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佐伯悠馬の結婚事情(仮)  作者: 雪森蓮


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その171 「秋の風」

仕事がある日はあんまり更新ができないなぁ

午後の書斎。


机の上には書類。

エレノアが資料を整えている。


悠馬はそれに目を通していた。


「こちらがロンドンの報告です」


悠馬は答える。


「ありがとうございます」


短い会話、静かな時間。

窓の外、静かな秋の風。


エレノアが次の資料を差し出す。

悠馬が受け取る。


指先が少し近い。

ほんの一瞬、重なる。


エレノアはすぐ手を引く。


何も言わない。

悠馬も書類を見る。

いつも通りだった。


そのとき、

勢いよくドアが開く。


「兄さーん!」


ノアだった。

書斎の空気が一瞬で変わる。


ノアは部屋を見回す。


「お、仕事中?」


悠馬がぼそっと言う。


「見れば分かるでしょう?」


ノアは笑う。


「まあまあ!」


それから机に近づいて、

机の上の書類を見る。


「また増えてるなぁ」


悠馬。


「減りません」


ノアは椅子に寄りかかる。

それからエレノアを見る。


「エレノアさん」


エレノア。


「はい」


ノアは悠馬をちらっと見て言う。


「兄さん、最近どう?」


エレノアは少し首をかしげる。


「どう、とは?」


ノアは腕を組む。


悠馬をちらっと見る。

そして言う。


「機嫌?」


悠馬。


「普通です」


ノアはくすくす笑う。


「いやいや、ちょっと違うって」


悠馬は書類を見る。


「気のせいです」


ノアはエレノアを見る。


「そう思う?」


エレノアは少し困る。


それから言う。


「……いつも通りだと思います」


ノアは笑う。


「そう?」


それから悠馬を見る。


「兄さん」


悠馬。


「何ですか」


ノアがにやにやしながら言う。


「秋だな!」


悠馬。


「そうですね」


ノアは窓を見る。


庭園。芝生。森。


それから言う。


「夏、終わったね」


悠馬は少しだけ窓を見る。

それから言う。


「そうですね」


ノアはふっと笑う。


それからエレノアを見る。


「まあ、」


「兄さんのことよろしく!」


悠馬が言う。


「ノア?」


ノア。


「はい?」


悠馬。


「仕事があります」


ノアは笑う。


「はいはい」


それからドアに向かう。


出る直前、振り返る。


悠馬とエレノアを見る。


そして言う。


「仲良くやれよ!」


ドアが閉まる。


シン…と、静かになる。


数秒…

エレノアが小さく言う。


「……嵐ですね」


悠馬は小さく息を吐く。


「いつもです」


エレノアは少し笑う。

悠馬も書類に戻る。


仕事は続く。


でも。書斎の空気は、少しだけ変わっていた。



ここまで読んでくださってありがとうございます!


『佐伯悠馬の結婚事情(仮)』始まりました。

結婚する気がない男の結婚事情(仮)です。

相変わらず周囲がうるさく、悠馬の胃が忙しいです。


更新はのんびりですが、完結まで書いていく予定なので

よかったらまた覗いてください。


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