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最強教師は最低のクズ野郎~神殺しの王。教師となり美少女を育成する〜  作者: さく・らうめ
カルドニアのアベンジャー編
203/520

ハロー、カルドニア

「着いたー!!」


 ステラは荷台から飛び降りると両手を伸ばし、大きく伸びをした。

 他の少女達もそれに続き、各々身体を動かす。


「着いた、な」


 スティーグも御者台から降りると肩をぐるりと回した。

 旅立ちから十七日間、スティーグ一行はようやく公都カルドニアに到着した。

 本当はもう少し早く到着できたのだが、なんやかんやと色々あって、遅れてしまったのだ。


「さて、それじゃあ行くか」


 スティーグ達は検問を潜り、街の中に入ろうとした。

 なのだが、まさか、堂々とエルベキアから来たという訳にはいかない。

 何より、自分達はカルドニアを貶めた張本人達なのだ。

 そのまま名乗るなど論外であった。

 全員で打ち合わせをした結果、セリスはキュトレマイア教の修道女という事にし、他の少女達もそれに続く修行中の巡礼者とした。

 幸い、セリスは本当にキュトレマイア教の信者であったし、教会が信徒に配布するペンダントを持っている。

 そして、スティーグはその護衛という体で話を進める事となった。

 したのだが、これも問題があった。

 何しろスティーグは、とても凄腕の冒険者には見えなかったのだ。

 だらしなく身体を弛緩させ、全く凄みを感じない。

 背丈は低くはないが、全体的に細身でガッチリしているとは言えない体格。

 一応、変装の意味を兼ねて、スティーグはここ数日髭を剃る事無く、無精ひげを生やしていたため、尚更胡散臭く見えた。

 本当に冒険者なのかと疑いたくなるのは無理からぬことだろう。

 そこでスティーグは門番と軽く手合わせをすることになった。

 正体がばれては元も子もないので、『それなりの使い手』に見える程度に手加減をして、である。

 何合か剣を交えたところで、実力を認められ、ようやくスティーグ一行は城下に入ることが許された。

 元々ビザもパスポートも必要としない時代だ。

 身分の証明も自己申告の部分が重要視されるので大きな問題にはならなかった。


「さて、これからどうしますか、お兄様?」

「まあ、宿だろうな。少なくとも数日はいるだろうし、拠点は必要だろ」

「順当ですね」


 アティシアは頷いて、まずは宿探しとなった。


「幸い、軍資金はあることだし、どうせならいい宿に泊まりましょう?」


 ミラはずっしりと重い鞄をポンポンと叩いた。

 前金でもらった純金はすでに換金している。

 上等な宿でも半年は悠々宿泊できる。

 話がまとまり、スティーグ達は宿探しを始めたのだった。



***********


「ええ! 部屋がない?」


 しばらく聞き込みをしつつ宿を探していた一行は、この辺りではもっともしっかりとしている宿を見つけた。

 三食、食堂に行けば料理が食べられるし、部屋には温かい風呂もついている。

 非常に上等と言っていい宿だったのだが。


「申し訳ありません。今空いている部屋は、三名様と四名様のお部屋だけでして、皆さんをお泊めできる部屋は空いていないんですよ」


 受付のお姉さんは申し訳なさそうに頭を下げる。

 スティーグ達は顔を見合わせて、自分達の数を数える。

 スティーグ、ミラ、アティシア、生徒が五人。計八人。

 泊まれる人数は七人で一人分足りない。

 更に問題がある、少女達は恐る恐るスティーグを見つめる。

 異物。

 一人だけ男がいるという事はどうしてもスティーグと誰かが同室になるという事だ。

 視線を感じ、スティーグは舌打ちして頭をかく。


「チッ。しょうがねーな。俺は違う宿を探すよ。一人なら泊まれる宿なんていくらでもあるだろ」


 珍しく気を利かせてスティーグは宿を出ようとするが。


「お待ちくださいお兄様。全く何の問題もありません、ええ。馬車の時同様、私とお兄様が一緒の部屋になればいいんです。ええ」


 ここぞとばかりにアティシアが主張した。

 確かに、それがもっともまともな解決策に思えたのだが。


「チョーっと待ってくださいませ。アティシアさんはずっと旅の時、先生と一緒だったでしょう? 今回はわたくしに譲るべきですわ」


 待ったをかけるシャルロッテにアティシアは不敵な笑みを浮かべ目を細める。


「あら、なにを言っているんですかシャル? 私達は実の兄妹、大事なので二度言いますが、実の兄妹なのです。それが同室になることに何の問題があるというのですか?」

「大ありですわ! 旅の時は一人必ず見張りを立てて見ていましたが、もしそれがなかったら何もしなかったと言い切れまして?」

「・・・モチロンデスヨ」

『(絶対嘘だ)』


 全員が心の中でツッコんだ。

 アティシアが兄であるスティーグを溺愛していることは周知の事実だ。

 この女、隙さえあれば、倫理観など道端の石ころ同然に蹴飛ばしてしまうに違いない。

 密室である部屋に二人きりにさせるなど、以ての外であった。


「フッ、ここはスティーグ先生の騎士である、この私が先生と一緒になるのが一番と考えます」

「なーに言ってんスかシルフィー先輩。全然理由になってないし、ちゃっかりと先生の騎士とか言わないでくださいよ」

「あ、あのあの。やっぱり異性が二人きりっていうのはまずいと思うんです」

「あら、それならクレアさんは戦線離脱と思っていいのね? じゃあ、ここはスティーグのメイドたるあたしが、お世話の意味を込めて」

「ええ!? そ、それはちょっと、あ! そうです、先生を四人部屋にして他の三人でお互いを見張るというのは?」

「つまりませんわ」

「つ、つまるつまらないじゃないと思うの!」


 当のスティーグを置き去りに、少女達はどこまでもヒートアップしていく。

 もうどうとでもなれと状況を見守っていたスティーグであったが、くいっと袖を捕まれる。


「あたしは小さいから、先生と一緒にベッドで寝れば、色々解決する」

『!!』


 少女達がやいのやいのしている中、セリスがちゃっかりと美味しいポジションを持っていこうとしていた。

「ま、待って待って! 同室どころか、同衾! それは流石にどうなの!!」

「迂闊。手をこまねいている間になんて大胆な」

「く、セリス。あたしらができない事を軽々とやって見せる。そこに痺れる憧れる」

「セリスさん、恐ろしい子」


 全員が全員とても美しい少女達なのに、その少女達が一人の男を取り合っている。

 ちょっと考えられない光景に受付のお姉さんは顔を引きつらせて苦笑いを浮かべていた。

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