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チート能力を貰って異世界転生したはずが、ステータス画面の「正気度」がゼロだった  作者: 臥亜


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第2部・第2話 囚われの姫君の決死の「おねだり」

前回、部屋の隅の肉檻に放り込まれた人類の最終兵器・エリーゼ皇女。

ようやく目を覚ました彼女ですが、生存をかけた彼女の脳内シミュレーションは、とんでもない方向へと暴走を始めます。

「……う、ううん……」

部屋の隅、アリアさんが作った『肉の檻』の中から、か細い声が聞こえた。

どうやら、人類最高峰の美少女こと、エリーゼ皇女がお目覚めのようだ。

彼女は高級なドレスの代わりに纏わされた生贄の白布を握りしめ、青ざめた顔で周囲を見回した。

脈動する肉壁、床を這う血のような色の絨毯。そして、ベッドの上でアリアさんの触手に包まれながら、のんびりとポテトチップス(※見た目は乾燥した魔物の皮膚)を食べている俺の姿を見て、彼女はヒッと小さく息を呑んだ。

(お、起きたな。とりあえず、またアリアさんがキレないように慎重に接しないと……)

俺がそんな警戒をしていると、エリーゼは檻の中でガタガタと震えながら、必死に頭をフル回転させているようだった。

彼女の視点(正常なSAN値)からすれば、今の状況は絶望の一言だろう。

人類の切り札として色仕掛けを挑んだ結果、魔王(俺)には一瞬で「不潔」「興味ない」と切り捨てられ、横にいる特級怪異アリアの餌にされかけたのだ。常識も、美貌も、人類のプライドも、この地下室では一切通用しない。

(ここで泣き叫べば、あの肉塊に喰われる……! 生き残るためには、この狂った魔王に『私を飼うメリット』を提示しなければ……っ!)

エリーゼの瞳に、悲壮な決意の光が宿る。

彼女は檻の隙間から俺を見上げ、今にも消えそうな声でおねだりを始めた。

「か、カナタ様……。お願い、がございます……」

「ん? 何かな?」

「私を……どうか貴方様の『奴隷』として、この部屋に置いてください……っ。床の雑巾がけでも、靴舐めでも、何でもいたします……! ですから、どうか……あの、アリア様のお食事にするのだけは、ご勘弁を……っ!」

エリーゼは床に額を擦り付け、必死に懇願してきた。帝国第一皇女としてのプライドを完全にドブに捨てた、命がけの命乞いだ。

(いや、靴舐めって。俺、そんな趣味ないんだけどな……。まあ、ただの雑用係としてここに置くくらいなら、アリアさんも許してくれるか?)

俺はアリアさんの機嫌を伺うように、そっと横を向いた。

アリアさんは縦に裂けた口をギチギチと鳴らし、脳内では「チッ、まだ生きていましたか」と大変治安の悪い美少女ボイスを響かせている。

俺は慌ててアリアさんの極太触手を優しくナデナデしながら、エリーゼに向かって冷酷な魔王っぽいトーン(ひきつり声)で言い放った。

「ふん、お前のような不潔なニンゲンに、俺の部屋を掃除させるだと? ……まあいい、アリアさんの手を煩わせるまでもない雑用なら、お前にやらせてやってもいい。ただし、少しでもおかしな真似をしたら、すぐにアリアさんのオヤツだからな」

「ひっ……! は、はい! ありがとうございます、魔王様……!」

エリーゼは涙を流して感謝した。

すかさず、俺は彼女に『万物鑑定』を放ってみる。

====================

【名前】 エリーゼ・ロズワール

【好感度】 恐怖による絶対服従(100%)

【状態】 絶望、過呼吸寸前

【補足】 魔王カナタを「人類の常識が一切通じない、純粋な狂気の怪物」として深く畏怖しています。生き残るために、どんな理不尽な命令にも従う忠実な猟犬になることを誓いました。

(よしよし、完全に大人しくなったな。これでアリアさんの嫉妬の炎も収まるだろ)

俺がホッと胸を撫で下ろしていると、アリアさんは俺にナデナデされて完全にトロンとした状態になり、ブクブクと幸せそうな泡を吹き始めた。

「ウフフ……カナタ様がそう仰るなら、仕方がありませんわね。泥虫、感謝しなさい。カナタ様の慈悲によって、貴方は数日寿命が伸びたのですから」

脳内に響くアリアさんの甘い声。

アリアさんは檻の肉壁をスルスルと溶かし、エリーゼを外へと引きずり出した。

「さあ、まずはその汚らしい体でカナタ様のベッドに近づかないよう、部屋の隅の床掃除から始めなさい。少しでも塵を残したら、分かっていますわね?」

「は、はいっ! 喜んでいたします!」

エリーゼは四つん這いになり、配られた雑巾(※俺の目には魔物の頭皮に見える)を手に、涙目で必死に床を磨き始めた。元皇女とは思えない、実に見事な高速雑巾がけである。

そんな彼女の必死な姿を見ながら、俺はアリアさんの触手にふかふかと包まれ、ポテトチップスをサクサクと齧る。

外の世界では、人類最高峰の美女が魔王の地下室で「最悪の拷問」を受けていると大騒ぎになっているかもしれないが。

実際の地下室では、ヤンデレ聖女(※肉塊)に極限まで甘やかされる俺と、生存をかけて必死に床を磨き続けるお姫様という、なんともシュールで、圧倒的に狂った共同生活が、本格的に始まろうとしていた。

第2話をお読みいただきありがとうございました!

無事に(?)奴隷としてのポジションを勝ち取ったエリーゼ皇女。

次回、床掃除を完璧にこなした彼女に対し、カナタが「あるご褒美(※SAN値ゼロ基準)」を与えますが、それが彼女にさらなる致命的な誤解と恐怖を与えることになります……!

続きが気になる方は、ぜひブックマークや評価での応援をよろしくお願いいたします!

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