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それでも彼らは眠らない。  作者: Riviy
第七章 それでも彼らは眠らない。
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第五十八話 怒りの【真実】

「燃え始めたこの怒りは、」



視界が晴れ、会議ホールは可笑しいほどに静かだった。誰もがその【真実】に驚愕し、飲み込もうと努力する。


「嘘、だろ…」


右京が最後の確認のように震える声で問った。もしこれで「嘘でした☆」とくれば、いくらか安心出来たのだろうか。いや、出来やしない。心中に渦巻いていた政府への疑心暗鬼が、嵐を伴って彼らの前に現れる。


「いいえ、真実です」


長老の静かな返答に、嘘ではないと答える瞳に、彼らの心中から疑心暗鬼が消え去った。嗚呼、あの言葉の意味も、自分達に向けていた行為の意味も、自分達が生まれた意味も……全て、全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て!!!

今、ようやっと理解出来た。


自分達は、【AVANOLSアヴァノリス】は、【神の子供】。『戯れ』を再び行おうとして人間達が産み出した。彼らの心中に渦巻くは、神と同じ感情。多くの家族で、兄弟であるはずの彼らを『戯れ』によって奪った怒り。【真実】を知りながら、後悔も懺悔もせず、【神穢シンエ】を言い訳に自分達を嘲笑った怒り。

嗚呼、自分達はなんて愚かだったんだろう?自分達は、どちら側の者だろうか?


「…………彼らに、つこうよ」

「そうね、つきましょう」


翠鶴と珀蝶が呟く。その声色には憎しみと怒りが滲んでいた。表情は、とても穏やかだった。だが、その反面、真剣だった。"五天王"が言ったから、と云うわけではないのだろうが、次々と【AVANOLSアヴァノリス】達は反旗を翻す。彼らの心中が、【真実】と云う物語によって鮮明になっていく、自分達の常識を越えた【真実】。謎が、晴れて行き、自分達の本当の敵に辿り着く。


神を嘲り、神を騙し、神の救いを放り、【神の子供】の命を『戯れ』で奪い、【天罰】を無視した彼らに、同情の余地など、ないっ!


「最低だなあいつら!」

「許せない」

「【真実】を知った自分達には、権利がある」

「神様達を、嘲笑ったなんて…可笑しいな!」


怒りと憎しみを吠える【AVANOLSアヴァノリス】達。会議ホールに充満していく、【AVANOLSアヴァノリス】ではなく【神の子供】としての意志と使命。そんな中、零耶は迷っていた。本当に自分達は、疑心暗鬼であった政府に反旗を翻す必要があるのか。確かに、悪いのは人間達だ。だが、零耶の心中には、受け入れたくないと云う思いがあった。自分の目で確認もした【真実】だ。嘘である方が可笑しい。けれど、自分は、本当に……?多くの【真実】を得ておきながら、何故、仲間達は冷静に判断を下せるんだ?俺達は、俺達は……神格化した神の【神の細胞】を埋め込まれた、正真正銘の【神の子供】……俺達の前にも、たくさんの犠牲があった…しかも、【神穢シンエ】のラスボスが、味方?

多くの【真実】が零耶の脳内を巡る。


全てが【真実】なのに、此処まで、考えついた、正真正銘の物語なのにっ!俺は、何を迷っているんだ?


周りで雄叫びをあげ、それを宥める長老やイラヴィを見て、零耶は懐かしいと感じた。それは埋め込まれた【神の細胞】のおかげか。はたまた、疑惑か。

零耶は、静かに、気配を消して席を立つ。気配を消していた事と、怒りと憎しみに興奮して叫ぶ仲間達によって零耶が席を立った事は気づかれなかった。零耶は滑るように入り口へと向かうと、会議ホールを振り返った。今出ていったら、裏切り者だとでも言われるだろうか。場違いな事を考え、小さく笑う。零耶は入り口から出て、扉付近の壁に寄りかかった。ずるずるとずり落ちて行き、座り込んだ。決して静かではない此処で、一人、戸惑いから解放されたかった。


「……俺は、どうすればいいんだよ……」


【真実】を目にして、驚き、戸惑った 。しかし、玖陽の言葉や、長老達の言葉、物語は自分が目にした【真実】よりも複雑で。自分は、どうしたいのだろう。彼らと一緒にいたい。けれど、それは【真実】を受け止めて?

自分が、分からない。戸惑いが零耶の脳内を支配し、正常な思考を遮断する。


その時、また、あの声が聞こえた気がした。優しい、テノールの声。声は、嬉しそうに笑う。零耶は、我知らず、"小鶴"を胸に抱きしめた。異様なほどに「静か」な"小鶴かれ"は、何も語ってくれない。いや、語っている。彼らは、自分達と一心同体だ。「静か」な彼らは、自分達の思いに賛同し、運命を、【真実】を受け入れている。受け入れていないのは、零耶おれだけ…?


ギュッと"小鶴"を抱き締め、零耶はどうすればいいのかを考える。俺は……俺は…


零耶レーヤ


その時、安心する声と気配が零耶を包んだ。彼が顔をあげると零耶を抱き締める玲御と、双子の前にしゃがみこむ統軌がいた。何で此処に…と零耶が目で問うと統軌が苦笑しながら答えた。


「だって、僕らだよ?零耶が悩んでる事くらい分かるよ」


統軌の答えに、零耶はクスリと笑った。顔が見えない玲御がギュッと零耶を強く抱き締めると体を離し、3人は向かい合う。真剣な瞳と【真実】に戸惑う計6つの瞳の視線が交差した。



すいません、忘れてました!ので、早めに投稿!

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