表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
180/520

アティシアVS魔人

 カッカリコは先ほどとは打って変わって、余裕の態度を見せた。

 対して、アティシアに余裕はない。

 まさか、魔人を召喚するなど、夢にも思わなかった。とんでもない隠し玉である。

 魔人は並みのドラゴンよりも強いと言われている。

 魔人を一体討伐するにはそれなりの規模の軍隊が必要だ。

 人間が一人で戦える相手ではない。


「くっくっく。さて、ここはこの魔人に任せて、私は失礼させてもらうよ」

「逃げる気ですか!」

「その通りだよお嬢さん。私は臆病なのでね。確かに魔人は強力だが、それでもここにスティーグが加勢するとどうなるか分からん。危険と感じれば迷わず引く。長生きの秘訣だ。いけぇ、魔人よ。その女を殺せ!」


 魔人に命令を与えると、カッカリコは速やかに道を迂回し、この場から離れようと走り出した。


「っつ! 待ちなさい!!」


 アティシアは焦った。

 ここでカッカリコを取り逃がせば、この一件だけで二度目の失態である。

 自分自身の面子にかけて、それは何としても避けたい。

 すぐにでもカッカリコを追いたいが、それにはこの魔人が邪魔だ。

 一先ずアティシアは説得を試みた。


「名のある魔人とお見受けします。私はアティシア=ラ=ムー。古に栄えた古代王朝の生き残りです。あなたと争う気はありません。どうか、道をお譲り下さい」

「GAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAーーーーーーーーー!!」

「え!?」


 それは声にならない叫び声だった。

 錯乱したかのような魔人の咆哮。

 体内から強力な魔力が生み出され、手をアティシアに向けると、黒い閃光が迸った。

 アティシアはこの閃光を横に飛んで回避する。

 閃光は木々を薙ぎ払い、虚空に消える。


「・・・闇魔法」


 魔族しか使用できないと言われる強力な魔法。

 その用途は多彩。

 アティシアは慎重に間合いを取りながら、魔人を観察する。

 魔人は高い知能をもった種族のはずだ。

 しかし、この魔人からはおよそ知性が感じられない。


(召喚した際に、呪でくくられた?)


 アティシアはそう推察した。

 知性を飛ばし、ただ命令に従うキラーマシーンにされてしまったのだと。

 だとすれば、説得は無意味。

 魔人を討伐する以外にない。


「仕方ありませんか」


 アティシアはカッカリコの追跡を諦めた。

 次の事を気にしている余裕など、この魔人相手にはない。

 全力をもって討伐するのみ。


「GAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!」


 魔人が再び吠える。

 自身の周りに闇が放たれると、それはいくつもの球体を生み出した。

 魔人の意をもって、その球体がアティシアに襲い掛かる。

 その動きは直線ではない。

 鬱陶しく飛び回る虫の様に、無軌道に不規則に、あらゆる角度からアティシアに迫りくる。


「シッ!」


 アティシアは剣を抜き、球体に斬りかかった。

 斬りつけられた球体は霧散する。

 ただの鉄製の剣であれば、魔法を斬るなどという芸当はできない。

 しかし、アティシアの剣はミスリル製。高い魔力耐性を誇るのだ。

 迎撃は可能であるものの、球体は一つではない。

 無数の球体が、タイミングをずらしながら、アティシアに牙を剥く。

 アティシアは慌てない。

 絶妙に自分の位置を変えながら、四方八方から襲い来る球体を斬り捨てていく。

 球体は複雑な軌道を描きながら、高速で移動している。

 その攻撃をこれほど正確に迎撃するなど、およそ人間には不可能。

 だが、それを可能にする能力がアティシアにはあった。それこそが、


「『停止する世界』」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