その172 「楽しみ」
最近エピソードタイトルに悩みがち
午後、ハミルトン邸。
広い芝生は静かだった。
ついこの間まで、子供たちが走っていた場所。
今は誰もいない。
ルイスがベンチに座っている。
本を開いている。
でも読んでいない。
テラスの扉が開いて、
悠馬が出てくる。
手には紅茶。
ルイスを見る。
「どうしました」
ルイスは少し考える。
「……静かだなって」
悠馬は芝生を見る。
確かに静か。
ルイスが静かに言う。
「マックス帰った」
「タイラーも」
「リリーも」
少し間。
「うるさかったんだ」
悠馬。
「そうですね」
ルイスはじっと芝生を見る。
「でもね、」
少し沈黙。
「今の方が変だと思ってる」
悠馬は少しだけ笑う。
「夏は終わりましたからね」
ルイスはパタンと本を閉じる。
それから言う。
「叔父上」
悠馬。
「はい」
ルイス。
「学校が始まるね」
「プレップスクールが」
悠馬はうなずく。
「そうですね」
ルイスは首をかしげて、少し考える。
「前より厳しい?」
悠馬。
「少し、、ですが、」
「すぐ慣れますよ」
ルイスは芝生を見る。
少しだけ沈黙。
それから小さく言う。
「……クリスマスは」
悠馬。
「はい」
ルイス。
「今年も…」
少し間。
「アメリカ行ける?」
悠馬は少しだけ考える。
去年の冬。
アメリカ。
騒がしいクリスマス。
悠馬は言う。
「まだ分かりません」
ルイスは少し残念そう。
悠馬は続ける。
「ですが」
「ノアに聞いてみましょう」
ルイスは少しだけ笑う。
「父上に?」
悠馬。
「ええ」
少し沈黙。
風が芝生を揺らす。
ルイスは本を開いて、今度は読む。
悠馬はそれを少し見る。
それから言う。
「ルイス」
ルイス。
「はい」
悠馬。
「冬はすぐ来ますよ」
ルイスは少し笑う。
「分かった」
また本に戻る。
芝生は静かだった。
ハミルトン邸の秋は静かにはじまる。
ここまで読んでくださってありがとうございます!
『佐伯悠馬の結婚事情(仮)』始まりました。
結婚する気がない男の結婚事情(仮)です。
相変わらず周囲がうるさく、悠馬の胃が忙しいです。
更新はのんびりですが、完結まで書いていく予定なので
よかったらまた覗いてください。
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