らない、「神の領域」。


【天照大御神】が玖陽の額に愛おしそうに口付けすると、手を強く握り、滅亡へのカウントダウンを始める。彼女の背後に控えている輪が大きくなり、神様、子供達、【神穢シンエ】達を囲む。その大きくなった輪に、玖陽の背後に控えていた輪も同じように大きくなる。その輪は先程の輪よりも一回り小さく、先程の中にすっぽりと収まる。小さい輪が月光の如く白銀に、大きい輪が太陽の如く黄金に輝き、そして二つの輪が、美しくも、禍々しげに輝く。まるで、昼と夜、そして、創造と滅亡を暗示しているようだと零耶は思った。

【天照大御神】が力強くも、美しく、凛と響く声を響かせる。


「我、【天照大御神】なり。今ここに、世界に刻まれしルールのもと、【天罰】を下さん。賛同者は、声をあげよ」


【天照大御神】の言葉に神達が一人一人、代表として声を張り上げる。


「「「【天之御中主神あめのみなかぬしのかみ】、【高御産巣日神たかみむすひのかみ】、【神産巣日神かみむすひのかみ】以下全ての神、賛同する(します)」」」

「【九尾の狐】以下全ての妖怪、賛同する」

「【源義経】以下全ての人間、賛同いたしまする」

「【蝶丸】以下全ての刀剣ぶき、賛同する」

「【神穢シンエ】、賛同する」


玖陽が仲間を横目に見やった。全員が力強く頷いた。玖陽もそれに頷き返す。【天照大御神】を真剣な瞳で見返し、告げる。


「【神の子供】、及び全ての兄弟、家族、同胞、賛同する」


玖陽の答えに【天照大御神】は頷いた。【神の子供】の中に、『戯れ』の犠牲者であるもう一人の子供を加えてくれたことが、嬉しかった。【天照大御神】は目尻にたまっていた涙を首を振って振り払い、玖陽に向かって頷いた。彼らの足元に広がっていた陣と輪が禍々しく輝く。【天照大御神】が繋いでいない方の手を天高く挙げた。


「今此処に、刻まれしルールを解放する。滅亡は創造へ、創造は滅亡へ。繰り返される輪廻転生よ、繰り返される罪と罰よ、繰り返される光と闇の結末よ」


地面が揺れる。地面に亀裂が入り、崩れかけたマンションが亀裂の中に吸い込まれていく。空を、美しい月も星も重く、暗い雲が覆い隠し、雷が怒りを表すように鳴り響く。空気は、言霊を運んでいるかのように、波紋のように振動する。何もかもが悲鳴をあげる。苦痛な、懺悔の悲鳴をあげる。

嗚呼、始まるんだ。零耶はそう、驚くほど冷静な気持ちで思った。それは神の領域に入ったからだろうか。それとも、【神穢シンエ】のお陰で洗脳が解けたからだろうか。それとも、闇堕ち、【神堕ち】したからだろうか。零耶は数秒毎に空洞化する片目に手をやった。瞳の感触が、指に伝わってくる。零耶は手を離しながら、短刀の"小鶴"の柄を握った。「誰も」欠けていないと言えば、嘘になる。けれど、もう、これからは、俺達は。本来の姿で、生きる。彼らの分も。罪滅ぼしの分も。


「さあ、私達の声を聞きなさい。私達の、従うべき系譜に耳を、心を、その想いを傾けなさい。これが、























私達が望んだ結末エピローグです」










途端、空が割れた。その割れ目から黒い霧が吹き出た。その霧は、一直線に零耶達を優しく、悲しく、暖かく、包み込んだ。世界を、骸を、生き残りを、生き物を、全てを包み込んだ。黒い霧は歪んだ陣と2つの輪を中心に渦を巻く。黒い霧の中、紫色に輝く陣と、白銀と黄金に輝く2つの輪。それは儚げで、美しかった。だが、その光景を見た「人間」はいない。黒い霧の中に、玖陽は、翠鶴は、珀蝶は、律夏は、鈴音丸は、遊姫は、鳴海は、獅雨は、清守は、守光は、神楽は、絡繰は、右京は、左京は、統軌は、玲御は、零耶は、暗闇に溶け込んで行った。最後に彼らの、空洞化した瞳と普通であった瞳に映ったのは嬉しそうに笑う家族の、輝かしいほどに美しい笑顔と暗闇に浮かんだ宝石のように輝く瞳だった。




明日くらいで終わります…投稿忘れていなければの話ですが(笑)

こういう終わり方、最初は違いましたが進んで行くにつれてこうなりました。なんでだろ…

あ、次回作決まりました!次回作でもスランプってます!此処、(多分)笑うとこ!


もう暫くお付き合いください!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