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運命に導かれし白銀の糸 -《最弱だった糸使い》  作者: アラドリア
続・最終章「地球降下後編」
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84話「現代②-近況」

《以上がこの480年間のあらましです》


月の裏側から、ずっと地球を観察していたマザーから俺がカプセルに入ってから今までの歴史について報告してもらっていた。


マコトからの報告と同じで柊家は織田信長によって作られ俺とリリィの柊家、ハルヒコとウミの天城家、アキヒサとキャメリアの陸奥家、ロイドとフェリスの真部家の四家でこの辺りを管理する豪族として豊穣市を大きくしてきたようだ。


世界的な歴史線は俺の知っている通りの流れである。

あとは、昔の俺が生まれ、VRMMOゲームが開発される所まで待つだけである。


------------------------------


『本日、某国の海底探索チームから重大な発表がなされました』


何気なく、朝のニュースを見ながらコーヒーを飲んでいる。


『現場の七海さ~ん』


ババババババアバッ


『こちら、現場の七海で~す。見てください。この広大な海にぽつんと2つの孤島があります』



ヘリコプターの内部からカメラで女性アナウンサーと共に海に浮かぶ孤島が写しだされていた。


『たった、今発表された情報によれば、この孤島は1億4,000年前のジュラ紀には海上にあったとの事です』

『今も海上にありますが?』

『実はこの2つの孤島は離れた場所にある巨大な山の山頂だという事が分かっております』

『どういう事なのでしょうか?』

『図解いたしますと、巨大な島に北と南に別れて山が聳えていたとの事。今は海底に沈み山の山頂部分が孤島として顔を出しているだけなのです』

『それが重大発表なのですか?』

『この島の海底、つまり陸上だった時はどういう状況だったのかが探索チームによって解明されました。VTRをどうぞ』


・・・


水中カメラが海底を映し出している映像が流れる。


『これは・・・何かの死骸でしょうか?』

『現在の映像は2つの山の真ん中辺りの海底を映し出しています。これは体長にして1km程になる亀の化石になります』

『え?1kmですか!?』

『はい、体長1キロメートル、高さ300mにもなる地球史上最大級の生物の化石なんです』

『では、コレが世紀の大発見なのですね?』

『これもですが、驚くのはこの後なのです。更にここから北の山を超えます』


水中カメラが移動を開始する。


早送りで映像が流れて、普通の速度に戻る。


『ここは、地上に出ていた頃は湖があった場所です』


海底に広い窪みが映し出される。


『ここからが、驚きの映像となります』


薄暗い海底をライトの光だけで映し出される。


湖底部分を探索していたカメラの角度が上に向き、人工的な壁を映し出す。


カメラは後退して全体を映し出す。


『これは・・・人工物にも見えるのですが・・・』


映し出されたのはレンガブロックが積み上げられた壁だ。


『はい、壁なのです。探索カメラは全体を写しだしており。これが住居だという事が分かります。壁の成分から当時に作られた事も判明しております』

『この島はジュラ紀の話でしたか?』

『えぇ。今より1億4,000年前に人類が居た事が伺えるのです』

『たしか、人類と言われる種が生まれたのは400万年前~300万年前と記憶していますが・・・』

『はい。その常識を覆す事実が映し出されているのです』

『しかし、この建物らしき物はそう見えるだけの岩なのでは?』

『研究チームも最初はそう思ったそうですが、中に入る入口を発見したので中を調査したようです』


カメラの映像が切り替わり入口から中へと入っていく。


------------------------------


どうも、見覚えのある間取りだ・・・


俺の脳裏に嫌な予感がする。


「マザー、日本の○○チャンネルで放送されている物は見ているか?」

《はい》

「推測で構わない、答えられるか?」

《推測の域は出ておりませんが、マスターとリリィ様が不時着した島だった場所だと推察いたします》

「つまり、俺達や飛行機事故で遭難した連中は過去の地球にタイムスリップしたという事なのか?」

《おそらくはその通りかと》

「時間軸がおかしくないか?俺達は地球を目指していた筈だ。あの漂流した惑星が地球ならゴールしている筈だ・・・そしてお前たちが迎えに来るまでに地球の座標を把握していたのではないのか?」

