表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
それでも彼らは眠らない。  作者: Riviy
第六章 ソレデモ彼ラハ、堕チタ
49/76

第四十九話 前奏曲~人の終わり

追加キーワード:神、歴史上の人物、史実とは関係ない、フィクション、過去話、擬人化、神格化




それは今から『3年前』の事だった。


遠の昔に人間は神を信じ、探すのを諦めていたがために神も、自分達を必要とする人間はいないものと思っていた。だが、突然、数人の神が人間の願いと云う名の神格化によって人間の世界に降り立ったのだ。神達はまた、人間と繋がった事を大いに喜んだ。そして、絶望した。

神格化された仲間達が一向に帰って来なかったのだ。そして、その被害は武器全般、妖怪、様々な方向へと拡大していった。神は疑問に思った。この世界では神格化は、自身が持つ肉体と魂をそのまま降ろす。よって、人間の前に本当の姿を現すのだ。そのため、神格化された者は「捕らえれて」いない限りはいつでも戻ってくることが可能なはず……なのに。


「誰も帰って来ない」


異変を感じた神達は極秘に人間の元へ使いを送ることにした。そしてそこで目にしたのは「人間の戦争たわむれに使われている、自分達とよく似た子供達」だった。そして、捕らえられ、身動きが取れなくなった神格化「された」者達。此処で彼らは、気がついた。


「人間達が求めたのはじぶんたちではない。神格化じぶんたちの中に眠る、細胞だ」


神格化した者達をビーカーの中に閉じ込め、細胞を採取。そしてその細胞を【人造幼児体】と呼ばれるものに埋め込む。そうして出来るのは、神格化した、云わば【神の細胞】を引き継いだ子、【神の子供】。そして子供達は人間達に洗脳され、自分の敵が誰かも理解できないまま、戦場に放り出される。同じ仲間、友人、同じ種族であるはずの同胞に敗れ、命を散らしていく彼ら。それを人間達は酒瓶片手に笑いながら見ていた。


それを知り、神は、いや、神格化された者達は絶望し、憎悪し、そして、怒りを感じた。


そして、今から『7ヶ月前』。天照大御神を筆頭に神格化された者達と子供達を救出する作戦が決行された。だが、不運な事にその情報が漏れ、子供達は人間の指示により一部を除いて自害した。それに彼らは嘆き悲しんだ。けれど、神格化された同胞達の救出には成功した。それにまだ残っている子供達もいる。彼らは心を新たに今度こそ子供達の救出を望んだ。だが、人間達は……彼らの想いを踏みにじった。作戦決行後の数週間後、再び、『戯れ』は息を吹き返した。一度神格化された者達は何度でも呼ばれていくシステムが神格化された者達と人間達の間に皮肉にも、出来上がってしまったようだった。これには天照大御神は大昔の自分を呪いたくなった。なんせこのシステムの一端は元々は神格化される前、希望に溢れた世界のために彼女が造ったものだったのだから。だがそのシステムは封印され、地中深く、眠りについたはずだった。それがなんらかの拍子に封印が解け、偶然にもこの状況に結び付いたようであった。


神格化された者達はされた者、されていない者に限らず、仲間を増やしていき、救出の機会を待った。人間達から情報を奪っては人数を確認し。人間達の様子を見ては改心の兆しがあるかを見極め。そして、自分達の細胞を埋め込まれ、洗脳された哀れな子供に僅ながらも力を送った。この頃になると神格化された者達にとって、人間達に無理矢理生み出された子供は自身の子供と思うようになっていた。人間達の『戯れ』に利用され、朽ちていく愛しい子供達。彼らの怒りは、とどまる事を知らず、どんどん大きくなっていった。


そして、子供達のため、同胞達のために結託する彼らの関係が徐々に変わり始めた。強い信頼関係を結び始めたのだ。人間達の神格化及び擬人化によって人の姿を手に入れた武器と妖怪、武器と人、神と妖怪、神と武器など。普通ではあり得ないえにしが彼らを繋げ、皮肉にも彼らを強くした。


そして今夜、天照大御神は此処に集まった同胞達の意見を聞き入れ、作戦と言う名の天罰を与えようと考えていた。すでに彼らには作戦は通じない。情報と自分が見てきた現状で理解できた。人間達、正確には政府を中心に【神の子供】を造り、『戯れ』を開催している。『戯れ』には民間人も賭けをするため、安全なところで政府の者達と参加し、『戯れ』が開催していない時は子供達同士を使った疑似戦争を行い、愉しそうに嗤う。それを見た天照大御神は怒りに震えた。何が愉しそうなのですか。子供達をこんなに傷つけて…!理解していないのですか彼らは。この子供達は【神の細胞】を埋め込まれた、【神の子供】。云わば神に宣戦布告しているようなもの……嗚呼、今まで彼らを見ようとしなかった自分が憎らしいです…けれど、今、悲観している場合ではありませんね。


