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それでも彼らは眠らない。  作者: Riviy
第四章 それでも彼らは夢を視る
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第三十一話 連鎖





何処かと同じように暗い、何処かの場所で。湿った空気を頬から払いながら暗闇に溶け込んでいたプラーナはシャラリとレッド・ベリルの簪を腕で払って鳴らした。


「お姉様、どういう事です?」


腕組みをしながらプラーナは血のような瞳で、目の前の暗闇を睨み付ける。そこから現れたのは暗闇に血のような瞳を輝かせたイラヴィだった。


「どういう事も何もないわ。なんの事かしら?」

「とぼけないでくださいませ!あの時、何故あんなことを口走ったのです?!あれでは、あたくし達の手の内を明かしているようなものです!」


プラーナが怒ったように声を荒げるとイラヴィは「ああ、それ」と淡々とした声で答えた。それにプラーナは拍子食らった。何故、そんなにも冷静なのだ。何故…

その時、イラヴィの背後からある気配をプラーナは感じ取った。恐怖にも似た、恐れと神々しいほどの気配。プラーナはその気配の正体に気づくと頬を恋する乙女のように真っ赤に染めて片膝をついて跪いた。イラヴィは背後を振り返り、こちらも全く同じの恋する乙女のように頬を染めて跪いた。そして暗闇の中、可笑しなほどに表情がよくはえる黒装束が姿を表した。2人はこうべを垂れたまま、微動だにしない。と、黒装束の口元が何かを言った。それに驚いたようにプラーナはバッと顔をあげた。


「本当ですかそれは!?指示だったんですか!?」

「ええ、そうよ」


頷く黒装束と満足そうに笑うイラヴィ。頭が理解しない。プラーナは混乱していた。何故、あんなことを口走ったのかわからなかったが今は、何故そんな指示を出したのかがわからない。イラヴィは分かっているようだった…いや、待て。そういうよう指示したのなら、ああなることを予測していたと云う事では?

そこまで考えてプラーナの背筋に電撃のような悪寒が走った。


「何故、そんなことを…?」


それに黒装束はパクパクと口を動かす。プラーナはその答えに「えっ」と口をあんぐりとさせた。今、黒装束はこう言ったのだ、「全て勝利に過ぎない」と。どういう事なのだろうか?プラーナは頭をフル回転させて考える。自分達の目的を再確認したところで黒装束の意図に、イラヴィの行動に納得が行った。


「そういう事ですか」


ニィと暗闇の中で口角を上げて笑うプラーナ。真っ赤な瞳が不気味に美しく瞬く。だが、疑問は残る。プラーナは不満そうな表情をしながら黒装束とイラヴィを交互に見やった。


「しかし、その指示はどのようにして?彼らの作戦は恐らく数日前、長くて数週間前から練られた作戦です。それをどのように知ったのですか?」

「あら、知らないの?」


イラヴィの驚いたような声にプラーナはムッと鼻に皺を寄せ、先程よりも不満を大きくした。イラヴィはプラーナの疑問の答えを知っているらしく、それがなにやらプラーナには黒装束と秘密を共有し合っているようでなんだがムズムズした。まぁ、よく考えればそれは、今に始まった事ではないのだけれど。

イラヴィが黒装束に視線を向けると黒装束はコクリと頷き、それにイラヴィは礼を言うように頭を下げた後、立ち上がった。首を傾げるプラーナの手を引いて彼女を立ち上がらせると、クスクスと妖艶に笑ってみせた。それがわからなかったプラーナは怪訝そうな表情で首を再び傾げる。


「あのねぇ、なんで私達が作戦を知れたかだったわよね?……まぁそれは置いておくとして」

「それが一番聞きたい事なんですけどね?!」


プラーナがツッコミするように叫ぶとイラヴィはまぁまぁと笑った。


「私がああ言ったのはあの方の指示通りよ。意味は言わなくてもいいわよね?」

「え、ええ」

「ならば結構。じゃあ、本題に入りましょう」

「だったら最初から入ってくださいませ、お姉様…」


プラーナがため息をつきながら呆れたように首を横に振った。イラヴィはただ単にもったいぶっていただけなのか。はたまた何かの作戦なのか。プラーナは異常に深く疑ってしまった。


「プラーナも分かっているのでしょう?」

「…………」


イラヴィが胸を際立たせるように両腕を組んで言う。プラーナは顔をしかめたまま、無言を貫いた。そう、プラーナには誰が【AVANOLSアヴァノリス】の作戦を自分達に、【神穢シンエ】に流したのかおおよそ予想がついていた。だが、その名を口にするのは何故か憚れた。理由は、なんとなく分かったが考えないようにしていた。

黒装束がクスリと暗闇で見えない口元を手で隠して嗤った。


「ええ。名を口にするのが怖かっただけです。最初から分かっていましたわ。当然ではないですか」

「あらあら……強がりは相変わらずね」

「わ、笑わないでくださいまし!」


微笑ましそうに笑うイラヴィにプラーナが顔を真っ赤に染めて叫ぶ。その時、暗闇の中からカツン、カツンと云う音が木霊した。それに黒い姉妹の笑い声が小さくなっていく。黒装束が音がする方へ振り返ると片手を腹に当て執事のようにお辞儀をした。


「お久しぶりね」


イラヴィが懐かしむような、優しい口調で言いながら暗闇から響いていた音の方向を振り向く。プラーナがスカートの裾を軽く掴んでお辞儀をする。響いていた音がカツンと止まる。暗闇にボヤァと陽炎のようになにやら光が現れる。その光は黒だらけの3人の目にその正体を映し出す。美しい容姿と美しい、艶やかな髪。その正体は3人に向けて親しみ深い笑みを浮かべた。


「長老様」


笑ったイラヴィとお辞儀をしたプラーナ、そして黒装束の視線の先にいたのは美しすぎる老婆だった。


さあ、おもしろくなって来ましたよ!(作者だけ)

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