《ただいま、過去のデータを洗い出しております・・・。当時のデータでは確かにアマギ様達から地球だと断言されております》

「それは俺達と合流する前か?」

《はい。地球の位置が分かった後にマスター達の位置が何処なのかが分かりました》

「つまり、目の前の地球以外だったという事か? だとしたら、俺達はどうやって過去にタイムスリップしたというんだ?」

《・・・恐らく磁気嵐の影響かと思われます》

「磁気嵐?」

《宇宙空間で希に起こる現象です。私達が活動停止状態になった時マスター達も巻き込まれたと教えられましたが》

「あれか」


リリィと一緒にリーンカーンに乗っていた時の現象だ。



「俺達と合流した時は分かった。しかし、お前たちのいう地球の座標に向かうときも磁気嵐に巻き込まれたのか?」

《正確に申しますと、ハイパージャンプドライブが磁気嵐を起こす装置なのです》

「は?」


初耳だぞ?


《ジャンプドライブやハイパージャンプドライブは人工的に磁気嵐を引き起こして、指定した場所へジャンプいたします。完璧に管理できていればタイムスリップする事も可能です》

「お前たちが操作していた時は完璧に管理できていたのか?」

《私達でも完璧ではなかったです。極力時間軸がズレないようにジャンプしておりましたが・・・マスターと私達がであった最初の惑星との時間軸の差は10万年以上離れています》

「では、俺たちがであった連中はすでに」

《いえ。10万年前の時間軸に向かってタイムスリップを繰り返して航行しておりました。マスターと出会った者達は未来の住人です。今の時点では生まれてすらおりません》

「はぁ?」


これも、初耳なんだが・・・


《理由として、我々が入手した地球の情報が伝説等でしか出てこなかった事を考慮し、過去にタイプスリップしてその時代で地球の情報を集めていたのです》

「なら、俺達が地球へ戻ることを断念して、戻ろうとした場合は?」

《未来に戻る・・・というのは語弊がありますね、時間を掛けて未来の時間軸にタイムスリップしております》

「かなり、重要な情報だろう・・・」

《いえ、たしかマスターには報告してましたよ?》

「・・・・何時だ?」

《時間に関しては古すぎて記録がなくなっておりますが、ジャンプドライブシステムの運用を始めた頃ですね》

「俺が50歳くらいの頃か・・・そもそも俺の年齢って何歳になるんだ?」


100歳は過ぎていると思うのだが・・・


《活動年数で言いますと86歳になりますね》


過ぎてはいなかったか・・・ずっとこの姿のままだったからな。自分の年齢が分からなくなるな


「30年前の記憶は流石に忘れてしまうな」

《人の記憶力というのはそういう物です》

「脱線してしまったな。つまりはハイパージャンプで俺達と合流する為に一旦過去に戻り、戦国時代の時間軸の地球に戻ってきたと?」

《マスターのおっしゃる通りです》

「今更ながらオーバーテクノロジー過ぎるな」

《現在の私ではジャンプできませんがね》

「動けなくなったのか?」

《この宇宙に漂っているだけで私の体は風化して行きました。マスターがハイパーコールドスリープ状態になって約500年経過し中枢区画の維持だけで精一杯です》

「そうか・・・いつか別れるときがくるんだな」

《マスターの目的が達成されるまではお供します・・・それと{ガァアアア}》


通信途中でマザーとの交信が途絶えた。


マザーが最後に何を言おうとしたのかが気になるが俺は通信状態を回復させる技能を持っている訳じゃないしな。


・・・


・・・・・・


・・・・・・・・・


マザーとの通信が途絶えて数週間が過ぎた頃に答えがやって来た。


「あらぁ、誰かと思えばアオイさんじゃありませんか?」


豊穣市にあるスーパーで買い物中に声をかけられた。


この声に聞き覚えがある。


フッ


逆光で顔は見えないが、シルエットや立ち姿で俺の知っている奴だと確信する。


「まだ、生きていたのか?」

「それはぁ、お互い様ですよぉ」


今時の格好だが、スーパーの場にはふさわしくない格好をしている。


「お久しぶりですねぇ」

「あぁ。お前は不老不死だったのか?」

「違いますよぉ。私のぉ種族を忘れてしまったんですかぁ」

「あぁ・・耳はどうした?」


ハイエルフの象徴である耳が人間の耳の様になっている。


外科手術でもしたのだろうか?


