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それでも彼らは眠らない。  作者: Riviy
第七章 それでも彼らは眠らない。
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第六十二話 政府と云う名の

「突入の悪夢」



政府へ行くことになった左京と右京。近くには同期の清守が真剣な表情で上を見上げている。全20階建ての政府の建物。今は夜のためか、上10階で明かりが点々とついているのみだ。右京は大太刀を肩に担ぎながら、前方を見やる。そこには入り口付近に立ってなにやら話し込んでいる"五天王"3人とそれを見守る八咫烏がいる。右京はちらりと背後を見る。同胞達が、仲間が、武器片手に真剣な表情で立っている。その表情の裏側には憎悪と怒りが宿っていた。


「怖いですか?右京」


左京にそう問われ、右京はハッと鼻で嗤った。


「んなわけねぇだろ?自分で望んだ事だ」

「ふふ、そうですね……ねぇ、右京」


右京が左京の寂しそうな声に顔を向けると本当に寂しそうに、それでいて不安そうな表情をしていた。扇で口元を隠してしいても相棒である右京には分かる。


「【真実】を見たとしても、相棒でいてくださいね?」


それに右京はニッコリと笑い、彼に向かって手を出した。姉であった桔梗がスパイで、しかも姉ではなくて……きっと左京は不安なのだろう。自分の補佐をしている冷静な彼もまた、子供なのだ。


「何言ってんだよ左京。オレ達はずっと相棒だ。その関係はかわんねぇよ」

「………ふ、ふふふ。そうですね。失礼しました、右京」


パチンとハイタッチをかわす2人。相棒であると云うことを、【真実】を見つめる事を、本来の姿に戻ることを、再確認した証拠だった。その微笑ましい同期達を見て、清守は小さく笑う。


「相棒の関係は強いね。私以上だ」


そう言った彼を見て、2人は何言ってんだと言いたげに顔を歪めた。それに清守が「何か失礼な事言った?!」と慌てる。それを抑えながら、左京が言う。


「落ち着いてください清守。ボクたちは仲間なんですよ?ボクと右京は背中を預け合う相棒です。しかし、清守が頼りないと言っているのでは決してありません。なので、容易に自分以上なんて言わないでください。除け者にされた気分です。ですよね右京」

「左京に同じく」


左京の言葉に清守は面食らったように呆けた。そして、申し訳ないと思いながらも嬉しかった。同期の中でも自分は頭脳派だと思っている。なので、みんなの役に立っているか不安だった。けれど、同期の左京と右京に言われて、嬉しかった。


「ごめんね、2人共。これからも宜しく」

「ハハッ!当たり前のこと言ってんじゃねぇよ次期"五天王"!」

「理解出来たのならば、それでいいです」


3人は突撃する前だと云うのに穏やかな気持ちでハイタッチをかわした。【真実】を聞き、本来の姿に戻ることを決意した今だからこそ、本当の仲間となった気がした。兄弟で、家族で、友人で、仲間である彼らと。と、清守の人格が変わる。けれど、冷たい気配が辺りに充満することはなく、彼は穏やかに笑っていた。それがなんだか嬉しくて、左京と右京も笑った。

と、その時、玖陽が小声で彼らを振り返った。


「今から突入するけど、さっき言ったこと、覚えてる?」


玖陽が言っているのは先程、清守と共に提案した移動計画の事だ。入り口を蹴破って侵入すると残っている警備員数名に気づかれる恐れがある。だが、政府は自分達を見下し、警備員の配置を上10階までにしている。【神穢シンエ】の脅威は昼間だけだと、侮ったのか。そこが仇となったのだ。

11階に到達後、彼らは二手に分かれる。一つは玖陽率いる仲間達が幹部へ乗り込むチーム。もう一つは翠鶴と珀蝶をサポートに、清守率いる仲間達が研究室へ乗り込むチーム。研究室は数が多いのでまた細かく分かれる。右京と左京、遊姫は玖陽のチームへ、絡繰、獅雨は清守のチームだ。

