幕間 「ロンドン訪問」
ロッテちゃんはお気に入りキャラです(`・ω・´)
ロンドンは曇っていた。
ハミルトングループ本社ビル。
ガラス張りのロビーは静かで、空気は整っている。
自動扉が開く。
背の高い男が入ってくる。
”レオンハルト・フォン・ヴァイツマン”
その隣に少女。
”シャーロッテ”だ。
ロッテはロビーを見回す。
高い天井。
磨かれた石の床。
忙しく歩く人々。
大きな会社だった。
「どうだ」
レオンが言う。
ロッテは肩をすくめる。
「普通」
レオンは笑う。
「そうか」
受付に名前を告げる。
すぐに案内が来る。
エレベーターに乗り、上階へ。
ロッテは父を見る。
「仕事?」
「半分」
「もう半分は?」
レオンは少し笑う。
「挨拶だ」
ロッテは何も言わない。
扉が開く。
秘書室。
エレノアが立っている。
「レオン」
レオンが笑う。
「久しぶりだ」
二人は軽く抱き合う。
懐かしさはある。
でも、昔の夫婦の空気ではない。
落ち着いた距離だ。
「ロッテ」
「ママ」
短い挨拶。
それだけ。
エレノアが言う。
「会議はこちらです」
レオンが頷く。
ロッテを見る。
「少し待っていなさい」
「うん」
ロッテはソファに座る。
ドアが閉まる。
ガラス越しに会議室が見える。
中に一人の男。
黒いスーツ。
背筋が伸びている。
”佐伯悠馬”
ロッテは目を細める。
(ウサギ)
去年ドイツで見た男。
あの夜。
ワインを飲んで倒れた。
びくびくしていた。
”弱そうな男”
会議が始まる。
声は聞こえない。
だが様子は分かる。
父が話す。
男が答える。
資料。
説明。
速い。
無駄がない。
ロッテは少しだけ眉を上げる。
(仕事はできる)
姿勢。
視線。
話し方。
完全に経営者だ。
でも。
(ウサギだけど)
静かすぎる。
獣の気配はない。
”やはりウサギ”だ。
しばらくして。
ドアが開く。
会議が終わった。
レオンが出てくる。
エレノア。
そして。
佐伯悠馬。
悠馬はロッテを見る。
一瞬だけ驚く。
すぐに表情が整う。
「……シャーロッテ嬢」
ロッテは立つ。
「お久しぶりです」
レオンが言う。
「知り合いだったか」
悠馬は頷く。
「昨年ドイツで」
ロッテは静かに言う。
「覚えてます」
少し沈黙。
ロッテは思う。
(ちゃんとしてる)
ドイツの時と違う。
姿勢。
声。
落ち着き。
完全に仕事の男。
それでも。
(ウサギだけど)
レオンが言う。
「せっかくだ」
「邸宅も見せてもらえるかな」
悠馬は一瞬止まる。
ほんのわずか。
すぐに頷く。
「もちろんです」
「ウィルトシャーです」
レオンが笑う。
「聞いている」
ロッテを見る。
「行くか?」
ロッテは少し考える。
それから言う。
「いいよ」
エレノアが言う。
「車を手配します」
ロンドンの空は曇っている。
車がビルの前に止まる。
ドアが開く。
レオンが乗る。
ロッテも乗る。
悠馬は隣に座る。
車が動く。
ロンドンを離れる。
街が遠ざかる。
畑。
石垣。
長い道。
”ウィルトシャーへ”
そこには。
騒がしい屋敷が待っている。
子供たち。
笑い声。
そして。
ウサギの生活。
ロッテはまだ知らない。
その家がどれほど騒がしいかを。
ここまで読んでくださってありがとうございます!
『佐伯悠馬の結婚事情(仮)』始まりました。
結婚する気がない男の結婚事情(仮)です。
相変わらず周囲がうるさく、悠馬の胃が忙しいです。
更新はのんびりですが、完結まで書いていく予定なので
よかったらまた覗いてください。
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