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佐伯悠馬の結婚事情(仮)  作者: 雪森蓮


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その152 「夏の客人 XIV(出発と準備)」

悠馬君が自覚する日は来るのか。

ヴァイツマン親子が滞在してから一週間ほど経っていた。


ハミルトン邸の朝は静かだった。

少なくとも昨日よりは。


玄関ホール。

レオンがコートを着ている。

車はもう準備されていた。


エレノアが言う。


「気をつけて」


レオンは頷く。


「そっちもな」


少し視線が動く。

ロッテは腕を組んで二人を見ている。


「私はあと十日くらいのこるね」


レオンが言う。


「分かってるよ」


「大学の見学と準備だな」


ロッテは頷く。


「大丈夫。ちゃんとできる」


レオンは少し笑う。


「そうだろうな」


そして、悠馬を見る。


「佐伯」


「はい」


「二人を頼む」


短い言葉。

悠馬は頷く。


「承知しました」


レオンはそれ以上言わない。

振り向く。

車へ向かう。


エンジン音。


車は静かに門を出ていった。

少し沈黙。


ノアが言う。


「嵐が一つ帰ったな」


エレノアが言う。


「失礼ね」


ノアは笑う。


「冗談だよ」


ロッテが言う。


「似てるね」


ノアが振り向く。


「誰に?」


ロッテは言う。


「叔父様?」


ノアが笑う。


「光栄だな」


朝の空気は静かだ。


だけど。


屋敷はすぐに動き出す。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


その日の午前中。


ロッテの部屋。

机の上には書類。


大学案内。


ノート。


イギリスの地図。


ロッテはペンを持っている。


しかし。


窓の外を見る。


庭。芝生。

そして、テラス。


悠馬がいる。


書類。紅茶。

いつもの姿。

ロッテは少し眉をひそめる。


(……検討中)


あの会話を思い出す。


”八ヶ月”

”再検討”


ロッテは小さく息を吐く。


「遅い」


小さく呟く。


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


午後の庭。


子供たちはまた走っている。


ルイス。

マックス。

タイラー。

リリー。


そして。


イーサン。


でも、今日は途中で抜ける。


テラスへ向かう。

悠馬がいる。


「叔父さん」


悠馬は顔を上げる。


「どうしました?」


イーサンは椅子に座って少し笑う。


「その後」


悠馬の脳が警戒する。


「……何のことでしょうか」


イーサンは言う。


「検討」


沈黙。

悠馬は紅茶を置く。


「継続中です」


イーサンが言う。


「進んだ?」


悠馬は考える。


「……」


そして答える。


「少し?」


イーサンは頷く。


「いいね」


悠馬は言う。


「ただし…」


「問題がありますね」


「何?」


悠馬は少しだけ視線を遠くに向ける。

庭の向こう。


エレノアが凛と話している。

ロッテもいる。


三人。


少し距離がある。

悠馬は言う。


「距離ができました」


イーサンは言う。


「そりゃそうだよ」


悠馬が振り向く。


「そうですか?」


イーサンは頷く。


「うん、だって…」


「叔父さん」


少し笑う。


「分かりやすいもん」


悠馬は黙る。

イーサンは続ける。


「だからさ、たぶん…」


「様子見されてると思うよ」


悠馬は少し考えて、

それから言う。


「合理的です」


イーサンが笑う。


「またそれかよ」


少し沈黙。

涼しげな風が吹く。

庭では子供たちが叫んでいる。


イーサンが言う。


「でもさ」


悠馬が見る。


「何でしょう」


イーサンは言う。


「叔父さん、検討してる間に…」


「終わるよ!」


悠馬は止まる。

そして、考える。

かなり長く。


イーサンが言う。


「ほら」


悠馬は答える。


「……再検討します」


イーサンが笑う。


「またそれか!」


テラスには夕方の風。

庭には子供たち。

屋敷の中ではロッテが本を抱えて歩いている。


夏はまだ続く。


そして検討も。


まだ続いていた。




ここまで読んでくださってありがとうございます!


『佐伯悠馬の結婚事情(仮)』始まりました。

結婚する気がない男の結婚事情(仮)です。

相変わらず周囲がうるさく、悠馬の胃が忙しいです。


更新はのんびりですが、完結まで書いていく予定なので

よかったらまた覗いてください。


感想・フォロー等とても励みになります!

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