その203 「ルイスの決心」
ルイス君の未来はまたいずれ。
夕方の庭。少し静か。
人も減ってきた。
ルイスは一人、芝生に立っている。
遠くに見えるハミルトン邸。
窓の灯り、人の影。
少し間。
優しくそよぐ風。
足音が聞こえた。
悠馬だ。
「ここにいましたか」
ルイスが振り向く。
「叔父上」
悠馬が隣に立ち、同じ方向を見る。
少し間。
ルイスが言う。
「さっき、マックスと話しました」
悠馬。
「そうですか」
ルイス。
「イーサンは、来年は来ないかもしれないって」
悠馬は頷く。
「そうでしょうね」
ルイスは少し考える。
それから言う。
「みんな、違う方向に行く」
悠馬は静かに言う。
「ええ」
ルイスが芝生を見る。
「ここも変わる」
悠馬。
「そうですね、変わります」
少し間。
ルイスがゆっくり言う。
「僕、ここにいるのが」
「普通だと思ってました」
悠馬は黙って聞く。
ルイスは続ける。
「でも、違うかもしれない」
風が少し強くなる。
ルイスが顔を上げる。
「行ってみたい」
悠馬。
少しだけ視線を向ける。
ルイス。
「ここじゃないところ」
「アメリカでも、どこでも」
少し間。
ルイス。
「それでも、最後は戻ると思います」
悠馬。
「なぜですか」
ルイスは少し考える。
それから言う。
「ここが、僕の場所だから」
静か。
悠馬がわずかに笑う。
ルイスは言う。
「だから」
「一回、出てみたい」
悠馬は少し考える。
それから言う。
「いいと思いますよ」
ルイスは少し驚く。
「いいんですか」
悠馬は言う。
「ええ」
少し間。
悠馬。
「戻る場所がある人間は強いですから」
ルイスは黙る。
それから、小さく頷く。
遠く、家の中。
聞こえる笑い声。
ルイスは少しだけ笑う。
「叔父上」
悠馬。
「はい」
ルイス。
「僕、行きます」
悠馬。
「ええ」
夕方、柔らかな光。
ハミルトン邸。
その庭で、一つの未来が静かに決まった。
ここまで読んでくださってありがとうございます!
『佐伯悠馬の結婚事情(仮)』始まりました。
結婚する気がない男の結婚事情(仮)です。
相変わらず周囲がうるさく、悠馬の胃が忙しいです。
更新はのんびりですが、完結まで書いていく予定なので
よかったらまた覗いてください。
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