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最強教師は最低のクズ野郎~神殺しの王。教師となり美少女を育成する〜  作者: さく・らうめ
カルドニアのアベンジャー編
198/520

アドルフの爆弾発言

「私も付いていくから」


 ミラは同行を表明した。

 それを聞いたスティーグは流石に顔を曇らせる。


「・・・いや、お前は」


 カルドニアは昨年までエルベキアの敵国だったのだ。

 そして、スティーグはそのカルドニアを降伏させて従属国にした張本人だ。

 何があるのか予測できないし、目的である外道召喚士を見つければまず間違いなく戦闘になるだろう。

 そうなった時にミラには戦う術がない。

 危険地帯にわざわざ踏み込ませる真似はさせたくなかった。


「危険な場所には行かないわ。人探しの情報を集めるくらいはできるし、長旅となればお世話をする人が必要でしょう?」

「いや、万が一ってこともあるしな」

「もう、待っているだけは嫌」


 きっぱりと言い切るミラにさすがのスティーグも押し黙る。


「私が付いていますよ」


 そう言ってミラをフォローしたのはアティシアだった。


「大切な人の安否がわからずに待っているのは辛いですから。私が絶対にミラさんを危険な目にはあわせません」

「アティシアさん!」


 ミラを思うアティシアの言葉に、ミラは感極まってアティシアに抱き着いた。

 アティシアも嬉しそうにそれを受け止める。


「はぁ。わかったわかった。もう好きにしろよ」


 スティーグはお手上げのアクションを取って遠回しに皆の動向を認めた。

 少女達は見つめ合い、ニッコリ笑いあった。


「お前はどうする?」


 スティーグはアドルフに水を向けた。

 この際、人探しが主目的なのだから、人出は多いに越したことはない。

 アドルフはアティシアと並び、AAAクラスの実力者。戦闘力に何の問題もない。

 付いてきてくれるなら心強かった。

 だが、当のアドルフは気まずそうに口を結んだ。


「・・・いや、私は」

「? 別に無理にとは言わないが」


 アドルフは実直な男だ。

 前回のカルドニアの戦争でも生徒達を引き連れてスティーグを追いかけてくれたし、もし仮に同行できない理由があるのならハッキリと口にするはずだ。

 こんな風に言いよどむ事は極めて珍しい。


「その、来週予定があるんだ」

「どんな予定だよ?」

「そ、それは」

「それは?」


 追及するスティーグに対し、アドルフは大きく呼吸をした後、咳ばらいをし、覚悟を決めた様子で、言った。


「・・・者と食事会があるんだ」

「あ? 誰と食事だって?」

「こ、婚約者だ。婚約者と食事会があるので、一緒には行けない!!」

「ふーん。そうか、婚約者と」

・・・・・・・・・

・・・・・

・・・

『うえええええええええぇぇぇぇーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!』


 全員が絶叫した。


「おま、おま、今、婚約者って言ったか!?」

「そうだ! 悪いか!?」

「先生、結婚するんですか?」

「なんで今まで黙っていたんですか?」

「水臭い」

「式はいつなんですか?」

「相手は誰なんですか?」


 全員から質問攻めにあい、アドルフはたじろいだ。


「い、一度に質問しないでくれ。相手は懇意にしている貴族の御令嬢だ。具体的に式の日取りは決まっていないが、早ければ半年後か」

『きゃーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!』


 とんでもない爆弾発言に少女達は黄色い声を上げた。

 ある意味では魔人の王の登場よりも衝撃的な出来事だ。

 と、そんな中、ステラが身体を震わせていた。


「そんな、先生ひどいっすよ」

「・・・ステラ君」


 思えば、少々サボり気味であったステラを生真面目だったアドルフは熱心に指導していた。

 アドルフの結婚はステラにショックを与えたのかもしれない。


「す、すまないステラ君。隠すつもりはなかったんだ。ただ、少々気恥ずかしかったから言い出せなかったんだ。だから、泣かないでほ」

「あたしらがどんなにスティーグ先生ときゃっきゃうふふをしていても、アドルフ先生だけはポツンと一人で寂しく年を取って、それを憐れみを持って見つめるのがあたしの夢だったのに!」

「君も大概失礼だな!!」


 アドルフは憤慨する。

 頭に来るのはその事をどうやらステラが本気で悔しがっている様だということだった。


「と、ところで先生、どんな方なんですか?」

「どうせ、ブスだろ?」


 クレアが場を取りなすように言うとスティーグが悔しそうに茶々を入れる。


「いや、私には勿体ないくらい出来た女性だ」

「歳はいくつなんですか?」

「・・・」


 これまで戸惑いながらも受け答えをしていた真顔で硬直した。


「・・・先生?」

「・・・さいだ」

「え?」

「・・・十三歳だ」

『・・・・・・・・・え?』


 その場にいた全員が硬直した。


「・・・十、三?」

「待て、聞いてくれ! 貴族社会ではままあることだ。私に特殊な性癖があるとかそういったことはない!」


 アドルフの言っていることは間違いではない。

 平民には既に捨て去られつつある文化ではあるが、古い考えを維持している貴族社会では女性の婚期は十五歳前後。十三歳という歳も異常というほどの事でもない。


「君達にはわかるだろう!?」


 アドルフは焦りながらもシャルロッテとシルフィーに助け舟を求める。

 貴族社会を理解しているこの二人ならば理解を得られるはずであった。しかし、


「・・・その、頭ではわかっているのですが」

「自分達よりも年下の女の子というのはさすがに」


 援護を求めた二人も若干引いている。

 実は気恥ずかしい以上にこういう事態が容易に想像できたからこそ、アドルフは今まで黙っていたのだ。


「お前、いくつだっけ?」

「・・・今年で三十一だ」

「変態だーーーーーーーーーーー!!」

「バッ! 違う!!」


 スティーグの言葉に反応して、少女達はずざざざっとアドルフから距離を取った。


「違う! 頼む! 皆話を聞いてくれーーーーーーー!」


 少し寡黙で実直なイメージだったアドルフのキャラクターはここに崩壊した。

 この後、生徒達のアドルフを見る視線がちょっと危険人物を見つめる目に変わったのは仕方のない事だったかもしれない。


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