幹部がいる最上階を制圧し、制御室を通じて全ての階の画面に最上階を映し、【真実】を吐かせる。そういう手順だ。何故、画面に映すのかと云うと、自分達が来た意味とこれから起こる恐怖を倍増させる意味があった。いや、もしかすると自分達はまだ、研究者達ー博士や先生ーを信じているのかもしれない。けれど、彼らが関わった事も事実で、知らないはずは、ない。

もし、何か非常事態が起こった場合は力を使うか、インカムを通じて連絡する事になっている。

彼らは玖陽の問いに覚えてると頷く。中には親指を立てるお調子者もいて、少しだけ場の空気が和らいだ。八咫烏は玖陽と共に後ろから着いてくるらしい。今さらだが、長老はイーラと合流するため、彼らの家である建物に残っている。


右京は大太刀の柄を握りしめた。"黒鴉"が自分の感情と共鳴しているように感じた。清守が玖陽の隣に出て、"雷戦"と云う名の刀の柄を握る。玖陽と視線で会話し、右京達を見据える。今宵は美しい月が出ている。月も自分達の味方をしてくれている。右京も左京もそう思えてならなかった。


「準備は良いか?」


人格が変わった清守が問えば、武器に手をかけて仲間達が答える。それを見て、よしと頷いた清守は、玖陽と共に入り口を振り返った。入り口はガラス張りの両開きの扉だ。防弾だか防刃仕様らしいが彼らにとってはどうでもいいことである。その扉に向かって、玖陽と清守は刀と太刀を構え、技を唱える。


「"天乃空"・空斬そらぎり」

「"雷戦"・神鳴かみなり」


水色の光をまとった玖陽の太刀と雷をまとった清守の刀。2人はその武器をガラス張りの扉に斬りつけた。水色の光と雷が扉を攻撃する。ピシッと扉にヒビが入り、パキパキと扉全体にヒビが広がっていく。ヒビが入るだけで扉は開いてくれない。2人の武器にまとっていた光と雷が微かな音を立てながら、刃に吸い込まれていった、その時。パリンッと音がして両開きの扉のガラスが砕け散った。さあ、扉は開かれた。

玖陽と清守が仲間を振り返る。翠鶴と珀蝶が両手を合わせて、行ける、行こうと言わんばかりに、妖艶に笑った。それは他の仲間達も同じで、先程と同じように親指を立てるお調子者がいたり、武器を構えたりと行動で表す。


パキリ、と割れたガラスを踏みつけて、玖陽が中にゆっくりと入って行く。ガラスが割られ、破片が散った床に転がっていた機器を踏みつける。この機器は扉についていた警報器らしいが、【神の子供】と云う本来の姿に戻りつつある彼らにとっては無意味でしかない。玖陽は踵で念入りに機器を踏み潰した。それを見ていた右京は懐から、政府から受け取った機器を取り出す。隣を見ると左京も機器を取り出していた。近くにいた絡繰と獅雨、遊姫も2人と同じ事を考えたのか機器を取り出している。5人はニィと口角を上げて、笑った。そして、それを落とすと武器や靴の踵で踏み潰した。ビビッと変な音がし、機器は動きを止めた。右京が玖陽と清守に視線を向けると2人は頷いた。右京達はインカムの電源を入れた。ピッと云う電子音が、暗闇に響く。


玖陽が踏み込んだと同時に清守、翠鶴、珀蝶も入って来る。ゆっくりと仲間達も中に入る。


「行こう」


玖陽が振り返り、そう呟いた。そして、彼らは大きく足を踏み出し、ガラスが散った床を強く蹴り、大きく跳躍した。


さあ、乗り込もう。【真実】を探して






































子供達かれらに続きましょう。これが私達を蔑ろにし、怒りを無視した、罪深き【天罰】です」















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