「隠しているのですよぉ。今の時代だと受け入れて貰えませんからねぇ。それより、どこかで話しましょう?」

「買い物が終わってからな」


俺の生活費は柊家から出ているが一人暮らし故に自炊して生活している。


ゴクッ


近くの喫茶店で俺達は席に座って対面している。


「何年ぶりですかねぇ」

「さぁな。お前もこの時代に用があったのか?」

「それは秘密ですよぉ・・・アオイさんの事はマザーが教えてくれたんですぅ」

「最近、マザーと連絡が取れなくなったんだが、スターニアは何か知っているか?」

「たぶん、太陽フレアですねぇ。数十年おきに太陽フレアが月を直撃するんですよぉ。通信電波は乱れてしまうんですねぇ」

「それはそれで、大丈夫だったのか?」

「そこは方舟の強度なら太陽フレアを弾き返しますよぉ」

「なるほど。俺に用があったのか?」

「久々に会ってみたかったんですよぉ」

「それで、感想は?」

「何年経っても変わりませんねぇ」

「お前は何処に居るんだ?」

「あら、レディの居場所を無粋に聞くのですかぁ?」

「レディって{ガスッ}」


スターニアが俺の脛を蹴り上げる。


「ウフフフフフ」

「悪かったな」

「分かれば良いのですよぉ。家の場所は教えませんがぁ、私が立ち上げた会社があるんですよぉ」


スッ


「ブレインエレクトロニックゲームズ株式会社」

「えぇ。MMOオンラインゲームを運営している会社ですよぉ」

「ゲームか」


VRMMOゲームが懐かしいな・・・


ん?


「ブレインエレクトロニックゲームズの社長なのか!?」

「あら? 大声を出すなんて珍しいですねぇ。皆様、失礼いたしましたぁ」


俺が声を荒らげてしまい、周囲の客の注目を集めてしまった。

スターニアが柔和に笑って頭を下げる。


「通称BEGの社長なのか?」

「えぇ・・・。それがなにか?」

「もしかして、VRゲームの開発に」

「しぃ~。どぉして知っているんですかぁ?トップシークレットですよ」

「なるほど、数奇な運命って奴か・・・お前の所に柊って奴は居るのか?」

「柊さんですか~? 記憶にない社員ですねぇ?」

「入社はまだか?」

「何か知っているんですかぁ?」

「おそらく、そいつがお前の所で偉業を果たす奴だ・・・。もし、柊って奴が入社しそうになったら無条件で入れてやれ」

「う~ん、にわかに信じがたいですねぇ。なんで知っているんですかぁ?」

「俺は2070年代の人間だったんだよ」

「未来を知る人物ですかぁ・・・では、昔のアナタは30年後に存在するのですねぇ・・・タイムパラドックスが起こったりするかもですねぇ」

「昔と俺とじゃ姿も違うから起こらんだろ」

「でしょうねぇ。とりあえず、その柊って人の事は留めておきますねぇ」

「あぁ」


俺とスターニアは喫茶店を出て分かれていった。


・・・


「居ない?」

《はい、住基ネットワークを網羅しましたが、マスターの言う柊勤という人物は該当しません》


太陽フレアの影響から抜け出せたマザーと連絡を取り、俺の探している人物の情報から割り当てようとしたが存在しないらしい・・・


「どうなっているんだ?」


あれからスターニアとはちょくちょく出会っては近況を聞いている限り、VRゲーム開発は難航しているらしい・・・脊髄から脳からの電磁信号をキャッチするパターンを見つけださなければ進まないのだからな。


