その177 「母と娘」
シャーロッテちゃんは見た目は母親、性格は父親、かな。
エレノアのオフィス。
ロッテはソファに座っていた。
エレノアは腕を組んで立っている。
「突然来るものじゃないわ」
ロッテは肩をすくめた。
「連絡はしてあるわよ?」
「パパの会社のロンドン支部に」
エレノアはため息をつく。
「そういう問題じゃないの」
ロッテは少し笑う。
「ママらしい」
エレノアは椅子に座る。
それから言う。
「学校は?」
ロッテは頷く。
「 ファウンデーションコース?」
「もちろん始まったわよ」
「シティ、ね」
エレノアは静かに聞く。
「寮にしたの?」
「うん」
ロッテは続ける。
「悪くないと思う」
「思ってたより普通だった」
エレノアは少し笑う。
「それは良かったわね」
少し沈黙。
ロッテは机の上の書類を見る。
ハミルトングループ。
金融。
投資。
それからエレノアを見る。
「忙しそうね」
「そうね」
エレノアは短く答える。
ロッテは窓を見る。
広がるロンドンの街。
それから言う。
「佐伯さん、」
エレノアが顔を上げる。
ロッテは続ける。
「いい人だね」
エレノアは一瞬だけ黙る。
「……どうしてそう思うの?」
ロッテは少し考える。
「逃げない」
エレノアは眉を上げる。
ロッテは続ける。
「最初は弱そうだと思った」
「でも違うなって」
エレノアは黙って聞いている。
ロッテは肩をすくめる。
「でも、ウサギだけど」
エレノアは小さく笑う。
「ウサギ?」
ロッテは頷く。
「でも逃げない」
少し沈黙のあと、ロッテは言う。
「ママ」
エレノアを見る。
「佐伯さんが気になるなら」
エレノアの表情が少し変わる。
ロッテは続ける。
「ちゃんとしなよ?」
エレノアは息をつく。
「ロッテ……?」
ロッテは淡々としている。
「パパもそう言うと思う」
エレノアは少し驚く。
「パパ?」
ロッテは頷く。
「うん」
「佐伯さん」
「嫌いじゃないっていってた」
エレノアはしばらく黙る。
それから小さく言う。
「……そう」
ロッテは立ち上がる。
「じゃあ帰るね」
エレノアは顔を上げる。
「もう?」
ロッテは笑う。
「寮があるもん」
それから付け足す。
「また来るね」
エレノアは頷く。
「ええ」
ロッテはドアへ向かう。
そこで一度振り返る。
「ママ」
エレノアを見て、
ロッテは言う。
「クリスマスまでには決めなよ」
エレノアは苦笑する。
「誰に似たのかしら」
ロッテは言う。
「多分パパね」
そして部屋を出ていった。
エレノアは一人残る。
しばらく静かだった。
それから小さく呟く。
「……困るわね」
ロンドンの空は、秋が深まっている。
ここまで読んでくださってありがとうございます!
『佐伯悠馬の結婚事情(仮)』始まりました。
結婚する気がない男の結婚事情(仮)です。
相変わらず周囲がうるさく、悠馬の胃が忙しいです。
更新はのんびりですが、完結まで書いていく予定なので
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