第三十二話 政府へ
ヤバいですヤバいです…スランプ状態です!!此処で言えば大体治るウチが叫びます!治ってぇえええ!
休暇が終わり、そして医療系の任務が終わった頃。零耶は鈴音丸、遊姫、鳴海と共に何故か政府の科学者に呼ばれていた。
医療系の任務はただ薬を投与すると云うどちらかと云うと医者である獅雨の任務だったが、【AVANOLS】全員が関係している珍しい任務でもあった。それがあったから、零耶達はその結果と云うか報告と云う意味で呼ばれたものだと思っていた。
「零耶、どうかしたか?」
「ん?いや、なんでも?」
自分達の家である建物よりも豪華で立派な建物の廊下を科学者達がいる第一研究室に向かって全員で歩いていると、煙管をふかしながら歩いていた鈴音丸がそう零耶に問った。怪我と作戦の失敗のことを言われていると思った零耶は大丈夫だと笑って答えた。
追記だが研究室は第一から第五まであり、零耶達より数時間前には第二研究室に絡繰と守光、そしてもう一人のリーダー格の"五天王"が呼ばれていた。何故だ。
そういえば、と零耶は政府に帰る事になってしまった桔梗を思った。帰るのは明日らしいがしばらく会えないのは誰であれ寂しいものだ。
「帰ったら宴だね」
遊姫がそっと、呟くように云う。それにバッと零耶が自分の後ろを歩いている遊姫を振り返った。自分の考えていた事が口に出ていたのか。そう思った零耶は慌てて廊下を歩く政府のしたっぱ達に目を配った。もし、口に出ていたのだとしたらまた何を言われるか……だがしたっぱ達は聞こえていなかったのか、真っ直ぐ前を向きながら歩いているか、自分達を見下すような視線を向けているのみだ。あれ、と零耶が思っていると遊姫が「安心しな」と彼の頭をグリグリと撫でた。何に安心しろなのか。容易に分かった零耶は頭を撫でられながら頷いた。それを見ていた鳴海が楽しそうに笑った。今日は仮面をつけていない、何故だろう、不思議だ。ちなみに遊姫は灰色コート着用です。
「遊姫、やりすぎだ」
「そうかな?」
「遊姫の兄貴ー剥げる」
鈴音丸の忠告に首を傾げていた遊姫は零耶からの止めでクスクス笑いながら、頭を撫でていた手を止めた。零耶が撫でられてぐちゃぐちゃになった髪を整える。彼らの間にほんわかとした、親しい関係の空気が流れるが、それをしたっぱ達は許しはしないようで憎々しげな、忌々しげな視線を彼らに向けている。それを払うように無視して零耶は気になっていたことを問った。
「なぁ、鈴音丸の兄貴。兄貴の"予知"でこの意味分かんなかったのか?」
零耶の素直な問いに答えが分かっている遊姫が楽しそうに腹を抱えている。鳴海も分かっているらしく、頬を軽くかきながら穏やかに笑っている。2人の意図が分からない零耶は怪訝そうに首を傾げるのみだ。鈴音丸は煙管から口を離し、灰色の煙を吐く。
「俺の"予知"能力は万能ではない。それに、いつも視れるものじゃないんだ」
「そう、なのか。理解した…じゃあ、鳴海の兄貴の"予知"…じゃなくて"占い"もか?」
零耶が鈴音丸の答えに納得したように頷きながら鳴海を見上げると、彼は困ったような笑みを浮かべた。それに気づきながらも遊姫が楽しそうに彼の肩を肘で突っついた。
「どうなんだ?」
「答えてやったら?鳴海」
「…………」
鳴海は困ったように笑った後、パクパクと口を動かした。何も聞こえない、無音の声。けれど、彼らには理解出来た。「鈴音丸と同じ」と言ったのだ。零耶はふーんと納得したような声をあげた。鈴音丸も鳴海もいつもではない。いつもであれば、色々楽だが、逆に面倒か。そう考えて零耶は肩を落とした。
