第五十一話 間奏曲~矛先の盾~
追加キーワード:神、歴史上の人物、史実とは関係ない、フィクション、過去話、擬人化、神格化
「もう一つの保険として、提案があるのですが宜しいですか?」
天照大御神の言葉に抜けて行った4人を抜かす全員が頷いた。天照大御神は、ゆっくりと瞳を閉じて、深呼吸をする。バクバクと鳴る心臓が、五月蝿い。何故、こんなにも緊張するのでしょう。隕石を落とすから?人間達に自業自得と分からせるためだから?子供達を救えるから?きっと、どれもが正解で、どれもが不正解。私は、きっと……きっと……
「もう数人、『侵入者』を送り込みましょう。侵入しなくても良い、異端のスパイ」
天照大御神の真剣な言葉に全員がその意図を読み取れず、首を傾げた。『侵入しなくても良いスパイ』?それは、一体、どういう……
「…どういう事だい」
「そのままの意味です。政府側ではなく、別の視点から人間達の目を監視するスパイであってスパイではない者。隕石が落ちた後、私達全員が無事ではすまない可能性が微弱ながらあります。その場合に、もしもの場合に備えての、スパイ。先程決めた者はもしかすると身動きが取れなくなるかもしれない…全てにおいて私達の指示を仰がず、自ら行動出来る者……そんな者が必要です」
天照大御神の真剣な言葉に全員が理解を示して頷いた。つまり、保険の保険、指示を待たずして動ける『侵入者』と云う事。しかし、
「そのスパイじゃないスパイは何人?それに、無事じゃすまないって……そんなに大きな隕石なのかい?」
白虎が首を傾げながらそう訊く。それは全員が気になっていた問いであった。「無事ですまない可能性が微弱ある」、どういう事だ?
天照大御神は小さく頷き、言う。
「隕石落下の対象は『人間の所業』。落下場所は決まっていません。つまり、私達の上に落ちることもあり得るのです。そして、対象がなんらかの影響で狂うこともあります。政府側に情報が洩れたケースが一度ある以上、彼らが対象をなんらかのものを使って変更する可能性もあります。隕石落下後、全てが元通りになるとも限りませんし、何か『戯れ』以外が起きる可能性だって…ですから決して、私達だけが安全と言い訳ではないのです………此処まで理解出来ました?」
「ん?『此処まで』とはどういう事だ?」
青龍が身を乗り出しながら訊く。なんらかの影響で対象が変更される可能性も捨てきれない隕石落下。それは、神が神格化によって力を失い、神であり神でない者になった事を意味しているのだろう。
「『此処まで』と、云うのはもう一つ言うことがあるからです」
「?もう一つ、じゃと?」
九尾の狐が煙管の灰色の煙を吐き、驚いたように目を見開いた。他の者も驚いたようでざわざわとし出す。それを天照大御神は手を叩いて静めると自分に視線を向けさせた。彼女は小さく息を吐き、告げる。
「私が作ったシステム付近に、隕石の影響を受けない洞窟があるんです。けれど、入れる人数は6人以下。私達全員が入れるほどの大きさではないんです……」
天照大御神の声がだんだんと小さくなって行き、彼女は頭を下げるように項垂れた。彼らに見えないところで彼女の顔が歪んでいく。この事を知ったら、皆様はどう思うでしょうか。隕石の影響を受けない洞窟。そんなものが存在しているなんて、知ったら。
天照大御神の周りでざわざわとざわめく声と気配がする。驚いている、考えている。そんな感じだ。天照大御神が思いきって顔を上げようとした、その時、
「その洞窟にスパイ計6人を送り込み、隕石落下の影響を受けないようにする。そして、先程の者と同じように時が来たら動き出す。そう言うことだろ」
「なんじゃ、難しく考えて過ぎて頭が痛くなって来たわ」
「ハハハ、難しく考えて良い良い。愛し子達のためだからな!」
天照大御神は驚いた。誰もが、自分の意見に賛成を示し、反対はいない。洞窟の存在の意味を理解し、自分達は危険を伴ってもいいと示す。それが、【神の子供】、愛し子のためならばと。
天照大御神は唇を噛みしめ、自分の細胞を埋め込まれた子供を、たくさんの子供を思い浮かべる。嗚呼、貴方達は、こんなにも愛されています。決して諦めない心を持つ、美しくも強い彼らに、貴方達は愛されているのです。
天照大御神の頬に涙が一筋伝った。涙の筋を拭い、天照大御神は力強く頷いた。それに全員が頷き返す。その瞳に宿る思いは、その意味は。聞かなくても分かる。理由も、意味も、方向も、目的も。
「そのスパイ勢、人選はすんでおるのか?」
九尾の狐がニヤニヤと、愉快そうに笑いながら天照大御神の方へ身を乗り出して聞く。侵入する『異端分子』は、擬人化をしなければ良いので6人のうちにはカウントされていない。天照大御神は言わなかったが、それは此処にいる全員が分かっている事だった。何故なら、彼女は「6人」と言った。カウントするのは人。擬人化をしなければ、「人」ではなく「振り」。そう言うことだ。
天照大御神はゆっくりと頷くとパチンと指を鳴らした。バサッと羽音が空間に響き渡り、一瞬、空気が寒くなる。天照大御神の背後に現れた「5人」の人影。その人影に全員は、先程の脇差と同じように希望と救いを託す。
「彼らが、私が選びに選び抜いた6人の精鋭達です」
天照大御神が、ニッコリと美しい笑みで少し首を傾けながら、言った。それに全員が賛成と希望の拍手を起こしたのは言うまでもなく、それに「6人」の一人が天照大御神に向けて軽く頭を下げた。横目にそれを見やり、天照大御神は「大丈夫ですよ」と微笑んだ。
「6人」を見ていた烏天狗の目に、自分よりも美しい黒が写った。それに彼は、まさに精鋭だと感嘆し、笑みをもらした。きっと、勝てる、と。
教え込みに行く4人の会話
佐助「ボク、一週間でなんてムリだよー」
義経「おや、貴殿なら出来るとお伺いいたしましたが?」
佐助「え、誰から?」
弁慶「誰って、村正だ」
佐助「ご主人様?!」
村正「…佐助は、出来ないと言うんですか?あの時の佐助はそれはそれは頼もしく「わかった!ボク頑張る!頑張るからもうやめて!」よろしい」
義経「……なんと云うか…誉め殺して鍛えるなんて…恐ろしいですなぁ」
弁慶「…主も似たようなものだけどな」
名前の裏話いっきまーす!
鳴海と獅雨→鳴海は以前も話した通りです。獅雨は「雨」って云う漢字使いたくて生まれましたね~
清守と守光→以前も話した通り、守を使った兄妹を作りたくて。見事、二重人格的兄妹生まれましたね(笑)守光は二重人格と云うわけではないですけど。
遊姫 藍→「白衣キャラと眼鏡キャラおらん!!」からの「よし!くっ付けちゃえ!!」でなんと云うことでしょう、生まれました~まぁ、前々から作る予定だったんでいいんですけどね。藍さんは本来、兄弟設定でしたが、兄弟多くなっちゃうんでやめました。ウチが作る物語に絶対一人はいるウチの好きな要素持ったキャラクターの一人です。
次回も名前の裏話しようと思います!




