その184 「報告」
やっと話が動いた
ハミルトン邸、冬の午後。
応接室。
暖炉の火が静かに燃えている。
エドワードは椅子に座っている。
テーブルにはお茶。
その向かい側には拓海がいる。
二人はゆっくり話していた。
たくさんの昔話。
学生時代のバカ話、会社のこと。
家のこと。長い付き合いの会話。
そのとき、扉がノックされる。
「どうぞ」
入ってきたのは悠馬だった。
拓海が言う。
「珍しいな」
悠馬は少し困った顔。
「少し、報告があります」
エドワードが眉を上げる。
「報告?」
悠馬は少し黙って、それから言う。
「エレノア嬢と」
悠馬は短く報告する。
「結婚します」
部屋は数秒静かになる。
拓海は瞬きをする。
それから笑顔で言う。
「……急だなおい!」
悠馬は真面目に言う。
「そうでもありません」
エドワードは黙っている。
それから、ゆっくり笑った。
「そうか」
それだけ。
でも、満足そうな顔。
拓海は悠馬を見る。
クスクスと笑って言う。
「ま、お前が決めたならいいんじゃないか?」
悠馬はコクンと頷く。
エドワードが紅茶を置く。
それから言う。
「エレノアか」
「はい」
エドワードは頷く。
そして、少しにやっと笑う。
「なるほど」
悠馬は少し首を傾ける。
エドワードは言う。
「やっとだな」
拓海が吹き出す。
「確かに!」
悠馬は小さくため息。
「そんなに分かりやすかったでしょうか」
拓海は即答する。
「かなりだな!」
エドワードも頷く。
「うむ」
少し間。暖炉の音。
エドワードは静かに言う。
「おめでとう」
短い言葉。でも重い。
悠馬は少し頭を下げる。
拓海も言う。
「まあ、彼女なら安心だ」
悠馬は少しだけ笑う。
「ありがとうございます」
そのとき。
廊下から小さな声。
「終わった?」
扉の外。
ノアだった。
エドワードが言う。
「入れ」
ノアが笑顔で入ってくる。
「兄さん大成功」
悠馬は言う。
「余計なことを」
ノアは肩をすくめる。
拓海は笑う。
「なんだ、お前見てたのか」
ノアは言う。
「一応!隠れてね!」
エドワードは悠馬を見る。
それからまたにやりと笑う。
「これで」
紅茶を持つ。
「家がまた賑やかになる」
ハミルトン邸の冬は、静かに新しい家族を迎えようとしていた。
ここまで読んでくださってありがとうございます!
『佐伯悠馬の結婚事情(仮)』始まりました。
結婚する気がない男の結婚事情(仮)です。
相変わらず周囲がうるさく、悠馬の胃が忙しいです。
更新はのんびりですが、完結まで書いていく予定なので
よかったらまた覗いてください。
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