その157 「夏の客人XVII(帰りの車)」
これ終わったらファンタジー的なものに挑戦してみようかなぁ
空港。朝の光。
駐車場。
車に戻る。
悠馬が鍵を押す。
ロッテが言う。
「早い……」
悠馬かきいた。
「何がですか?」
ロッテ。
「パパが帰るのが…」
悠馬は答える。
「仕事がありますから」
ロッテは頷く。
「そうね」
車に乗る。
ドアが閉まる。
静かなエンジン音。
車は動き出す。
空港からの帰り道。
朝の交通。
ロッテが窓を見る。
少し黙る。
それから言う。
「パパが…」
悠馬。
「はい」
ロッテ。
「気に入ってたわ」
悠馬。
「誰をですか?」
ロッテ。
「佐伯さん」
悠馬。
「仕事の話です」
ロッテ。
「違う、それだけじゃないと思う」
悠馬。
「何がでしょうか」
ロッテは少し考えて、
それから言う。
「観察…かな」
悠馬。
「そうですか」
ロッテ。
「金融関係の人間は人を見るのよ」
悠馬。
「そうですね」
少し間。
車は高速に入る。
ロッテが聞く。
「大学…」
悠馬。
「はい」
ロッテ。
「難しかった?」
悠馬。
「読んで、書いて、考えるだけです」
ロッテ。
「それは」
少し笑う。
「大変ね」
悠馬。
「慣れますよ」
ロッテ。
「相談してもいい?」
悠馬。
「構いません」
ロッテは少し黙る。
それから言う。
「パパが安心してたわ」
悠馬。
「そうですか」
ロッテ。
「珍しい事なの」
悠馬。
「何がです?」
ロッテ。
「人を任せることよ」
悠馬は少し考える。
それから言う。
「過大評価ですね」
ロッテ。
「違うと思う」
少し間。
「観察、かな」
車は街を離れる。
夏の道。
ロッテが言う。
「ママは…」
悠馬が答える。
「はい」
ロッテが続ける。
「困ってるわ」
悠馬は聞く。
「仕事の事ですか?」
ロッテは首を振る。
「違う、」
悠馬。
「何が違うのでしょうか」
ロッテは窓を見る。
少し笑う。
「観察中よ」
悠馬は言う。
「意味が分かりませんね」
ロッテ。
「いいです」
少し間。
ロッテ。
「ファンデーションは…」
悠馬。
「はい」
ロッテ。
「忙しい?」
悠馬。
「最初はそうでしょうね」
ロッテ。
「楽しみね」
悠馬。
「それは良いことです」
車は屋敷の道に入る。
森。芝生。
ハミルトン邸。
見えてくる。
ロッテが言う。
「観察継続、ね」
悠馬。
「何のですか?」
ロッテ。
「全部、よ」
車は屋敷に入る。
夏の朝。ハミルトン邸。
また一日が始まる。
ここまで読んでくださってありがとうございます!
『佐伯悠馬の結婚事情(仮)』始まりました。
結婚する気がない男の結婚事情(仮)です。
相変わらず周囲がうるさく、悠馬の胃が忙しいです。
更新はのんびりですが、完結まで書いていく予定なので
よかったらまた覗いてください。
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