表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
佐伯悠馬の結婚事情(仮)  作者: 雪森蓮


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

207/293

幕間 「春の庭/ルイス」

夏になると素小路話が動く、、といいな、、

春の庭はまだ少し湿っている。


ロンドンの空は薄い青だった。

ルイスは芝の端に座っていた。


膝の上には本。

ラテン語。


プレップの先生は言った。


「今から始める」


パブリックスクールの準備。


八歳、少し早い。


でも、、

理由は分かっている。


ルイスはページをめくる。


単語。

格変化。


覚える。

意味はまだ難しい。


ただ、覚える。


屋敷の窓を見る。


大きな家だ。

静かな家。


だけど学校は静かではない。


噂がある。


ルイスは小石を転がす。

皆が言う。


「叔父さんに似てる」


ルイスは自分の手を見る。


顔は分からない。

鏡を見てもよく分からない。


ただ、皆が言う。


似ている。

笑うと特に。


ルイスは顔を上げる。


庭の奥。

悠馬が歩いている。


電話中だ。

速い。

歩くのが速い。

電話が終わる。


悠馬はルイスに気づく。


「勉強?」


「うん。ラテン語」


ルイスは本を見せる。

悠馬はページを見る。


「難しい?」


「少し」


悠馬は少し考える。


「最初は覚えるだけでいい」


「うん」


「意味はあとで分かる」


ルイスは頷く。

悠馬は本を閉じる。


「少し走る?」


「いいの?」


「いい」


ルイスは芝に出る。


走る。

春の空気は軽い。


少しだけ。

頭が軽くなる。


ルイスは戻ってくる。

悠馬はベンチに座っていた。


ルイスも座る。

少し沈黙。

それからルイスは言う。


「叔父さん」


「なに」


「僕」


ルイスは少し迷う。


「…似てる?」


悠馬は首を傾げる。


「誰に」


「叔父さんに」


悠馬は一瞬止まる。

それから少し笑う。


「そう言われる?」


「うん」


ルイスは芝を見る。


「学校で」


悠馬は少し考える。

そして言う。


「嫌かな?」


ルイスは首を振る。


「わからない」


それが正直だった。

悠馬は静かに言う。


「似ててもいいよ?」


ルイスは顔を上げる。


「ほんと?」


「うん」


悠馬は続ける。


「君は君」


それだけ。

ルイスは少し考える。


そして頷く。

悠馬は立ち上がる。


「夏にね、」


「うん」


「従兄弟が来るよ」


ルイスの顔が明るくなる。


「イーサン?」


「来る」


「タイラー?」


「来る」


「リリーも?」


「来る」


「マックスも?」


「来る」


ルイスは笑う。

夏は騒がしくなる。


それは良いことだ。

ルイスはまだ知らない。


その夏に新しい人が来ることを。


そして、その人が


ほんの少しだけ、

世界を変えることを。



ここまで読んでくださってありがとうございます!


『佐伯悠馬の結婚事情(仮)』始まりました。

結婚する気がない男の結婚事情(仮)です。

相変わらず周囲がうるさく、悠馬の胃が忙しいです。


更新はのんびりですが、完結まで書いていく予定なので

よかったらまた覗いてください。


感想・フォロー等とても励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