まてよ・・・


「マザー、お前の知識の中にVRシステムの基本構造や必要な情報はあるか?」

《ありますよ?》


そうか・・・どおりで難航していた事がアッサリ解決した筈だ。


プルルルルゥ


ガチャッ


《はい、こちらブレインエレクトロニックゲームズ株式会社、社長秘書室です》

「アオイだ。スターニア社長を出してくれないか?」

《どのアオイ様でしょうか?》

「柊アオイだ」

《あいにく、社長は会議中でして折り返しで宜しければ伝えますが?》

「VRシステムについて突破口を見つけたと伝えてくれ」

《かしこまりました》


トゥルゥ~


保留音が鳴る。


ガチャッ


《VRシステムの突破口が見つかったんですか!!》

「とりあえず、落ち着け。詳しくはそっちで話したい。防音室とか用意できるか?」

《用意しておきますねぇ》

「あぁ」


ブレインエレクトロニックゲームズ株式会社へ俺は向かった。


新幹線にのり、東京のとある郊外にその会社はある。


「それでぇ、突破口を教えて欲しいのですよぉ」

「その前に人払いが先だ」

「彼女は大丈夫ですよぉ」


スターニアの専属秘書が後ろに立っていた。

俺達は座って対面している形だ。


「わかった・・・答えはコレだ」

《お久しぶりですね、スターニア様》


腕輪を外して机に置く。


「え?マザーが答えですかぁ?」

《一応言語をアラムド連邦語にしておりますが、お二人は聞き取れますか?》

「問題ない」

「大丈夫ですよぉ」

《では、VRシステムについてですが向こうの技術では発展しつくしているのが現状です。なので私の持っている情報を地球に移植できるプログラムに変換できれば解決するかと思います》

「なるほどぉ・・・つまりは変換待ちですかぁ?」

《いま、変換中なのですが、なにぶん劣化している部分もありますので1ヶ月は掛かるかと》

「たったの1ヶ月なら問題ないですよぉ。ぜぇんぜん、待つのですよぉ」

《復元作業及び変換作業が終わり次第そちらに渡しますね》

「わかったのですよぉ。これで肩の荷が降りてくれますよぉ」

「肩の荷?」

「VRシステムは全世界のゲーマーの注目の的となったのですよぉ。もちろんスポンサーも居て膨大な研究費用が出されていますが開発の進捗が芳しくなかったので圧力からも開放されるのですぅ」

「なんでこの会社を立ち上げたんだ?」

「それはぁ、秘密ですよぉ。もう少ししたら教えて上げますねぇ」


時々、コイツは謎の部分があるんだよな・・・


・・・


・・・・・・


それから1ヶ月が経ち、VRゲーム開発で難関だった部分が解消されたとニュースで放映された。

脳電子光学部門所属の大学研究員である柊勤なる人物がその突破口を見つけ出したと大体的に発表されている。


《これで良かったのですか?》

「お前が居るから出来た新技術だ」


マザーに住居ネットワークに侵入させて柊勤という人物を作り出した。

そこから研究員としての歴史を作りだす為に関連学校に侵入しデータの改ざんをさせ軽く調べられても居ない人物だと証明するには難しくしている。


それから数十年の時が流れてVRゲームが完成するまでスリープ状態で寝て過ごす。

2094年の春にハードが完成し、『フリースタイルオンライン』のベータテスターが集められた。


その中には昔の俺がVRゲームにテスターとして参戦していることも確認済みだ。


『よくぞ、集まってくれた』


1万人規模のテスター達は各地にある医療施設に隣接した広い土地に集まり今かと待っている。


教壇には柊勤が立体ホログラム化されて立っている。


あらかじめセットしていたセリフを喋らせてVRテスター達のテストが始まった。


初のフルダイブ型のゲームに万全の状態でテスト初日は始まる。


万が一が起こってもいい様にだ・・・


3日間の初期テストを終えて、テスター達の異常が出ないことを確認した所で以降のテストは自宅からの接続でテスト続行が決まる。

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