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最強教師は最低のクズ野郎~神殺しの王。教師となり美少女を育成する〜  作者: さく・らうめ
カルドニアのアベンジャー編
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尾行者

 多くの男達の怨嗟の視線を受け流し、のし歩いているスティーグ一行。

 遠巻きに爪を噛みながら恨めし気にこちらを見ている男達が大半であったが、中には行動に出る者もいた。


「おいてめー、随分と言い身分じゃねーか。独り占めはよくねーんじゃねーのか、ああ?」


 スティーグの道を塞いだのは大柄の男だった。

 筋肉が自慢なのか、後ろの少女達に向けてアピールするように鍛え上げた身体に力を加え、見せつけ様とする。

 が、そんな男の考えなど、全く情緒に入れないのがスティーグという男である。


「邪魔」

「ほぎゃぺ!」


 スティーグは立ちはだかる大男の脇腹に問答無用でミドルキックを叩き込んだ。

 大男は見事に吹っ飛び、細い横道に転がって行ってしまった。

 ガラの悪い大男の登場に、内心いい気味だと思っていた遠巻きの男達はぎょっとする。

 スティーグも身長は低くはないが、全体的に細身である。

 筋肉粒々の大男を軽々と蹴り飛ばせるとは思えない。

 なのだが、スティーグはハエを追い払ったくらいにしか思っていないようで、まるで気にせずにスタスタと歩き始めてしまう。


「なんだったのでしょう? あの男は」

「さぁ」


 首を傾げるシルフィーに、スティーグはどうでもよさそうに答えた。

 それからは男達の視線も鳴りを潜め、一行は宿へと向かったのだった。




*******


「・・・付けられていますね。今度は」


 宿に帰る途中、またもアティシアが声を出した。

 シルフィーも頷く。


「えっ!?」


 驚いて後ろを振り返ろうとするミラをアティシアがそっと袖を引いて止める。


「振り返っては駄目です。相手に気取られますから」


 ミラは焦ってコクコクと頷いた。


「あ、やっぱり、付けられてますよね。さっきからずっと付いてきてる奴がいると思ったんすよ」


 ステラも会話に加わると、ミラは気が付いていなかったのは自分だけかと不安になり、他の生徒達に目を向ける。

 クレア、シャルロッテ、セリスは気まずそうにブンブンと首を横に振った。


「どうしますか、お兄様?」

「ほっといていいんじゃね」


 無論、スティーグは気が付いていたはずだが、全く対処をするつもりは無い様であった。

 そして、いたずらっ子の様なニヤリと笑いながらステラに目を向ける。


「ステラにも気づかれるような間抜けだ。尾行は全くの素人だろうさ。脅威にはならんだろ」

「あ! ひどくないっすか!!」


 当然、ステラは怒りを爆発させて、拳を振り上げてスティーグとじゃれつき始めた。

 一応、ステラの名誉のために言っておくと、冒険者でレンジャーのクラスを目指しているステラの五感は非常に鋭い。

 実はシルフィーよりも早い段階で尾行者に気が付いていたのだ。

 スティーグもステラの実力を正確に把握しているので、これは単なるステラというキャラに対するちょっとした冗談に過ぎない。

 ステラの拳を舌を出しながらスイスイ避けて遊んでいるスティーグ達にアティシアは咳ばらいをして、空気を変えようと努める。


「ですが、先ほどの男性達から感じる視線とは明らかに違います。あるいは、例の外道召喚士の一派がこちらに気づき接触してきたのかもしれません」

「まあ、可能性は低そうだけどな」


 こんな素人の尾行を付ける様な奴らに、魔人召喚などの芸当が出来るとは思えない。

 まあ、魔法使いだけに尾行は専門外という可能性も残ってはいるが。

 

「では、私が捕まえて来ましょうか?」


 シルフィーが率先して提案すると、アティシアはゆっくりと首を横に振る。


「尾行は素人でも土地勘はあちらにあります。それに騒ぎになっても面倒ですし、ここは私が人払いの術を使います。幸い、この先に公園があるようですし」


 アティシアは地図を確認しながら、全員に視線で確認を取ると、皆が小さく頷く。

 さて、ここでこの世界の魔法について、軽くおさらいをしよう。

 人間が使える魔法は火、水、土、風、そして雷(光)の五大属性。

 これが現代使える魔法系統である。

 だが、かつて栄えた古代文明にはこれとは全く異なる別系統の魔法、いうなれば『特殊系』の魔法が幾つか存在する。

 アティシアが使うのはこの特殊魔法の一つ、人払いの魔法である。

 明らかに自分達を意識して付いてくる者以外は、無意識に自分達から離れていく意識操作の魔法で、しばらく時間が経てば、本来人通りの多い繁華街であっても無人にすることができる。

 因みにスティーグはこの手の魔法は一切使えない。

 五大魔法から派生する魔法のバリエーションは豊富だが、性格故か攻撃に役立つ魔法がほとんどで、その他の魔法はあまり習得していないのだ。

 ともあれ、これを使えば目的地となる公園に付く頃には、尾行者以外の人間は全ていなくなるという寸法だ。

 アティシアは呪文を唱えながら、そのまま一行を引き連れて公園へと向かった。

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