表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
佐伯悠馬の結婚事情(仮)  作者: 雪森蓮


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

225/293

その149 「 夏の客人Ⅺ(雨の日の探検)」

こういう「冒険」してみたかったなぁ(遠い目)

翌日は朝から雨だった。


ウィルトシャーの空は灰色で、庭の芝生は濡れている。

窓には小さな雨粒が並んでいた。


子供たちは窓の前に集まっている。


タイラーが言う。

「外出れない」


リリーがため息をつく。

「つまんない」


マックスが椅子に座る。

「暇だ」


ルイスは窓の外を見る。

しばらく黙る。

それから言う。


「じゃあ…」


マックスが顔を上げる。

ルイスは小さく言う。


「探検?」


マックスがすぐ笑う。

「いいね」


タイラーが振り向く。

「どこ?」


ルイスは少し考える。


「屋敷…かな?」


リリーが目を輝かせる。

「秘密基地?」


「かもしれないね」


子供たちは顔を見合わせる。

そして一斉に立ち上がる。


「行こう!」


廊下。

雨の日の屋敷は静かだった。


遠くで使用人が歩く音だけがする。

ルイスが先頭に立つ。


「こっち…」


マックスがついていく。

タイラーとリリーも後ろ。


階段を上がる。

さらに上。

屋根裏へ続く廊下。

この間来た場所。


マックスが言う。

「ここだ!」


ルイスは部屋のドアを開ける。


ギィ・・・。


古い音。

小さな使用人部屋。


机。

ベッド。

小さな窓。


タイラーが言う。

「ここきたよね」


マックスが壁を見る。

「でも」


少し眉を寄せる。


「これ昨日なかったな」


ルイスが近づく。


壁の端。

古い板。

少し隙間がある。


ルイスが押す。

動く。


タイラーが言う。

「開いた!」


ゆっくりと、板がずれる。


その奥。

暗い。

細い通路。


リリーが小さく言う。

「秘密通路!」


マックスが笑う。

「すげえ!!」


ルイスは中を覗く。

奥は見えない。


暗い。

静か。


雨の音だけが遠くから聞こえる。

少し沈黙。


マックスが言う。

「行く?」


ルイスは少し考える。

それから言う。

「ちょっとだけ?」


タイラーが笑う。

「冒険だな!」


リリーも頷く。

「冒険だね!」


四人が通路に入る。

古い石の壁。

狭い。

足音が響く。


しばらく歩く。

曲がる。

また曲がる。


マックスが言う。

「これ……」


「すごいな」


ルイスは前を見る。

「まだ続くね」


その時。

遠くで声。


「ルイス!」


子供たちが止まる。

また声。


「ルイス!」


凛だった。


タイラーが言う。

「呼ばれてるよ?」


マックスが言う。

「戻るか?」


ルイスは少し考える。

それから言う。

「今日はここまでにしようか」


リリーが少し残念そうに言う。

「えー」


ルイスは笑う。

「続きあるよ」


マックスも頷く。

「また来ようぜ」


四人は来た道を戻る。

屋根裏の部屋に出る。

板を元に戻す。

ドアを閉める。


そして階段を降りる。


廊下に出た瞬間。

凛が立っていた。


「どこ行ってたの」


四人が固まる。

ルイスが答える。

「探検だよ」


凛は少し黙る。

それから言う。


「ほどほどにしなさい?」


子供たちは一斉に頷く。


「はーい」


四人が廊下を歩いていく。

少し後ろ。

ルイスとマックスが目を合わせる。


小さく笑う。

マックスがにゃりとしながら言う。

「続き…必ずな」


ルイスが頷く。

「もちろん!」


ハミルトン邸の雨の日は静かだ。

だけど。

屋敷の奥には、


まだ誰も知らない道が続いていた。




ここまで読んでくださってありがとうございます!


『佐伯悠馬の結婚事情(仮)』始まりました。

結婚する気がない男の結婚事情(仮)です。

相変わらず周囲がうるさく、悠馬の胃が忙しいです。


更新はのんびりですが、完結まで書いていく予定なので

よかったらまた覗いてください。


感想・フォロー等とても励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