その167 「夏休みの終わり」
やっと夏が終わる。こんなに長くなるとは思ってなかった件
朝、ハミルトン邸の前。
車が二台。
トランクが並んでいる。
芝生にはまだ夏の匂いが残っていた。
リリーが走り回っている。
「パパまだー!」
タイラーが言う。
「もうすぐだろ」
マックスは芝生に座っていた。
靴で草を蹴る。
イーサンは少し離れて立っている。
静かに様子を見ている。
ルイスもそこにいた。
マックスが言う。
「早いよな」
ルイス。
「何が?」
マックス。
「夏休みが終わるのがさ…」
ルイスは少し考える。
「うん…」
タイラーが言う。
「毎年そうだよね」
リリーが戻ってくる。
「車来た!」
門の方。
車がゆっくり近づいてくる。
マックスが立ち上がる。
「来年も来るよ」
ルイス。
「うん」
マックス。
「秘密基地、約束だぞ!」
ルイス。
「わかってる。絶対残す」
マックスは笑う。
「壊すなよ?」
タイラー。
「犯人はお前だろ?」
マックス。
「違うよ!」
リリー。
「風!」
イーサンが言う。
「責任回避だな」
少し笑いが起きる。
車が止まる。
カイルが降りる。
「そろそろだぞ」
マックスが手を上げる。
「はいはい」
タイラーがトランクを持つ。
リリーはまだルイスの周りを回っている。
「ルイス!」
ルイス。
「何?リリー?」
リリー。
「あのね、クリスマス!」
ルイスが少し首をかしげる。
「何?」
リリー。
「来るでしょ?」
タイラーが言う。
「去年来たしね」
リリー。
「待ってるからね」
マックスが言う。
「クリスマス、またこっち来いよ!」
ルイス。
「うん」
マックス。
「いいな?」
タイラーが笑う。
「約束だぞ?」
マックス。
「来ないなら俺がイギリスに来ちゃうからな」
イーサンが言う。
「予定次第だろ?」
リリー。
「来て!」
マックスがルイスを見る。
「クリスマス」
ルイス。
「うん」
マックス。
「約束!絶対だからな」
ルイスは少しだけ笑う。
「うん」
カイルが言う。
「皆、乗れー」
マックスが車に向かう。
タイラー。
リリー。
イーサン。
順番に乗る。
ドアが閉まる。
マックスが窓を開ける。
「ルイス!」
ルイスが近づく。
マックス。
「考えとけ」
ルイス。
「何を」
マックス。
「アメリカ」
ルイスは少し黙る。
それから言う。
「うん」
窓が閉まって、車が動き出す。
ゆっくりと芝生を離れる。
門をでて、離れていく車。
見えなくなる。
静かになる庭。
さっきまでの声が消える。
ノアが後ろから来る。
「帰ったな」
ルイス。
「うん」
ノア。
「寂しいか?」
ルイスは少し考える。
それから言う。
「少し……」
ノアは笑う。
「また来るさ」
ルイスは芝生を見る。
庭園。森。
それから言う。
「うん」
ハミルトン邸の夏は、ゆっくり終わろうとしていた。
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『佐伯悠馬の結婚事情(仮)』始まりました。
結婚する気がない男の結婚事情(仮)です。
相変わらず周囲がうるさく、悠馬の胃が忙しいです。
更新はのんびりですが、完結まで書いていく予定なので
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