天照大御神は少々長い思考の旅から帰ってくると視線を素早く彼らに配った。怒りがこの空間に充満し、誰がいつ闇堕ちしても可笑しくない状態だ。子供達のためにと自ら闇に身を落とした者もいる。その者は大事をとって此処にはいないが、此処で全員が闇堕ちでもされたら彼女でさえ、押さえきれずに呑み込まれる。


「だから言ったんだよ村正。君の忍が報復それを望むなら私達はいつでも力になるって……」


その時、中性的な声が怒りに震える佐助の鼓膜を震わせた。それはさながら、悪魔の囁きだった。佐助が顔を勢いよく上げ、声の正体を確かめようとする前に村正が彼の頭を押さえつけ、上げないようにした。バタバタともがく佐助。その隣の少年の目には、恐ろしいほどの殺気を湛えた瞳をした村正が写っていた。


「あんた達の力は借りません。何度も言っているでしょう?」

「ふふ、でもね村正。私達は作は違えど同じ神格化され、擬人化された刀剣同士。仲良くやってもいいんじゃない?」


両の手を合わせて、ふわりと微笑む声。それが村正にとっては気色悪いことこの上なかった。同じ武器もの同士だからと、馴れ合う気などない。それに、あんた達と僕は、「違う」。


「………その、ご都合が良いお友達思考、いつまでも続くか見物ですよ、蝶」

「君に、その名は言わせん」


村正が嫌味でそう、声の愛称を呼べば、声は怒っていると言わんばかりに低くなり、先程までの親しさは消え失せた。ハッと我に返った声と共に怒りを沈めていく声、いや、少女。少女はそれでもにっこりと、傲慢なほどに微笑んだ。


「まぁ、いつでも待ってるよ?ふふ、三条はねぇ」

「……………この、黒い蝶が」


村正が吐き捨てるように言うとその名に少女は恋する乙女のように頬を紅く染めて喜んだ。和風美人な彼女が頬を染めるだけで、その様子はとても妖艶である。


「ふふ、ふふふふ。私にとっては、極上の褒め言葉だよ、村正」


そう言って少女、蝶丸ちょうまるは口元を袖で押さえて笑った。村正が佐助の頭から手を離した頃には、佐助は膨れっ面でマフラーを弄って遊んでいた。村正はそれを見て申し訳ない事をしたと思いながら、騒がしくして悪かったと天照大御神に謝罪の意味で頭を下げた。それに天照大御神が大丈夫と答えた時、誰かが大きな声で愉快だと言わんばかりに笑った。


「……どうした、こう


少年がその人物を見やり、言う。その人物は鎧に身を包んだ男性で、髭が立派である。


「なに、烏天狗からすてんぐ。お主も可笑しいと思わんか?そこの、忍の言う通り、俺達がすぐにでも人間共を狩っても良いではないか。愛し子が、酷い目にあっているのだからな」

「しかし、公。女神様はオレたちの『意見と自分の権限を持ってして処遇を決める』と申されているんだ。そんなに急がなくても、処遇は決まる」


少年、烏天狗の言い分にその男性は「ムゥ」と唸って両腕を組んだ。早く、人間達に天罰を与えたくて仕方がないようだ。それは此処にいる全員がそうだった。


「慌てなくとも、天照大御神が決めてくれるじゃろうて。妾達は、従うまでじゃ」


煙管を吸いながら、9本の美しい尻尾と狐耳を持つ美しくも妖しい女性が言う。それに先程の男性がそうだなと頷いた。


「うむ、狐、お主の言う通りだな」

「だから妾をそこらの狐と同じように呼ぶでない!妾は九尾きゅうびきつね。覚えておけ、織田おだ 信長のぶながよ」


そう言って九尾の狐と織田信長は笑いあった。そう、彼ら全員、神格化された者達だ。既に此処に、この世界には歴史も神話も御伽噺も物語も、神も存在しない。存在しているのは、加害者か被害者か、ただそれだけ。

天照大御神がパチンと手を叩いて全員の視線を集める。彼女は深く深呼吸をし、自らが与える天罰を口にする。彼女が真剣な表情なので誰もが口を閉じ、空間は不気味なほどに静まり返っていた。


「……隕石を、落とします」



なんか、村正と蝶丸って人にしたら仲が悪いイメージありましてねなんか、ウチは。きっと本当は仲がいい…はず…ですよね村正、蝶丸?

ちなみに、蝶丸はそういう名前のキャラ作った時に「あんのかな~」と思って調べたら「出た、だとぉ!?」でしたね(笑)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