幕間 「11月/ロンドン/エレノア」
エレノア側の想い
ロンドン、夕方。
エレノアの部屋は静かだった。
小さなフラット。
窓の外には街灯。
車の音。遠くで人の話し声。
ハミルトン邸 の静けさとは、まったく違う。
机の上には書類、ノート。
エレノアはペンを置いた。
少し考えて、それから窓を見る。
ロンドンの夜。
ふと、思い出す。
ロッテの声。
『ママ』
『佐伯さんのこと、好きなの?』
エレノアは小さく息をつく。
あのとき、ロッテは真面目だった。
からかいではない。
ただ、聞いただけ。
『分からない』
エレノアはそう答えた。
本当に、分からなかった。
仕事。取引。ハミルトン。
そして、”佐伯悠馬”。
ずっと、そういう関係だった。
でも、最近少し違う。
ハミルトン邸 の庭。
テラス、いい香りの紅茶や静かな会話。
思い出す。
それからもう一つ。
ロッテの言葉。
『気になるなら、ちゃんとして』
エレノアは少し笑う。
「娘に言われるなんて」
小さく言う。
「困るわね」
それからまた窓を見る。
ロンドンの灯りより遠く。
ウィルトシャーの丘。
『ハミルトン邸』
そしてその中にいる人。
『佐伯悠馬』
エレノアは小さく呟く。
「……困るのよ、本当に」
そのまま少し黙る。
でも、
机の上の書類を見る。
ペンを取り、仕事は続く。
ロンドンの夜も静かに進んでいた。
ここまで読んでくださってありがとうございます!
『佐伯悠馬の結婚事情(仮)』始まりました。
結婚する気がない男の結婚事情(仮)です。
相変わらず周囲がうるさく、悠馬の胃が忙しいです。
更新はのんびりですが、完結まで書いていく予定なので
よかったらまた覗いてください。
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