「まっ、零耶が何を考えたかは分かるけどね。あ、そうだ!なぁ零耶!」
「ん?なんだ?」
遊姫が嬉しそうに笑いながら零耶に云う。鈴音丸は彼が言おうとしていることが分かったのか煙管を吹きながら小さく笑い、鳴海は興味津々と云った感じだ。零耶も興味津々で彼を見上げる。遊姫は「聞いて驚けよ」と前置きをして、もったいぶるように間を開けた。その間がとても零耶と鳴海の興味を掻き立てる。
「あのね、新作武器完成したんだー!」
「………マジで?」
「マジマジ。鈴音丸の案を取り入れた武器だぜ」
嬉しそうに、胸を張りながら云う遊姫。鳴海が頑張ったねと労いで肩をたたく。零耶も興奮したように「すげぇ!」と叫び、周りの視線を気にしたのか声のトーンを落とした。
「俺はアドバイスをしただけだ。錬金ったのは遊姫だ」
「嘘だぁ」
「鈴音丸ったら。自信持てば良いのにさ?鳴海だってそう言ってるし」
零耶、遊姫、鳴海の意地の悪そうな顔と愉快そうな表情に鈴音丸は小さくため息を吐いた。「貴殿等は夏か…」と鈴音丸が小さく呟いたのが零耶の耳に入り、クスリと笑った。と、ちょうどその時、彼らの前を遮るように恐ろしいほどに真っ白な両開きの扉が現れた。その上には小さく「第一研究室」と黒い文字で書かれていた。鈴音丸は最後の一服とでも云うように灰色の煙をその扉に向かって吐き出すとクルンと煙管を手首の上で回した。すると煙管は煙のように消えた。
「さて、行くか」
「早く終わってくれるといいんだけどなーオレ、早く帰りたい」
鈴音丸の言葉に遊姫が伸びをしながら言った。その台詞に鳴海が可笑しそうにカラコロと無音で笑った。ムッと顔をしかめた遊姫を一瞥し、零耶は両開きに手をかけた。
…*…
「おぉ~よく来たね!」
「ご無沙汰している、博士」
丸眼鏡をかけ、白衣を着た、いかにも何かの博士ですと云わんばかりの格好をした男女数名が彼らをにこやかに出迎えた。声を発した男性は頭を軽く下げる鈴音丸の肩を親しげに叩く。
鈴音丸が「博士」と云った男女数名が戦闘専用人種、【AVANOLS】を造った政府の科学者達だ。第二などの研究室にも他の科学者達がおり、全員が何かしら【AVANOLS】に関わっている。
零耶はチラリと全員を見やった。戦闘に行く、と云う時は悲しんだ科学者達は今は会えて嬉しいのか笑っている。
「(………)」
その笑みが張り付いているように見えた零耶はブルリと体を震わせた。鳴海が心配そうに彼の顔を覗き込み、零耶は大丈夫だと笑った。
「んじゃ、早速検査しようか!」
「え?医療系の報告ではないのか……?」
「えぇ~?違う違う。それは第二研究室。君らは【神穢】が進化したらしいからそのための検査~全員はやんないから、君らは選ばれたって訳~」
零耶達がキョトンとすると科学者は楽しそうにそう説明してくれた。なるほど、そう云う事か、と零耶は納得した。確かにあの医療系の任務の責任者は第二研究室へ呼ばれて行ったもう一人の"五天王"だ。理解出来る。他の2人はその"五天王"に呼ばれたのか科学者に呼ばれたのか不明だが、きっとあちらも報告後に検査でもするのだろう。だが分からないのは、適当に選んで零耶達なのか、何か意図があって選んで零耶達なのか、だ。
「あの「ささっ、検査始めるよ~みんな、準備準備~」」
零耶がそれを問おうとした時、声を発した科学者が困惑する鈴音丸と遊姫の背を押して奥のエリアへと連れて行く。科学者の言葉に他の科学者達も零耶と鳴海の背を押して奥へと連れて行く。零耶は聞きたかった事を飲み込み、科学者達に押されて歩いて行った。
書き溜めが多くなってこちらもヤバいです…




