幕間 「客間」
まぁ、エレノアさんは落ち着いてる人ですしね。
ハミルトン邸、客間。
窓の外には、少し柔らかな冬の光。
ジェシカはお紅茶の香りを楽しんでいる。
菜摘は向かい側に笑顔で座っている。
エレノアはソファで寛いでいた。
静かな部屋、
さっきまでの食事室の騒ぎが嘘みたいだ。
ジェシカは嬉しそうに笑う。
「驚いたわ」
エレノアは少し申し訳なさそう。
「すみません」
菜摘はゆっくりと首を振る。
「謝ることじゃないわ」
ジェシカも頷く。
「むしろ嬉しい知らせよ」
エレノアは少し考えて、それから言う。
「悠馬には、まだ言っていませんでした」
菜摘はクスっと笑う。
「でしょうね」
ジェシカ。
「顔を見れば分かるわ」
少し間。
紅茶の優しい香りと湯気。
菜摘は優しく言う。
「身体は大丈夫?」
エレノアは頷く。
「ええ。まだ二か月ですし」
ジェシカも聞く。
「体体調は?」
エレノアは答える。
「問題ありません」
菜摘は少し安心した顔をして、
それから言う。
「悠馬、ちゃんと驚いてたでしょう」
エレノアは小さく笑う。
「はい」
ジェシカは思い出して笑う。
「パン持ったまま固まってたわねぇ」
三人は揃って少し笑う。
ジェシカは真面目な顔もなって話す。
「結婚式は…四月でいいわね」
エレノアはゆっくりと頷く。
「はい」
菜摘も真剣な顔で言う。
「ドレスは早めに直さなくちゃね」
「そうね、お腹が目立つ前に」
と、ジェシカ。
エレノアは頷いた。
「ええ」
少し間。
ジェシカは優しく言う。
「家族が増えるわ」
エレノアは少し黙り、
それから言う。
「……はい」
菜摘も穏やかに笑う。
「賑やかになるわねぇ」
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廊下から遠く、ノアの声が聞こえる。
「だから兄さん!」
悠馬。
「分かっています」
ルイスは笑っている。
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客間の三人は廊下の声を聴いて
顔を見合わせる。
ジェシカが小さく言う。
「ほんと、楽しみね」
エレノアが静かに頷く。
「ええ」
ハミルトン邸。
春はもう、すぐそこまで来ていた。
ここまで読んでくださってありがとうございます!
『佐伯悠馬の結婚事情(仮)』始まりました。
結婚する気がない男の結婚事情(仮)です。
相変わらず周囲がうるさく、悠馬の胃が忙しいです。
更新はのんびりですが、完結まで書いていく予定なので
よかったらまた覗いてください。
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