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佐伯悠馬の結婚事情(仮)  作者: 雪森蓮


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222/293

その146 「夏の客人Ⅷ」

ねんむ!

昼のハミルトン邸は静かだった。


子供たちは庭。

屋敷の中は落ち着いている。


古い廊下。

高い窓。

夏の光。


書斎の扉が少し開いていた。


ロッテはそこを通りかかる。

声が聞こえる。


「それで?」


低い声。

レオンだった。


「問題はありません」


もう一人。

佐伯悠馬。


ロッテは足を止める。

扉の隙間から少し見える。


机。

書類。

レオンが椅子に座っている。

悠馬は立ったまま資料を見ている。


「欧州側は同意しています」


「早いな」


レオンが笑う。


「あなたのところはいつもそうだ」


悠馬は眼鏡を直す。


「準備が早いだけです」


レオンがワインを回す。


「謙遜か」


「事実です」


短い沈黙。

レオンが言う。


「ハミルトンは君がいないと回らない」


悠馬は少しだけ眉を動かす。


「それは言い過ぎです」


レオンは肩をすくめる。


「いや」


「事実だ」


ロッテは少し目を細める。

その時。

別の声。


「私もそう思う」


エドワードだった。

いつの間にか扉の反対側から入っていた。


レオンが笑う。


「前伯爵」


「聞いていたか」


「少し」


エドワードが椅子に座る。


「悠馬」


「はい」


「任せる」


短い。

それだけ。

悠馬が頷く。


「承知しました」


ロッテは扉の外で黙っていた。

しばらくして。

会話が別の話題に移る。


ロッテは静かに廊下を歩く。

曲がり角。

そこにエレノアが立っていた。


「盗み聞き?」


ロッテは肩をすくめる。


「少し」


エレノアが笑う。


「何を聞いたの?」


ロッテは少し考える。


「パパと」


「前伯爵と」


「佐伯さん」


少し間。


「三人とも変」


エレノアが笑う。


「どう変?」


ロッテは廊下の窓を見る。


庭。

子供たちが遠くで走っている。

それから言う。


「パパは普通」


「前伯爵は貴族」


「佐伯さんは……」


少し言葉を探す。


「会社」


エレノアが少し驚く。


「会社?」


ロッテは頷く。


「家でも」


「会社でも」


「真ん中」


エレノアは何も言わない。

ロッテは小さく言う。


「ウサギじゃない」


少し間。


「もっと厄介」


エレノアは少し笑う。


「それは否定しないわね」


廊下の奥。

書斎の扉が開く。

悠馬が出てくる。


ロッテと目が合う。


「何か?」


ロッテは首を振る。


「別に」


悠馬は頷く。

それだけ。

また書類を見る。


ロッテはその背中を見る。

少しだけ思う。


(本当に忙しい人)


そして

ハミルトン邸の夏の昼は

静かに続いていく。




ここまで読んでくださってありがとうございます!


『佐伯悠馬の結婚事情(仮)』始まりました。

結婚する気がない男の結婚事情(仮)です。

相変わらず周囲がうるさく、悠馬の胃が忙しいです。


更新はのんびりですが、完結まで書いていく予定なので

よかったらまた覗いてください。


感想・フォロー等とても励みになります!

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