その178 「ハロウィン」
ダメだ(´ぅω・`)ネムイ
10月の夕方。
ウィルトシャーの丘は、
もう少し冷たい風が吹いている。
ハミルトン邸 の石の門、
鉄のゲート。
管理人が鍵を外す。
車が一台、並木道をゆっくり進んでいく。
両側の木は半分ほど葉を落としていた。
丘の上に建つハミルトン邸。
窓には灯り。
玄関の前には、
かぼちゃのランタンが並んでいる。
車が止まり、中から
ロッテが降りてくる。
少し見上げる。
「……本気だねぇ」
エレノアが笑う。
「ルイスだもの」
玄関の扉が開く。
「ロッテ!」
ルイスだった。
黒いマント、尖った帽子。
小さな魔法使い。
ロッテは数秒見て、
「似合うね!」
と言った。
ルイスは満足そうに頷く。
「ハロウィンだよ!」
「知ってるわよ」
「参加して!」
ロッテは肩をすくめる。
「仮装はしないわよ」
「かまわないよ!」
ルイスはもう次のことを考えている。
そのとき。
玄関ホールの奥から悠馬が現れる。
手には書類。
ルイスが言う。
「叔父上」
「はい」
「トリック・オア・トリート」
悠馬は少し考える。
「……まだ始まっていません」
ルイスは真面目に言う。
「これから始まるんだよ!」
凛が階段の上から笑う。
「兄さん、付き合ってあげなさい」
悠馬はため息。
「お菓子は?」
ルイス。
「もちろん必要!」
悠馬は厨房の方を見る。
料理長がすでに籠を持っていた。
「準備してあります」
ルイスが言う。
「開始」
そして玄関ホールを歩く。
最初の相手はメイド。
「トリック・オア・トリート」
メイドが笑う。
「はいどうぞ」
次、フットマン。
「トリック・オア・トリート」
「もちろん」
ロッテが後ろから見ている。
エレノアも。
凛も。
屋敷の中を、小さな魔法使いが歩いていく。
最後。
書斎の前。
ルイスがノックする。
「トリック・オア・トリート」
ドアが開く。
悠馬だった。
ルイスは言う。
「もう一回」
悠馬は数秒見る。
それから籠を差し出す。
「どうぞ」
ルイスは満足そうに頷く。
ロッテが小さく言う。
「静かなハロウィン」
エレノアが答える。
「ハミルトンらしい」
窓の外。丘。
暗いウィルトシャーの夜。
ハミルトン邸 の灯りは、
遠くの村からも見えていた。
ここまで読んでくださってありがとうございます!
『佐伯悠馬の結婚事情(仮)』始まりました。
結婚する気がない男の結婚事情(仮)です。
相変わらず周囲がうるさく、悠馬の胃が忙しいです。
更新はのんびりですが、完結まで書いていく予定なので
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