その158 「帰宅」
書いてるときは頭の中に話があるけど載せるとき見てみると禅問答みたいになってて焦る
ハミルトン邸。
夏の朝。
車が門をくぐる。
芝生。庭園。屋敷。
静かな朝だった。
車が止まる。
ロッテが先に降りる。
玄関の扉が開く。
凛が出てくる。
ロッテを見る。
「早かったわね」
ロッテ。
「普通です」
凛。
「空港はどうだった?」
ロッテ。
「混んではいなかったですね」
それだけ。
凛は頷く。
後ろで悠馬が車を回す。
エンジン音。
ロッテはそれを見る。
凛も見る。
車は庭の奥へ消える。
少しおいて…玄関の中。
エレノアが来る。
ロッテを見る。
「どうだった」
短い声。
ロッテ。
「帰っていったよ」
エレノアは頷く。
「そう」
それだけ。
少し沈黙。
凛が言う。
「泣かなかった?」
ロッテ。
「パパが?」
凛。
「そう」
ロッテは少し考える。
それから言う。
「まさか。観察よ」
凛が笑う。
「それは知ってるわ」
ロッテ。
「安心してたみたい」
エレノアが少し見る。
「安心?誰が?」
ロッテ。
「パパが」
少し間。
「佐伯さんがいるからって……」
エレノアは何も言わない。
ただロッテを見る。
凛はそれを見る。
ロッテは続ける。
「進学相談とか…」
凛。
「兄さんに?」
ロッテ。
「えぇ。色々聞いてみればいいって」
凛。
「兄さんに?」
ロッテ。
「うん」
エレノアは静かに聞いている。
凛はふと聞く。
「観察って?」
ロッテ。
「継続するかなと」
凛。
「何を?」
ロッテは少し笑う。
それから言う。
「全部、かな」
凛も笑う。
「大変ね」
ロッテ。
「でも、面白い」
玄関の外。
車の音。
悠馬が戻る。
ドアが閉まる。
足音。
凛が言う。
「兄さん」
悠馬は返事をする。
「はい」
「空港、お疲れ様」と、凛。
悠馬は答える
「どういたしまして。きちんと送りましたよ」
凛。
「そう、よかった」
短い会話。
悠馬はロッテを見る。
「問題ありませんか」
ロッテ。
「観察、続けるわ」
悠馬。
「意味が分かりません」
ロッテ。
「いいの。わからなくても」
少し沈黙。
夏の朝。
屋敷は静か。
凛は二人を見る。
それからエレノアを見る。
エレノアは何も言わない。
ただロッテを見る。
そして悠馬を見る。
ほんの一瞬。
凛は小さく笑う。
「なるほど、そういう事ね」
エレノアが聞く。
「何が」
凛。
「観察、ね」
ロッテ。
「継続、よ」
夏の朝。ハミルトン邸。
一日はまだ始まったばかりだった。
ここまで読んでくださってありがとうございます!
『佐伯悠馬の結婚事情(仮)』始まりました。
結婚する気がない男の結婚事情(仮)です。
相変わらず周囲がうるさく、悠馬の胃が忙しいです。
更新はのんびりですが、完結まで書いていく予定なので
よかったらまた覗いてください。
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