その202 「決心とその手前」
マックスとルイスは仲良しです
庭、少し離れた場所の木陰。
ルイスとマックスが座っている。
庭の向こうで、
イーサンが悠馬と話している。
少し大人の距離。
マックスはそれを見て、
ぽつりとつぶやく。
「イーサン、さ」
少し間。
「来年は来ないかもな」
ルイスは驚いて聞く。
「え?どうして?」
マックスは肩をすくめる。
「来年、十六だろ」
ルイスは頷く。
マックスは続ける。
「秋から」
「母さん達のとこ手伝うんだって。学校の合間に」
「会社の仕事を少しづつ覚えるようにって」
ルイスは少し驚く。
「もう?」
マックスは続ける。
「準備だって」
少し考える。
「大学のことも、考えたいって」
少し間。
風が吹き、さらさらと葉が揺れる。
ルイスが小さく言う。
「そっか……」
それから聞く。
「でもさ、継ぐんでしょ?」
マックスは少しだけ考える。
それから言う。
「んー……」
「どうだろな」
ルイス。
「違うの?」
マックスは地面を見る。
つま先で小石を転がす。
「うちはさ、父さんも母さんもいるし」
「元はおばあさまの会社だけど」
少し間。
「別に世襲ってわけじゃない」
ルイスは黙る。
マックスは続ける。
「周りに認められないと意味ないって」
ルイスは少し考える。
それから言う。
「……むずかしいね」
マックス。
「だろ?」
少し笑う。
少し間。
遠くに響く風の音。
ノアとタイラーの声。
マックスはふと聞く。
「お前は?」
ルイス。
「え?」
マックス。
「どうすんの」
ルイス。
言葉を探して少し長く考える。
いつもの庭。たくさんの人。
大好きな家族。皆の笑い声
悠馬。
エレノア。
リリー。
ロッテ。
ノア。
ここから全部見える。
ルイスはゆっくり言う。
「僕は……」
少し間。
「まだ、わからないな」
マックスは言う。
「そっか」
ルイスは続ける。
「でも、ここじゃないかもしれない」
マックスは少しだけ驚く。
でも、何も言わない。
夏の風、そして光。
二人は黙って座る。
ハミルトン邸の夏は、少しずつ、次の場所へ向かっていた。
ここまで読んでくださってありがとうございます!
『佐伯悠馬の結婚事情(仮)』始まりました。
結婚する気がない男の結婚事情(仮)です。
相変わらず周囲がうるさく、悠馬の胃が忙しいです。
更新はのんびりですが、完結まで書いていく予定なので
よかったらまた覗いてください。
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