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佐伯悠馬の結婚事情(仮)  作者: 雪森蓮


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228/293

幕間 「日常」

なんでもない午後、の回

普通の午後。


ウィルトシャーの空は明るかった。

芝生にはいつもの子供たち。


走る。叫ぶ。転ぶ。

騒がしい。


「待てー!」


タイラーが叫ぶ。

マックスが逃げる。

リリーが笑う。

ルイスは少し離れて見ている。


そして言う。


「そっち行くと滑るよ!」


タイラーが滑る。

そして転ぶ。


マックスが笑う。


その時、後ろから声がする。


「楽しそうだな!」


全員止まる。

振り向く。


ノアだった。


子供たちが言う。


「叔父様!」


ノアは芝生に降りる。


「何してるの?」


マックスが言う。


「鬼ごっこ!」


ノアは頷く。


「いいな」


ルイスが言う。


「父上は禁止です」


ノアが笑う。


「なんで?」


ルイスは真顔。


「強すぎるから!」


タイラーが言う。


「それはある」


ノアが言う。


「じゃあ…ハンターだ!」


子供たちが一斉に逃げる。


芝生が一気に騒がしくなる。


その瞬間。

テラスから声がした。


「ノア!」


凛だった。

全員止まる。


凛が言う。


「何してるの」


ノアが言う。


「教育だよ!」


凛が言う。


「違うわね」


「あなたのは騒音」


ノアは肩をすくめる。


その時。

庭の向こうから悠馬が歩いてくる。

書類を持っている。


ルイスが言う。


「叔父上」


悠馬が止まる。


「どうしました?」


ルイスは芝生を見る。

そして言う。


「父上が暴れています」


ノアが言う。


「暴れてないよ!」


悠馬は少しだけため息をつく。

それから言う。


「ノア?」


「はい」


「ほどほどにしなさい」


ノアは笑う。


「了解!」


子供たちがまた走り出す。

庭はまた騒がしくなる。


テラスの端。

ロッテがその様子を見ていた。


隣にエレノア。

ロッテが言う。


「この家って、」


エレノアが笑う。


「騒がしい?」


ロッテは頷く。


少しの間。


ロッテが庭を見る。


悠馬はもういない。

屋敷の中に戻ったらしい。

ロッテは小さく言う。


「……逃げない」


エレノアが聞き返す。


「何?」


ロッテは首を振る。


「別に」


風が庭を通る。


ハミルトン邸の夏はまだ続いていた。



ここまで読んでくださってありがとうございます!


『佐伯悠馬の結婚事情(仮)』始まりました。

結婚する気がない男の結婚事情(仮)です。

相変わらず周囲がうるさく、悠馬の胃が忙しいです。


更新はのんびりですが、完結まで書いていく予定なので

よかったらまた覗いてください。


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